若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

大晦日の出来事

2004年12月31日 | 近ごろの十四代目
31日の午後9時すぎ、電話が鳴った。
ヤマト運輸・浮羽東営業所からの電話。「大変もうしわけありません。本日指定の商品をお届けの最中に破損してしまいました。代品を再送したいのですが…」。ふむ、どうしましょう。もう誰もいないし、商品は名前入りの特別ラベル、すぐには作れない。31日の指定をしているからには、ご依頼主に相談しなければ。

ご依頼主は、しょうがないから元旦に届けて欲しい、とのこと。ヤマトに連絡し、明日の配送ができるかどうか確認を取ってもらう。その間、スタッフに連絡しラベルの作成を手伝ってもらう。午後10時過ぎに出来上がった商品を持って営業所に向かう。ヤマト運輸浮羽東営業所の日高さんが残って下さっていた。日高さんはあせった面持ちでいくつも電話を掛けまくっている。

「林田さん、もうしわけありません。方々に当たったのですが、もう北九州方面行きの配送便は出払っているのです。明日にお届けするのは難しいです…」。困った…。ご依頼主には、本来どうしても大晦日にお酒を届けたかった特殊な理由があったのだ。う~ん、この際、僕が明日直接にお届けしようかと考えていたとき…。

「わたし、今から福岡の集配センターまで持って行きます!」と日高さんが言った。この時点で10時半過ぎてる。そして福岡までは1時間はかかるのだ。いや、いいよ。僕が持っていこう。もう遅いし、それに外は雪が降ってる。危ないよ。
「いえ、ウチのミスですし、大丈夫です。わたしが持っていって、明日の午前中に届くようにセンターにお願いもしてきます。そして明日の朝、出勤してから再度確認を入れた後に、林田さんにご連絡します」

…感動しました…。

日高さん、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えます。そこまでしてもらったら、僕も安心です。僕たちも今日31日まで仕事をしていました。あなたたちの仕事も年中無休ですよね。だからその大変さはよく分ります。でもそうやって、一生懸命働くことはとても尊いことだと思う。僕もあなたも、お客さまに喜びをお届けしているんですよね。気をつけて行って下さい。事故だけはしないようにね。
僕がそう言ったとき、日高さんの目は潤んでいました。

ヤマト運輸という会社は僕が尊敬する企業の一つです。この出来事にヤマトの素晴らしさをまたひとつ感じました。営業所の受付スタッフまで、ヤマトの理念が深く浸透しているのか、それとも、日高さん個人の素晴らしさなのか。きっとその両方なのでしょう。

もしかしたら、日高さんの行動はヤマトの規範から外れているのかも知れません。こんな風に営業所名や個人名を出すのはまずいのかも知れない。だけど、僕は、ヤマトのビジネスパートナーとして、今回の出来事は賞賛したいと思う。そんな大晦日の出来事。。。

はみだしっこ 三原順

2004年12月22日 | 読んでる十四代目
 
大釜君から聞かれた。「林田さんって漫画とか読むんですか?」
読みます!好きです!僕には妹が二人いるので、実は少女漫画にかなりハマっていました。最初は妹たちが買っていた本を読んでいたのですが、そのうち自分でも買うようになって(笑)。一番ハマったのは白泉社が創刊した「LaLa」でした。創刊が76年だから、当時11歳からの少女漫画ファンです。

最も好きな作品と聴かれれば、難しいけど…三原順さんの「はみだしっ子」でしょうか。「花とゆめ」誌に連載された作品ですが、それぞれに心に傷を負って彷徨う4人の少年たちの生き様、鋭い人間観察、ウィットに富んだユーモアなどで当時、圧倒的な支持を得ていた作品です。

大釜君に「三原順って知ってる?」と聴いたら、「いいえ?誰ですか?」って。当たり前か。95年にお亡くなりになっているので、新しい作品もない。でもね、三原順の作品はどれをとってもハズレはないから、一度読んでみてよ。

NHK収録がありました

2004年12月22日 | 載ってる十四代目
 
今日はNHKで生放送に出演。九州エリアで放映している「ぐるっと8県九州・沖縄」という番組で、「くらしのヒント」というコーナーに出演しました。

福岡県酒造組合に依頼が来たもので、12月と1月の2ヶ月に渡り、毎週水曜日の11:30からお酒の話をしています。今回、僕が担当したのは「料理と日本酒の美味しい関係」というテーマ。そう、「お酒の学校」の担当講義と同じです。

リハーサルにぎりぎりで間に合うわ、運転中に食べてたエクレアをズボンに落として汚すわ、相変わらず落ち着きのない僕でしたが、生放送はバッチリ(笑)。別人みたいに好青年だった、と評判(失礼な!)でした。

同友会有明支部で報告

2004年12月20日 | 同友会の十四代目
 
今日は「福岡県中小企業家同友会」の有明支部に報告者としてお呼ばれしました。演題は「問題解決の鍵は経営計画書にあり」。経営指針推進委員長の内田さんの巧みな進行のお陰でなんとか無事に報告することが出来ました。

経営理念・経営方針・経営戦略・経営計画をまとめて「経営指針」と呼んでいますが、なぜ中小企業に経営指針が必要なのか、その立案の要点や分析手法などをお話しました。そんな中で反応が大きかったのは「事業継承について」の話でした。

