針立や肩に槌うつ唐衣 桃 青
雅の世界である砧(きぬた)を、卑俗な鍼按摩のしぐさに二重写しにした手法で、談林的な特色をかなり顕著に示している。このような手法は、当時流行の見立てであった。
「針立(はりたて)」は鍼医のこと。ここでは按摩を兼ねた鍼按摩であろう。小槌で鍼を打つ。
「唐衣」は、砧といえばすぐ連想されるもので、衣を美しくいったもの。謡曲「山姥(やまうば)」にも、「世を空蝉(うつせみ)の唐衣……千声万声の砧の声」などとある。
砧の句で秋。季語としては「衣うつ」。
「鍼按摩が客の肩に鍼を槌で打ちつづけているが、そのさまは、あたかも
唐衣――空衣を肩の上で打つ砧ともいえよう」
山の水あつまり浅間秋めきぬ 季 己
雅の世界である砧(きぬた)を、卑俗な鍼按摩のしぐさに二重写しにした手法で、談林的な特色をかなり顕著に示している。このような手法は、当時流行の見立てであった。
「針立(はりたて)」は鍼医のこと。ここでは按摩を兼ねた鍼按摩であろう。小槌で鍼を打つ。
「唐衣」は、砧といえばすぐ連想されるもので、衣を美しくいったもの。謡曲「山姥(やまうば)」にも、「世を空蝉(うつせみ)の唐衣……千声万声の砧の声」などとある。
砧の句で秋。季語としては「衣うつ」。
「鍼按摩が客の肩に鍼を槌で打ちつづけているが、そのさまは、あたかも
唐衣――空衣を肩の上で打つ砧ともいえよう」
山の水あつまり浅間秋めきぬ 季 己