(昨日の続き)
さてビックとレスリーの息子は、父親とはかなり違う人間に育ちます。父親の牧場を継ぐことなく、貧しいマイノリティのための医師になります。さらにメキシコ人の女性と結婚します。父親のビックはがっかりして自分の全人生を否定されたような気持ちなりますが、次第にその人間性が変わっていくところが面白いです。
ジェームス・ディーン演ずるジェットは、ビックの亡くなった姉から牧場の中の小さな土地を相続します。ジェットは亡姉と仲が良かったからです。ジェットは、その小さな土地で石油を掘り当てます。この映画の中でもっとも有名な場面ですね。ジェットは、おそろしく嫌味な大富豪になったのでした。そしてテキサスに大病院やホテルを建設し思い切り見栄を張ります。そして、そのお披露目のパーティーにかつての雇用主であるビック一家を招待します。頭にきたビックは、ダグラスDC旅客機を買い込んで(笑)パーティー会場に乗り込みます。ところでジェットもビック同様メキシコ人を同じ人間と思っていません。そのためパーティー会場でビックの息子の(メキシコ人の)嫁を差別し侮辱し、抗議した息子に暴力まで振るいました。ビックは激怒してジェットの大切にしていた高級ワインの棚をひっくり返して、たぶん日本円にして数百万円分の高級ワインをおしゃかにして復讐します。これでビックは見栄を張ることにもマイノリティへの差別にも心底うんざりしたようです。買ったばかりの旅客機を手放して(笑)、普通の車で一家が帰宅の途中で立ち寄ったドライブインで、屈強なゴリラのようなマスターがビックの孫を「黒い子供」と侮辱します。さらに来店したメキシコ人の老夫婦を侮辱して追い出そうとしました。それを見たビックは、マスターに詰め寄って抗議をします。その挙句にゴリラと店が半壊するほどの派手な喧嘩をします。ビックは結局ゴリラにのされてサラダの山の中でのびてしまいますが、その後一家の絆は益々深まったのでした。レスリーと子供たちはおよそ30年かかって父親の人間性を変えたのでした。
マイノリティとは、善意とは、差別とは、人間性とは何かを考えさせる良い映画でした。