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今こそ『チームの力』を読む①

2020年04月21日 | 読書
 学びの多い本だった。3回に分けて印象的なフレーズや考えを巡らしたことをメモしてみる。

 【チームの力 構造構成主義による”新”組織論】(西條剛央 ちくま新書)

 まず自分自身が、「チーム」という語に関して斜に構えていたことを振り返ってみたい。
 以前も書いてはいるが、この言葉が頻繁に教育界でも使われるようになったときに、何か胡散臭さを感じていた。「スピード感」という語もつきまとっていた気がする。つまり、流行語を管理に利用しているだけなのではないかという思いが強かったのだ。

 チームという名のもとに一人一人の特性を生かすことより、組織としての統制を強調する向きがあったので、だいぶ警戒していたというべきか。

 昨年「ワンチーム」という語が取り上げられたときも、あの日本代表の進撃からどんな価値を見出しているか、明確に位置づけられていなければならないと思っていた。

 その点について実に明快に語ってくれたのが本書である。
 先月読んだ『人を助けるすんごい仕組み』の理論編として位置づけられるこの本の第一章の冒頭に、その核となる考えが示されている。

 「メンバーが自律的に動くチーム」

 「タテ組織で統率する」という発想とは決定的に違うのである。


 第二章「どんなチームをつくるのか」では、まず「チームとは何か」が問われる。

 電子辞書内の明鏡国語辞典に「ある目的のために活動を同じくする人々の集まり」と記されているように、チームとは「目的」なしに存在しないものである。
 関連して使われる語彙を確かめても、「集団」は「人や物の集まり」、そして「組織」は「役割・機能を持つ集団」であり、チームはその最上位にあると考えられる。

 チームが「目的」抜きには考えられないことは自明というかもしれないが、私たちは時々それを見失う。空文化した組織は巷にあふれているのではないか。

 そこで、項目化された次のフレーズが必須の考えになる。

 「『目的』を注意深く明文化する

 著者がリーダーであった震災時の「ふんばろう」プロジェクトの目的は「被災者支援」ではなく、「自立した生活を取り戻すサポートをすること」と明記されている。
 チームの行動は、目的に忠実であることが求められる。従って「自立」へ向ける支援のあり方は多様になるし、過剰を防ぐことにもつながる。

 教職にあった時、目的の明文化に意識的であったかと振り返れば、いささか自信がない。
 目標の具体化にはずいぶん心を砕いてきたが、目的については悩みっぱなしだったかもしれない。

 今、それぞれが属する組織はチームたり得ているか。

 つづく


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