SUPER FLAT 2

非ファルス的にもっこりするものを肯定せよ!(神の性的不器用あるいはその性的悪戯に由来するもの達について)

エイリアンVSプレデター

2009年04月14日 | Weblog


 このプレデターに尻尾をつかまれて振り回されている惨めなエイリアンは、自分がもともとは画家H・R・ギーガーの生み出しだ高貴な芸術作品である、ということを知らない世代のエイリアンなのだ。だからあの村上隆に「品がない、くだらない、子供向けだ」と非難されても、この若いエイリアンからすれば、いったい何の話か分からないのだ。もはやH・R・ギーガーの芸術とは何の関係も無いドタバタ世界での話なのである。

禁じられた国のロック

2009年04月12日 | Weblog


 あの天安門事件より5年くらい前の中国・広東省に「龍(ドラゴンズ)」という名のロックバンドが存在し、当局の目を逃れて地下演奏活動を続けていた。フランスの音楽ジャーナリスト、マルク・ブーレが香港でその噂を聞きつけ、現地で彼らの演奏を極秘に録音する。持ち出されたテープはレコード化され、「禁じられた国のロック」というふれこみで発売された。日本でも82年に『龍革命』というタイトルでポリドールから発売され、当時の音楽好事家の関心を惹いたようである。バンドのメンバーの後の消息は不明であり、当局に捕まって矯正施設に送られたか国外追放、あるいは死刑になったという説もある。もちろん、すべてはその録音テープをレコード会社に高額で売りつけたあとに姿をくらませた(爆)というブーレによる作り話である可能性が高いわけだが、しかし録音された演奏はそれにしても妙にリアルなのである。もしかして彼らドラゴンズは実在し、ほんとうに「禁じられた国のロック」を演奏していたのではないか。今となっては真相を知る者はいない。

ふんぞりかえっているのは誰か

2009年04月11日 | Weblog
 村上隆が日本の有名批評家を挑発している。「フランスで勝負できもしねえくせして、日本でふんぞりかえっているんじゃねえよ」と。しかし、それが「勝負」であるかどうかはともかく、たとえば『「歴史の終わり」を越えて』(中公文庫)を読んでも分かるとおり、浅田彰はフランスの思想家たちとガチに対話し、しかも「御説拝聴ではなくて、しっかり議論して、むしろ押している(福田和也の解説より)」のである。そして、それでいてつねに「私のことなどどうでもいい」とすこぶる謙虚で、およそ「ふんぞりかえっている」ようには見えない。むしろ「ふんぞりかえっている」のは村上隆の方であり、誰がどう見たって「いかがわしい」のも村上隆の方である。おそらく村上隆が「世界で勝っても日本では負けた」(本人談)のは、日本人の批評技術が、ある部分で世界的に勝っているからである。実際、日本の批評家がフランスの批評家と「勝負」しても負けるとは思えない。とくに表象論系の批評は、かつてフーコー研究で世界ランキングのトップを誇るくらいレベルが高かったのである。ようするに村上隆は世界のヌルい批評家は騙せても、技術的に異様に発達した日本の批評家を騙すことはできなかったのである。しかしなぜ日本で批評的技術が異様に発達したのかは不明だが。

ウエストワールド

2009年04月08日 | Weblog


「伝染病が広がっていく過程とそっくりだ。我々が取り扱っているのは高度に進歩した特別な装置で、生物同様に複雑だ。コンピューターがデザインした部分も多く、我々はその機能すら知らない」(デロス社技術主任の発言)

 マイケル・クライトン原作・監督のテーマパークSFパニック映画『ウエストワールド』を観る。さすがに73年の制作だけあってロボットの内部メカはオモチャだが、しかしそのロジックを人間ではなくコンピューターがデザインしているという設定、それもコンピューター・ウィルスによって異常が広がっているらしいという設定は、いまだまったく古さを感じさせない。ユル・ブリンナー演じるガンマン・ロボットがのちの近未来SF映画に与えた影響も大きい。文句無しの名作だ。