若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

住吉酒販の新装開店に思う

2006年11月05日 | ものおもう十四代目
若竹屋が日頃大変お世話になっている『住吉酒販』さんが、新たに建物を建て直して新装開店されました。住吉酒販さんは、全国地酒・焼酎の専門店として福岡内外に知られる素晴らしい酒販店です。庄島社長は人情味溢れる魅力的な方で、私も密かに兄と慕っています。

若竹屋「秋の蔵まつり」最終日にお披露目があり、副社長と山川さんが店内試飲会のお手伝いに行っていました。僕は「蔵まつり」の終礼を済ませてから懇親パーティ(住吉日本料理・KOGA)に駆けつけました。酒類小売業は競争も激しく経営環境は楽ではありません。そんな中で大きな投資をして改革に取り組む庄島社長の決意には並々ならぬものを感じました。

事業の永続発展を阻むもののうち、同族企業に多く見られることは「経営者が自己革新をしない」事であると思います。僕はこれを「経営のエンパワーメントが失われる」と表現していますが、要は過去の成功体験にしがみつき、痛烈な自己批判をせず、危機感を覚えないため、自己革新の機会を失っていく、これが同族企業の経営者に起こりがちな問題点のひとつだと思うのです。

上場企業などでは資本と経営が分離しているため、業績悪化を招いた経営者は退陣や降格を株主から求められます。でも同族企業では業績悪化が続いても経営者=オーナーは自ら辞めるとはナカナカ言い出しません。つまり自己革新が行われない社風を経営者自らがつくりあげてしまうのです。

大企業であっても経営者が最大株主(オーナー)であれば同じです。そして自己革新のない組織はやがて衰退します。水島一族の「そごう」しかり、堤「西武」しかり、中内「ダイエー」しかり、です。我々中小企業はなおさら自己革新を必要としているはずです。

その反面、経営者がオーナーであることは長期的戦略に基づいた経営を行えるという利点もあります。子息などの事業承継者がいれば長期的な育成もできます。長寿企業に同族経営が多いことも事実です。

中小零細事業のが永続発展するために、経営の世代交代・事業承継は自己革新の最大のチャンスとも言えるでしょう。そして自己革新する仕組みを経営の中に創ることも重要でしょう。私は創業した「創風工房・桝屋」の就業規則に「代表取締役の定年65歳」と明言していますが、それは自分に対するシバリでもあります。

「人間は衣食満ち足りている時は誰でも善人、苦しい時にこそ真の人間性が問われる」と言われます。けして楽な経営環境ではない中、新しいチャレンジをし、経営の革新を図ろうとする庄島さんの行動力に、また大きな気付きと勇気を頂きました。若竹屋も住吉酒販さんと共に愛と尊敬を分かち合える会社として更に精進しなければ、と思いました。

懇親パーティにはスタッフの皆さんを始め、多くの取引先やご友人の方が集まっておられましたが、光栄にも「締めの挨拶」を庄島さんに指名頂きました。



「ここに集まっている皆さんは、住吉酒販が販売力のある店だから、という理由でお付き合いをしているわけではないと思います。庄島社長はじめ素晴らしいスタッフの皆さんと、人間同士としての信頼関係が根底にあるのです。味に厳しい庄島さんが深夜、私の携帯に電話をかけてきた事があります。なにか酒に問題があったのでは?と恐る恐る受話器をとったところ『林田君、この酒は美味い!よく頑張ったな!』といわれた事があります。私はお礼を言いながら泣きました。そんな庄島さんが、ここにいる僕らはみんな、大好きなんです。」

そんな挨拶をさせて頂きました。住吉酒販の益々のご発展を心から祈念しています。

スマートで雰囲気のある素敵な新店舗になりましたが、庄島さんはこれ以上カッコ良くならないで下さいね。一緒に飲むとき庄島さんばかりモテルの癪ですから(笑)。

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