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一点集中しない生き方

2024年05月27日 | 読書
 今さらどうしてこんな本を注文するのと思いつつ、クリックして注文した一冊。Re41『音読・朗読入門 日本語をもっと味わうための基礎知識』(杉藤美代子・森山卓郎 岩波書店)。今月から毎週必ず学校や園で読む機会があるので、「初心」にかえり…と殊勝な気持ちを抱いたか。案の定読み始めたら、大概知っていた。


 ところが100%でないからこの本の価値はある。例えば無意識にしている語のアクセント、電話番号を言うときの数字の並びなど…発見だ。それよりも喜んだのは、一つのネタが非常に興味深く教室で試したいという気になったこと。宇野重吉の語りの文章で紹介されていた。あの味のある名優に一歩でも近づくか(笑)。





 何度目かのマイブームでRe42『流星シネマ』(吉田篤弘 角川春樹事務所)が風呂場読書の中心になった。読み終わりが残念なほどの素敵な世界だ。『ソラシド』と同じように、ここでも音楽が大きな背景をつくる。現代の私たちが縛られている効率とか常識とか世間体とかから、少し離れて「物語」に遊ぶに最適な一冊だ。


 たまにはこうした有難い人の文章に触れるのもいい。Re43『一日一生』(酒井雄さい 朝日新聞出版)。この方の偉大さは修行における一種の人間離れしたところにあるはずだが、記す内容は意外と人間臭い。ある大泥棒のエピソードから「千日回峰行」で長く歩き続けるコツを、老師から授けられた記述が説得力がある。


 曰く「歩きながら休む方法」。題して「足が疲れたら、肩で歩けばいい」。これはいわば精神の拡散について語っている。人生を歩くことにもそのまま原理を応用すればいいという。つらいことの一点に意識を集中させるから「苦労」に思える。しんどいことに向き合うという正論はあるにしても、大事に届くためには…。


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