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知性の不調を掘り起こす③

2019年12月14日 | 教育ノート
 「本当の敵を…」と昨日書いた後に、サークル集約(第6集)を見返していたら、当時の私たちの「気分」を見事に表す拙文に出会った。
 少し情けない感じもするのだが、面白いので再録してみる。現役の方もいるので実名は避けた。
 (やや長文です)

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 「ヤクザがこわくて酒がのめるか!」


 法則化運動の秋田合宿に、R先生、Z先生、それにS先生と一緒に参加した。
 市内に入ると、かなりの数の警官が目につく。信号で止まると、突然後ろにいた覆面パトカーが急発進し、左折する。ここ数日来、ヤクザの発砲事件のため厳重警戒が続いているとのことである。

 「流れ弾が恐いよお」という人もいたが、やはり夜の帳が降りると、「せっかく秋田まできたのだから・・・」という思いが頭をもたげ、会場のホテルから外に出てタクシーを拾うことにした。
 通りかかったタクシーに手を挙げたが、心なしか止まるのが遅いようだ。乗りこむと、口を開いた運転手が語るには「ヤクザかどうかを確かめるため」とのこと。
 さらに「ついさっき、そこでドンパチやった」という話。びっくりしながらも、目はやはり川反の方を向いていた。
 そして、心は今日のことを振り返っていた。


 Z先生が苦戦し、R先生も突っ込まれた論文審査。なんと創世記を小学校の教材にしようという模擬授業。そしてその後のパーティー、挨拶に立たれた野口芳宏先生の言葉にいささかショックを受けた。
「私のいる県ではね。向山講演会の参加者名簿を手に入れチェックするんですよ。」

 思想的なことが絡んでいる場合には。何度となくそういったことを耳にした(これに対しても私は反対です。憲法違反です)。しかし法則化運動までがその対象にされるのでは・・・さすが千葉である。
 振り返って、わが秋田はどうか。そうした傾向はないのか。
 ないとは言い切れまい。現にこの合宿は国語がメインで、中央の著名人、そして付属小の教官も授業するというのに、市内から参加者はきわめて少ない。多少なりとも県内の国語に通じている(と思っている)私が知っている顔はほとんどない。

 無関心なのか。そうかも知れない。
 ただ、次のような危惧は十分にある。
「この合宿、会に参加すれば、一派とみなされると考えている。」

 法則化批判?をしている高名な先生方の指導を受ける秋田の国語教育界から考えると、そんな予想もたつのである。
 教育奨励貢を受けたほどの教師が公開で授業し、その後ろ盾として県教育界の重鎮T先生も参加なさっているのだ。なぜこんなに人が集まらないのか。

 もし私の予想が、ほんの少しでも当たっているとすれば、まさしく秋田はヤクザの街である。
 「いいものはいい。」「勉強して何事も取り入れていこう。」という発想に圧力がかかっている。
 そこからの流れ弾は、確実に子どもにはねかえっていく

          
 必ず立ち寄らなければならない川反「蘇州」。
 日本酒を藪多く取り揃えている店である。四人で杯を傾けた。

 おもうほど ようほどに
 「秋田の酒は、宮城の酒に負けているなあ。」
 「そういえば、東京で飲んだあの新潟の酒、うまかったなあ。」
 と舌が感じてしまう。

 酒の国秋田はもうだめなのか。
 いや、期待はある。秋田の新酵母である。

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 1991(平成3年)3月に集約の「あとがき」として書いたものである。

 あれから30年近く経ち、思うことは … 明日へ。