すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

希望への要約力

2008年07月08日 | 雑記帳
 「がん看護専門看護師」という名称が番組上のものかどうか定かではないが、明らかにその人の仕事の内容を伝えている。
 つまり、死を待つ人々の看護。
 ホスピスを扱った本なども少し読んだことがあるし、ある程度の想像はできていたが、今回の映像はみせるものがあったと思う。

 心に響いた場面はいくつもある。
 特に自宅へ帰ることに不安を覚える患者との対話に、その真髄をみた気がする。

 教師が授業を語るときもよく「ひき出す」という言い方をするし、カウンセリングの場合などはそれこそが中心となるのだろう。
 しかし、田村のそれは実に根気よく、しかも周到に行われている。(周到という言い方は失礼なニュアンスなのかもしれないが、聴くことの力を十分に生かしているという意味だ)

 山田ズーニーのこんな文章がある。

 相手の想いを理解する上で重要なものは何か。それは、相手がいちばん言いたいことを汲み取る要約力です。

 ガン患者がいちばん言いたいことは何か。
 生の証しであろう。田村の言葉を借りれば「生ききった」という思いである。
 それはまた「希望」という言葉で番組の中で語られた。どんな患者にも希望がある。

 田村は、希望への要約力を、私に見せつけてくれた。