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師走の独り視聴者委員会

2019年12月23日 | 雑記帳
 久々の独り視聴者委員会をドラマ篇で。今クールで一番見応えを感じたのはNHKBS『歪んだ波紋』だった。誤報に巻き込まれた人生がどうなるかを軸に新聞報道やネットニュースなど複数の視点を扱いながら、現代社会の複雑さを描いた物語だった。派手な演出はなかったが、渋いキャストたちが好演していた。


 フェイクニュースへの構えはある程度浸透している。しかし今我々が置かれている状況は、都会、地方に限らずますます危い空間になっていくことを感じさせられた。結論は出ないが、最終回で見えた方向は先に読んだ本にあった「小さな肯定」だなと思いを強くした。どんなに抗ってもくい止められない流れはある。


 定番『相棒』の他に続けて観たのは、どちらも日テレ10時枠だった。一年ごとに回を重ねる手法で注目された『同期のサクラ』。遊川脚本で、イメージは『過保護のカホコ』そっくりだ。卒業式の呼びかけでも聞いているようなクサイ展開は、今の社会の持つ息苦しさや苦々しさに真っすぐに斬り込んでいくようだった。


 一回の放送が2話で構成される試みの『俺の話は長い』。これは初回の姉弟バトル(小池栄子と生田斗真)が最高でハマってしまった。生田の滔々たるセリフ回しは面白かった。「会話する相手を不愉快にさせる能力」は、揚げ足取りと屁理屈付けによって発揮される、痛快に感じるほどの演技ができるのはやはり才能だ。


 ちなみに視聴率1位『ドクターX』は初回だけ見てあとはスルーである。あまりにもパターン化。最後に一年間批判され続けた『いだてん』。最終回までドタバタしたイメージで終わった。個人的に決して駄作ではないと思うし、名作間違いなしの回もあったが、大河としては納まらなかった。クドカンに年間は難しい。