若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

朗読者 

2007年12月24日 | 読んでる十四代目
朗読者

新潮社

ベルンハルト シュリンク (著)
松永 美穂 (翻訳)
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ちょっと前の作品なんですが、ふと読み返したくなって書棚を探したんですけど、見つかりません。ああ、友人に貸しっ放しだった、と思い出し余計に読み返したくなりました。

学校の帰りに気分が悪くなった15歳のミヒャエルは、母親のような年の女性ハンナに介抱してもらい、それがきっかけで恋に落ちる。そして彼女の求めに応じて本を朗読して聞かせるようになる。ところがある日、一言の説明もなしに彼女は突然、失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは何だったのか…。数々の賛辞に迎えられて、ドイツでの刊行後5年間で、20以上の言語に翻訳され、アメリカでは200万部を超える大ベストセラーになった傑作。(AMAZON Datebase)

僕は最初、この本の装丁に惹かれて手にしました。後で知ったことですが、この本は新潮社の「新潮クレスト・ブックス」という、海外作品の翻訳ものシリーズの中の一冊として刊行されています。このシリーズの考え方が面白いですね。

・担当者が「よい作品」と思うものを厳選する
・編集者でも翻訳者でも、ともかく誰かがほれこんだ作品であること
・日本では初紹介の作家であること
・あるいは紹介されていてもまだ読者にうまく浸透していないこと
・なんだか売れているらしい、というような理由では扱わない

さらに、「持ち重りしない軽くてしなやかな本に」というのが造本のコンセプトだそうです。本文用紙にはフィンランドの輸入紙を使用し、表紙には独特の手触りとしなやかさをもつ新しい特殊紙を採用。製本も、従来は手作業のため高コストだった仮フランス装の機械化を、独自に開発したというこだわり方。

ちなみに、仮フランス装とは、四周を折り込んだ印刷表紙で化粧断ちした糸綴じの中身をくるんで小口に口糊を入れて仕上げる製本様式です。どんなものか知りたければこのシリーズの本を手にとって見てください。

そして気になる装丁です。クレジットには新潮社装幀室となっていますが、背景と立体作品は三谷龍二さんによるものだそうです。この人は伊坂幸太郎の「重力ピエロ」「ラッシュライフ」の表紙作品なども手がけているのですが、実は工芸家・木工デザイナーとして著名な方です。

まず手にとってもらう…このために高い努力をしている点。「よい作品」とか「惚れこんだ作品」といった(製作者の独善であれ)ものを「商品」にするプロセスは興味深いです。

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1 コメント

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久しぶりに (すぎちゃん)
2008-04-21 01:26:10
昨年9月から、パソコンを壊れたままにしていたのですが、先日やっと買いました。
久しぶりに来てみたら、こちらも時間が止まり気味…?
更新楽しみにしてますよ~
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