壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

『去来抄』8 清滝や

2011年11月09日 21時09分22秒 | Weblog
        清滝や浪にちりなき夏の月     芭 蕉

 先師が、難波の病床に私(去来)を呼んでいわれるには、
 「さきごろ園女(そのめ)の家で、〈しら菊の目にたてて見る塵もなし〉という句をつくった。これは、以前につくった句に似ているので、その清滝の句をつくり直した。はじめの草稿が野明(やめい)のところにあるはずだから、取り戻して破って欲しい」
と。
 しかしながら、この時はもう、あちこちの集に載せられてしまったので、破棄することはできなかった。名人が、いかに句に心を用いられるかは、これでもわかるだろう。


      大腸癌 十一月の吹きだまり     季 己