「息子が30歳になったら事業継承をしたほうが良い」、「若いから、経験が浅いから、もっと経営基盤がよくなってから、という事業継承の先延ばしは意味がない」、「決算書を盗み見てでも経営計画を書くことが後継者から経営者への脱皮の一歩」などとお話しました。

その論拠はおかしいとか、自分が継いだときもそうだったとか、息子のことで悩んでいるとか、沢山のご意見ご質問を頂きました。何時の時代でも、後継者を含めた人材育成は経営者の最大の課題のひとつだと思います。

興奮して随分と生意気なことも申し上げました。真剣にお話を聴いて下さいました古賀支部長をはじめとする会員の皆様に感謝いたします。

西日本新聞の取材

2004年12月16日 | 載ってる十四代目
 
今日は西日本新聞社の写真部・三苫さんが若竹屋の取材に来ました。彼女は数少ない女性カメラマン。重たい機材を肩に、朝の7時から精力的に取材をしてくれました。

日本酒が「くる」という話は良く聞くし、自分の感覚でもそう思うので、実際に蔵元を見てより深く感じたかった、という三苫さん。そうなんです。焼酎はやりの昨今ですが、いま日本酒はジワリと注目を浴びているのです♪

90年代のライトでドライな食嗜好から、近年は深く味わいのある嗜好へと変化しつつあります。また食の安全性や文化的側面からも「食べる」ことの意義が見直されています。スローフード運動が認知され始めているのもその証。

僕は舌先で味わう味のことを「フレーバー」と呼びます。日本酒の鑑評会などで審査をする「味」などがこれに当たります。私たち造り手は、より美味いとされる味の探求と安全については妥協することがありません。しかし「味わい」とは舌先だけで感じるものではないはず。そんな心で味わう味を僕は「テイスト」と呼んでいます。

シンプルに言えば、誰と飲んでいるかでお酒の味わいはかわるもの。嫌な上司と飲めば苦い酒だし、惚れた女性に注いでもらえば美酒となる。日本酒にしかない「注ぎつ注がれつ」という飲み方は、高度なコミュニケーション能力を必要とします。つまり、オトナにしか楽しめないのが日本酒、なんです。コドモが日本酒飲んでも、その良さはわからない(言いすぎてます?)。

総コドモ社会となっていた日本。これまでの「幸せ」の価値観が、少しづつ変化しなければならない時代になってきているようです。日本酒の良さが見直されつつあるのは、その現われかも知れません…。

お酒の学校(第3期・第3講)

2004年12月15日 | お酒の学校の十四代目
 
「お酒の学校(第3期)」の3講をしました。久し振りの先生役だったのでかなり緊張しました。講義内容は、「料理とお酒のイイ関係」。

キャナルシティ福岡にあるレストラン「ゆとりの空間」さんを会場に、お酒と料理の相性研究をしました。まず最初に、溜り醤油とレモン醤油を、それぞれ大吟醸と純米酒とで舐めながら試してみます。溜り醤油を舐めながら大吟醸を味わうと…あれ不思議(笑)、のどの奥に苦味が残ります。今度はレモン醤油と試してみると…、吟醸の爽やかな香りが引き立ち甘味が増している…。

そんな事をしながら、色々な料理とお酒の相性を確かめました。しかし、生徒の皆さんは料理が出始めたら「相性研究」よりも食べることそのものに夢中になっていたような…(笑)。

★カテゴリーに「お酒の学校」を追加しました。過去の記事も一括して読めるようにしています。
アヴァンティのHPでもレポートが掲載されています。

「蕎麦屋で粋に一杯!」馴染みの一軒を作ろう

2004年12月14日 | 近ごろの十四代目
 
今日はアヴァンティのイベントで、岩田屋新館7F「素屋」さんに行きました。「蕎麦屋で粋に一杯!」馴染みの一軒を作ろう、と題して、お酒と蕎麦を楽しむ会を開いたのです。

素屋の蓑原社長と薫仙の山田さんと私がゲスト、応募された20名のアヴァンティ読者の皆さんと楽しい時間を過ごしました。福岡は本当に、お酒の好きな素敵な女性が大勢いますね♪

開催レポートがアヴァンティで紹介されています。

田主丸ん本

2004年12月01日 | 近ごろの十四代目
 
今日は「田主丸合併50周年記念式典」がありました。今年は田主丸町が昭和29年に、水分村・竹野村・筑陽村・水縄村・船越村の一部と合併をして50年目にあたります。そして、来年2月には久留米市・北野町・三潴町・城島町と合併して「田主丸町」として最後の年でもあります。

合併50周年を記念して制作された「田主丸ん本」が全町民に配布されました。50年の歴史を豊富な写真とともに紹介されている素晴らしい本になっています。編集・デザインをした山美佳さんとは「みのう悠々放談会」などでいつもご一緒していますが、本当に大変な制作作業だったろうと思います。田主丸の文化・歴史・産業・名物・名人・方言まで、美しい写真とともに愛情あふれる素晴らしい文章で綴られた労作です。町民以外の方は手にする機会はないでしょうが、多く配布したい本ですね。