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表現と表出の場の逆転

2008年06月08日 | 読書
 親密圏における子どもたちのふるまいが「素の自分の表出」から「装った自分の表現」へとシフトしているのに対して、公共圏のそれは「装った自分の表現」から「素の自分の表出」へと逆にシフトしているのです。

 『「個性」を煽られる子どもたち』(土井隆義 岩波ブックレット)

 修学旅行引率中に、電車の中で見かけた女子高校生とOL風の二十代をふと思い出した。
 高校生は妙に近くの知り合いを気にしながらの会話、動作をしているが、周囲にいる乗客にはほとんど注意を払わずに大股開きでふんぞり返っている。隣のOL風は化粧を始め、マスカラをひくことに余念がない。視線は手鏡にしかない。

 関わりの薄い周囲に対して「表現」をしていることに疲れてきたからこそ、家族や友人には安心して「表出」できるという面が確かにあった。
 しかし、それが逆の道を歩き始めたということになる。
 根はまず家族にある。その自覚が肝心だ。