銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

岩の湯(東京・赤羽岩淵)

2021-07-10 07:07:00 | 銭湯
#岩の湯


・歴史の重みがある建物
・親切な店主
・熱いお湯だがちょうどいい






東京メトロ南北線
#赤羽岩淵駅
▲赤羽岩淵駅。南北線の終点駅だ


▲すぐ隣は埼玉




▲エスカレーターをのぼり




▲改札口




▲むかしは川に面した場所だったので(橋がないところは川の増水具合で足を止められたため)、宿場町として栄えたところだったようだ


▲地図をみると


▲川方面に向かって、正光寺の裏側に今回の目的地がある


▲1番、3番どちらに出ても3分で到着する距離。今回は1番で行く


▲再びエスカレーターでのぼる




▲階段をあがり




▲外に出たところ


▲改めて地図をみる。上に進む


▲目の前の横断歩道を渡り




▲右に進む


▲ピンクのマンションがみえてくる


▲ここを左折する


▲正光寺の案内がみえる


▲ちょうどアジサイが咲いてた時期


▲右手にお洒落なカフェがある


▲その珈琲店がある十字路でストップ


▲左側を向けば煙突がみえる


▲あとは解説不要だろう


▲到着




▲コインランドリーも併設してある


▲隣をみると、隣もまたレトロな様子


▲ここは昭和の頃から時間が止まった場所のようだ


▲古い銭湯だとまわりから浮いてることが多いのだが、ここに関しては周辺と違和感なく溶け込んでいる


▲屋根越しで見える煙突が渋い


▲銭湯浪漫ののれん


▲中に入ると、タイル絵が出迎えてくれる


▲右が女湯、左が男湯である


サンダルを下足箱にあずけて扉をあけると、すぐ右手には番台。
座るのは白髪の70代後半ぐらいの女性だ。
この日は5月末とはいえ夏のような暑さなのにクーラーは利いておらず、受付の女性はうちわをあおいでいた。
「貸しタオルありますか?」と訊ねると、「あ、ありますよ」とすぐに手にとってくれたが、ちゃんと綺麗なのか確かめてくれているようだった。
「ありがとうございます」と言うと「これで大丈夫?」と聞いてきたので「はい」とこたえて貸してもらうことに。
500円を渡してお釣りが30円だったので、無料のようだ。
まわりを見渡していると、「使ったらこの上においてください」と冷蔵庫の上を指さしていた。おそらくコロナ対策の一環だろう。ここに限らずだが、他の銭湯でも冷蔵庫の上に置いてくれというところが多い。


脱衣場はやや広めで、島のロッカーが2つと、左側の壁にもある。壁のロッカー上にはガラスケースの中に動物のぬいぐるみや人形、ボーリングのピン、ディズニーキャラクター、食器などごちゃ混ぜに入ってる。
よくよく見るとめちゃくちゃなのだが、不思議とまとまりがある。
扇風機は、真ん中と奥に一つ。
話はちょっと飛ぶが、入浴して浴室から戻ってくると体が火照ってるから扇風機の前に立っていたら、「真ん中の扇風機もつける?」と店主の女性から声を掛けてくれた。
服を脱ぐときは「タオルなってる?」と聞かれて、内心(なってる??)だったのだが、どうやら綺麗かどうかではなく、タオルの大きさが大丈夫か心配してくれてたようだ。
むかしの人らしく世話好きで親切なお母さんという感じだった。帰りのときは笑顔で「ありがとうございます」と言ってくれたり、むかしながらの人情を感じさせてくれる銭湯だった。


服を脱いで浴室に入ると、浴室は島カランが2つ。左右の壁にもカランがあるが、やはり古い銭湯らしく島カランはシャワーなし。
立ちシャワーは左側に一つだけあった。
この立ちシャワーは水圧がかなり低くて、ハンドルを全開ひねっても小雨程度しか出てこない。
ふつうのカランもおなじく弱めで、色々試したけどみんなそんな感じだった。水回りが弱いのは残念である。
そのかわりと言ってはなんだが、面白い物の発見。
桶がよく見かけるケロリンのプラスチック桶であるが、なんと黄色ではなく白。
このバージョンは初めて見た。ここだけなのか、それとも他にあるのか。ただ、相当レアなものは間違いなさそうだ。


浴槽は奥にあって、おおまかに2つに分かれる。
右が深浴槽で、座湯とジェットバス。どちらとも圧はちょうどいい案配。
ジェットバスはどちらかというとハイパージェットの原型みたいな感じだ。


左は主浴槽で、右半分はなにもないけど、左側はバイブラで壁の湧出口にはなにやら白い物体がある。
なんだろうと思い近づくと、単にペットボトルが4つ並んでいるだけだった。
しかしなぜペットボトルを置いてあるのだろう? 飛沫防止のためか。
水垢と塩素ですっかり白く化粧されており、パッと見はペットボトルとは気がつかなかった。


