すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

あの笑顔に訊いてみたい

2024年01月25日 | 雑記帳
 最初に誰と一緒に行ったのか、誰かに誘われて入ったのか、今となっては記憶の彼方である。黄色い看板に書かれた文字は「SATE に酔うか」「JAZZに酔うか」…長く行きつけだった店のマスターが逝った。二十代後半以降、いっぱしの常連面をして通った。彼は学校の先生嫌いを広言していたが、そこが魅力だった。




 いつも二次会、三次会での立ち寄り、それでも串揚げは腹に入った。納豆嫌いの後輩を伴い、中味を秘密にして食べさせたこともあった。美味そうに頬張る姿を見て二人で笑いあった。平成後半期はほとんど「幻」と化していたが、あのカレーは絶品。酸味が好みだった。それを別の後輩に薦めたら…酷いことになって…


 親交のあったO先生が事故で亡くなり「あいつはバカだ」と、何度も口にしながらその死を悼みあった日も忘れられない。徐々に息苦しさを増していく社会や職場等に対する考えは常に似通っていて、「ヌマさん、そうだろっ」何度も頷き合った。後年、同人誌に載ったエッセイを読み、改めて共感できたことは多い。


 学校という職場を去る日も送別会の帰りに立ち寄った。かなり話し込んだが何を喋ったのか。会で頂いた贈り物を置き忘れてしまい、翌日迷惑をかけることになった。自分にとっては、あの店も一つの学校だったと印象的な区切りになった。それ以降は通う頻度が減り、コロナ禍にも見舞われ、あの笑顔とは少し遠のいていき…。


 あれはいつだったか。小さな事件があり店を休んだ時があった。再開した後に、どんな顔でいるか覗きに行った。平然と様子を語る姿に「男」だなあと感じた。その日を生きているのだ。Jazzに縁遠かった自分が、今は「BLUE GIANT」が一番のお気に入りとなった。五郎さんならどう読むだろう。今、訊いてみたくてたまらない。
 合掌。


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