博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

月面への長い道

2023年04月26日 | 宇宙開発・天文
 わが国の宇宙ベンチャー企業アイスペース社(ispace)が打ち上げた無人自動月探査機「HAKUTO-R」 は、本日月面への軟着陸を予定していましたが、同社は着陸に失敗したと発表しました(注1)。たいへん残念なことですが、極めて意義のある試みだったと思います。と言いますのは、かつて国家プロジェクトとして遂行された米ソの月探査の初期の試みは、両国とも探査機の月面への「硬着陸」だったからです。硬着陸とは、要するに探査機を月面に自由落下させることで、当然探査機は月面で破壊されます。探査機は月面に激突するまでの短い時間に、月面の写真撮影や月の磁場や放射線の測定などを行いました。1959年9月に旧ソ連が打ち上げたルナ2号(上の写真です 注2)は月の晴れの海に硬着陸を果たし、月には地球のような磁気圏や放射線帯は存在しないことを実証しました。これは人類が人工物を他天体に送り込んだ最初の試みでした。少し遅れて1962年4月に米国NASAのレインジャー4号が月面に硬着陸を果たしています(この時は科学データの送信はできなかったそうです)。このように米ソ二大宇宙大国の国家プロジェクトでも初期には軟着陸はできなかったのです。軟着陸に成功したのは1966年2月の旧ソ連のルナ9号なので、最初のルナ2号から6年余りかかったことになります。ですからアイスペース社のような民間企業が月面の目標地点に着陸船を送り込むことができたということは、硬着陸だったにしても相当な偉業であると言えると思います。アイスペース社の皆様の奮起を私は大いに期待したいのです。
(注1)ニューズウィーク誌の報道https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2023/04/ispace.php
(注2)ルナ2号の写真はウィキペディアから引用させていただきました。

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