壁絵は古典的な富士山の絵で、真ん中に大きく富士山が描かれており、このへんは男女平等という感じがした。
全体を見ると、いたるところにペンキのハゲたところが散見され、塗り直してるのはずいぶん前だと分かる。ペンキが綺麗だと印象は全然違うと思うのだが…。
間仕切り壁のところは浦島太郎を題材としてもので、奥から手前に掛けてストリート性のある構図となっていた。
亀に乗る浦島太郎。なぜかすでに手には玉手箱を大事そうに持っており、まわりを魚たちが誘導してる。
真ん中には竜宮城の入り口があって、立派な門構えで蓄財ぶりが感じられる。
最後は意外と質素な食事がテーブルに並ぶ。ただ、従業員?らしき女性たちが食べ物を運んでいる最中だったので、これから豪華になるのかもしれない。
そして艶やかな若い女性たちが浦島太郎の目の前で踊っている。太郎も満更ではない様子。
これで気になるのが、女湯側だ。
この先に待っている悲劇を女湯の方で描かれているのだろうか。
しかし亀を助けた恩義にしては、ずいぶんと接待しすぎではないか。
いじめられていた亀を助けたぐらいなら、せいぜい折り菓子を送る程度で済む話だと思うのだが、竜宮城の当主がわざわざ歓待するぐらいだから相当重要な立場の亀だったのだろう。


客層は高齢者がメインながら、意外と中年層も少なくなかった。
客同士の会話は一切なく、女湯からも会話らしく声はほとんどなかった。
ただ脱衣場にいると、「気持ちよかったー」という高齢者らしきお客さんの声に「気持ち良かった?」と店主の声があったので、そのへんのコミュニケーションはあるようだ。


こんな感じで活気あふれる明るい銭湯とは言い難いが、古いなりに清潔感があって、しっかり運営されているという印象を受けた。
なによりも歴史が滲み出た建物は今となってはとても貴重で、受付の女性の心温かい対応など、古き時代の良さが今も生き続ける銭湯だった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 赤羽岩淵
経路 川方面へ。お寺の裏側
周辺の環境 住宅

●空間演出
建物外観 レトロオブレトロ
壁画・眺望 富士山
統一感 あり
置物 ぬいぐるみとか
照明 やや暗い

★設備
休憩所 脱衣場
脱衣所 古い
シャワーの出 悪い
浴槽の種類 座湯、ジェット、バイブラ
サウナ なし
温度 46℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 親切
清潔さ きれい
貸しタオル あり(0円)
備え付け なし

◆人
受付 70代の女性
客層 高齢者や中高年


【案内】
住所
〒115-0041
北区岩淵町31−2

電話番号
03-3901-5405

アクセス
東京メトロ南北線「赤羽岩淵」駅下車、徒歩3分

休日
金曜

営業時間
15:30−24:00

※東京銭湯ホームページ転載


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (お良し)
2021-07-10 18:32:11
こんばんは(^-^) いつも面白く拝見しておりますが、今回のはいつにも増して描写が面白かったです~。浦島太郎の絵のくだりは笑わせていただきました( ≧∀≦) 
 銭湯としても温かい雰囲気の良い所のようで、いろいろ想像して読みました♪いいですねぇ。
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Unknown (southandnorthface)
2021-07-10 19:10:57
お良しさんへ

コメントありがとうございます。

ワクチン大変でしたね。
あまりニュースに出てこないような話なのでビックリしました。
うちの両親もそろそろワクチンを打つ予定なので、大丈夫かなぁ~と心配になりました。
大事に至らなくて良かったです。
血圧の話はとても勉強になりました。

ここは心も体も温まるところでした。
洗い場の設備は正直うーんと思いましたが、女性の対応はホント素晴らしかったです。
浦島太郎は、色々と考えたら突っ込みどころ満載に気がついて、つい筆が滑ってしまいました笑
岩の湯は転載できる写真があれば良かったのですが、ちょっと引用できそうなサイトがなかったので今回は写真無しになりました。拙い文章で大変申し訳ないのですが、お良しさんの豊かな想像力で補っていただければと思います。
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Unknown (sun-sun)
2021-07-10 23:52:04
こんばんは。

あら、入口のタイル絵の上に犬がいます?

1回行ったことあります。
そのときの印象は古い!レトロ!でした。
間仕切りの絵が浦島太郎だったかは失念してしまったので、
今度赤羽に行くことがあれば訪ねてみたいと思います。
浦島太郎の結末も気になるし笑、白ケロリンも気になります‼

赤羽の駅近くに第二岩の湯という銭湯がありまして、
新しくてキレイでお気に入りだったけど閉店してしまいました。
こちらの岩の湯さんとの関係はわかりませんが、新しいほうが先に閉店してしまうのもわからないものですね。
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Unknown (southandnorthface)
2021-07-11 06:00:46
sun-sunさんへ

おはようございます

ホントここは古いところでした。昭和初期あたりに建てられたのか、たぶん東京でも指折りの歴史を誇るところじゃないかと思います。
中に入ると特有の暗さというか雰囲気というか、なんともノスタルジックさを感じさせるところでした。
タイル絵の上にある犬は、たぶんぬいぐるみだと思います。女湯の方はどうなのかわかりませんが、男湯でもかなりのぬいぐるみが飾ってあったので店主が好きなのかもしれませんね。

以前は第二岩の湯というところがあったとは知りませんでした。近隣で同じ名前ならおそらく関連があったのかもしれません。
たしかにふつうは新しい方を残しますよね。売上があまり良くなかったのか。運営する人も違っただろうし、必ずしも新しいからいいとは限らなかったのかも。
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