若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

若竹屋の蔵開き

2003年03月30日 | ものおもう十四代目
若竹屋・春の蔵まつりは大変お疲れさまでした。この2日間は天気にも恵まれ、大勢のお客さまが来られ、皆さんも声が枯れるほど一生懸命に頑張っていただき、とても素晴らしい蔵まつりになったと思います。本当にありがとう。

若竹屋は長い間、蔵開きをしないでいました。平成元年に私が「蔵開きは止めよう」といって止めたからです。福岡県内の多くの蔵元は通常2月に蔵開きをしています。その冬の新酒をお客さまに楽しんでいただこうという趣旨のものでしょう。しかし、近年の蔵開きは「売らんがため」のものになっているように思えます。蔵によっては演歌歌手のコンサートまでやっている所もあります。3日間の蔵開きで1千万もの売上があるそうです。

私はそういった蔵開きのあり方に疑問を持っていました。造りの最も忙しい、そして重要な時期に蔵の内部を開放する事は出来ません。不特定多数の人が出入りする事は微生物を扱う蔵にとって好ましい事ではないからです。若竹屋では真に品質を考えた時、2月に蔵開きをするのは良くないと考えたのです。

若竹屋は創業300年を迎えた平成12年の春から蔵開きを再開しました。品質蔵としてのブランドイメージが確立してきた事と、300周年を迎えたことをきっかけに、若竹屋がより地域のお客さまと愛と尊敬を分かち合える蔵元になろうと考えたからです。しかし県内の慣習に沿って2月に開催する事はわたし達の理念に反します。そこで造りを終えた4月に行うことにしたのですが、その決断には勇気が必要でした。

わたし達の蔵まつりは、今日の売上のために行っているものではありません。お客さまに蔵を見てもらい、田主丸に触れてもらい、酒の文化を感じ取っていただくために行っているのです。若竹屋の全スタッフの人柄と笑顔に触れることで、わたし達が誇る仕事を知っていただくこと、それが世の中に数ある酒の中から若竹屋を選ぶお客さまの理由となり、明日の売上に繋がる事なのです。平成13年からは田主丸町の春まつりにしようと、田主丸中央商店街・若竹醤油・紅乙女・巨峰ワインとともに活動をしています。若竹屋だけでなく地域全体が活性化する事、それも若竹屋の理念だからです。

皆さんは、そんな若竹屋の理念を今年も見事に実現してくれました。笑顔一杯で声をからして元気良く頑張ってくれました。あらためてお礼します。本当にありがとう。

販売リーダーの松尾君、元禄蔵リーダーの武田さん、酒蒸しパンリーダーの林田弘子さん、福引リーダーの木下さん、きき酒リーダーの佐藤さん、和くら野リーダーの池尻さん、蔵案内リーダーの古賀君、そして実行委員長の成剛、蔵まつり委員会の皆は特に良く頑張ってくれました。ありがとう。

何ヶ月もの準備期間をへて幾度も会議を行い、当日はたったの2日間でしたが、わたし達は多くのものを得る事が出来ました。こうした全社で取り組む作業はスタッフ皆の心を一つにします。わたし達の仕事の多くは各部署にわかれて作業をしますが、お客さまに安全で美味しい商品と感動をお届けするという全社で取り組んでいる仕事です。蔵まつりと同じようにこれからも素敵な笑顔と心で励んでいただきたいと思います。私も頑張ります。

2003.03.30