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浮かぶ原子力発電所

2009-03-13 | 北極圏ニュース
「浮かぶ原子力発電所」はロシアにおいて建造が進められている海上に浮かべられる原子力発電所である。

 この施設はまず造船所において大きな構造物を造り上げ、電力消費地である市や町、工場群地帯の近くの沿岸部まで曳航されてゆく。

 潜水艦や砕氷船に積まれている原子炉と同様の安全な原子炉を使うとのことだが、2000年にこの計画が発表されたときは「水上のチェルノブイリ」と非難され、核兵器開発を煽るとの批判もあった。
 この原発は5万人の町に熱と電力を供給する能力がある。海水の淡水化事業のエネルギー供給にも利用される見通しである。

 世界初の「浮かぶ原子力発電所」の建設工事は2007年4月にセヴェロドヴィンスク(Severodvinsk)のSevmash潜水艦造船所でスタートしたが、2008年9月にサンクトペテルブルグのBaltiysky造船所に移された。

 ロシアは、北極圏海岸の8ヵ所に「浮かぶ原子力発電所」を利用する予定。発電所への関心を示した国が20か国あるらしい。中国政府当局も浮かぶ原子力発電所建設を始める準備をしているという報告もあり、ロシア当局は少々あせりを感じている。

 世界初の「浮かぶ原子力発電所」による発電は2010年5月までに準備ができているだろうとロシアの国営原子力企業ロスアトム(Rosatom)は言う。

しかしこの「浮かぶ原子力発電所」に対し、いろいろな問題が指摘されている。

 「浮かぶ原子力発電所」は、高濃縮ウラン燃料を使用し、核テロリストにとっては陸上のプラントより魅力的である。
 それにロシアには、これらの超僻地に設置されるプラントに生じる緊急事態に対処する基本的インフラストラクチャーを欠いており、 北極圏地域に人間の健康や地域環境、経済、社会に深刻な影響を与える放射能汚染を引き起こす危険性がある。