銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

五色湯(東京・椎名町)(リニューアル)

2022-09-24 07:40:00 | 銭湯
#五色湯








西武池袋線
#椎名駅
▲西武池袋線の椎名町駅。池袋に隣接する場所だ





▲階段かエレベーターであがり


▲グルッとまわれば


▲改札口


▲そばにはコンパクトなスナックコーナーがあるが


▲注目はこちら。漫画の梁山泊と呼ばれたトキワ荘があったことだろう


▲いまは最寄り駅が都営地下鉄の落合南長崎駅になってしまったが、当時はトキワ荘の最寄り駅が椎名町駅だった


▲当時の編集者が原稿を効率的に回収するために一つのアパートに漫画家たちを集めたそうだ。合理的な発想が、後世に伝説を生み出したと言える




▲南口を降りたところ(南口は出口が2つあるが、ここは上りエスカレーターがある方面の出口)


▲近くの地図をみると

▲右斜めに五色湯の文字がみえる


▲高速道路の下をくぐって


▲右の道にすすむ






▲ここでストップ


▲えがお歯科のところを目印に左折して


▲まがれば五色湯がみえてくる




▲マンション銭湯だ


▲コインランドリーを併設


▲2022年9月15日にリニューアルオープンしたので、訪れたのはリニューアルしてまもなくの日だった




▲到着


こちらはリニューアルする前のときも来ていたが、とにかく指折りのカオスな空間だった。どうカオスだったかというと、あふれる物が乱雑に置かれ、ロッカーの上には無数のプラモデルが飾られてあった。プライベートと公共空間の境界が曖昧な銭湯だった。それがいまやリニューアルして生まれ変わっている。


のれんをくぐると、なぜか左側のスペースに若い女性が座っており、「いらっしゃいませ」と挨拶してくれてから「サウナに入りますか?」と聞かれた。
「入らないです」とキッパリ言うと、「では、そちら(右側)に回ってください」と言われた。
最初は話が飲み込めなくて、
「サウナの人はそっち(左側)から回るのですか?」とアホな質問をすると、笑顔で返してくれて、そうではなくて人数制限をしている最中だったので整理券を配ってるとのことだった。


下足箱のスペースはどうしても狭かったけれども(人と入れ違くときはすれ違うのに苦労した)、バリアフリーになっていて内装はやはりとても綺麗だった。
下足箱の横には小さな券売機が置いてある。
入浴料は500円で、フェイスタオルはレンタルで50円だった。
自動扉をあけて中に入ると、左手前のところに受付があり、座るのは20代ぐらいの男性。その横にはおなじ20代もしくは10代後半ぐらいの若い女性が立っていた。
やり取りを伺うと、男性が女性に仕事を教えてる様子だった。
チケットを差し出すと男性従業員は女性に、「フェイスタオル」と言って、なぜか自分に直接わたさず女性に渡して(仕事の流れを教えていたのだろうけど)、女性からフェイスタオルを渡された。返す時は返却用のカゴがあるのかと思ったけど、帰りのときも女性が「こちらにどうぞ」と受け取ってくれた。
受付のそばには高齢の男性が座っていて、「いらっしゃいませ」と挨拶をしてくれた。おそらくここの店主だろう。
女湯は右側で、男湯は左側だった。


のれんをくぐると、まず驚かされたのは足元が畳だったことだ。新装開店したばかりなので、新品の畳の匂いが充満していた。まわりを取り囲むロッカーもそれぞれ大きさが違っていて、最適のサイズを選ぶことができる。標準の大きさでも十分に大きいので、よっぽどの荷物を抱えた人でない限り問題ないだろう。
それよりも個人的に感心したのはロッカーの鍵だった。
通常だとこの手のデサイナーズ銭湯はコインリターン式(100円を投入して、鍵を戻せば100円が返ってくるやつ)で面倒を強いられるが、ここはそうではなかった。
そのかわりに白いキーホルダーみたいなのがぶら下がっており、なにこれ?とよくよく見ると、ICチップみたいなものだった。これなら客が間違って持ち帰っても入り口でピーピー鳴って客を捕まえることができる。万引き防止の仕組みを応用したものだろう。この仕組みなら近年できたスーパー銭湯より進んでる。
脱衣場のアメニティはティッシュのみで、ドライヤーはもちろん有料。デザイナーズ銭湯の中でこの吝嗇ぶりは潔い。
間仕切りのところは、むかしの広告が飾られてあった。体重計もデジタルではなく針ではかるタイプ。随所に昭和の記憶がアイコンとして活用されている。


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴室の扉をあけると、やはり元の銭湯と比べてずいぶんと生まれ変わっている。
真ん中には島カランがあり、右の間仕切り側にもカランが連なる。
左は浴槽が並び奥まで続いている。
カランのシャワーはスーパー銭湯にあるようなプッシュ式ではなく、ハンドルでまわす固定シャワー。自分の都合で出し続けることができるので快適だ。一方で、シャワーの温度は自分で調整できないのでちょっと熱いのが不満だった。
もう一つ目を引いたのが、桶が木桶だったことだ。こちらも新しくてとても清潔感がある。
ところで今までの銭湯だと木桶のところは「カッコーン」と鳴るのに、ここは「カッ」で終わった。コーンという余韻がないのはなぜ?! 床との相性なのだろうか?


出典:東京銭湯ホームページ引用


浴槽をくわしく見ていくと前側が主浴槽で、主浴槽の手前は深い段差になっておりジェットバスが3つ横に並んでいた。
残りは浅浴槽で温度は42℃ぐらいとまずまずの温度。中温湯とかかれてあった。
その奥が白濁の湯で深浴槽であり高温湯だ。この高温湯がデサイナーズ銭湯ではかなり珍しく、48℃ぐらいはあったんじゃないかと思う。こうした熱湯を用意したのは、やはり銭湯はこうあるべきという店主のこだわり、あるいは昭和の頃からつづく伝統を堅守したい思いがあったのかもしれない。
ならばその熱い思いを受けとめてやるぜ!とばかりに勇ましく入ったのだが、膝まで入ったところですごすごと撤退した。やはりヘタレの自分には厳しかった。自信がある方はぜひチャレンジしてみてください。


出典:東京銭湯ホームページ引用


出典:東京銭湯ホームページ引用
▲高温の白濁湯


島カランの奥には大きな大黒柱があり、その裏手に立ちシャワーが設置してあった。
立ちシャワーのヘッドは大きな蓮の葉のように広がった円形で、勢いはまあまあだったが使いやすかった。
その立ちシャワーの右側にサウナがある。サウナは整理券を発行するほど大人気だが、整理券があれば入れるかというと扉の前で行列ができていた。ちょっと覗いただけだが、やはり小さくて狭い。近場の住民でない限りここのサウナの利用は少し考え物だろう。
立ちシャワーの裏手には水風呂が用意されていた。
水風呂は段差があって、意外と深く、人数は詰めれば4~5人は入れそうだ。水温は冷たくて18℃ぐらいだった。


出典:東京銭湯ホームページ引用


左に目を転じると浴槽の裏手側に休憩スペースが用意されていて、3人ほどが座れる長いすがある。
その長いすの前には外の空間に外気浴のスペースがある。扉をあけて外にでてみると、小さなスペースであるが無駄なく活用されていた。
奥のほうに椅子が4つ並び、入り口すぐ真横には寝っ転がれるリクライニングチェアがある。
椅子に座れば、頭上にそびえるのは大きな煙突で、建物からダクトが煙突につながっていた。いまでも現役なんだと妙に感心した。
ここの人たちはちゃんとマナーがしっかりしていて、外気浴の椅子を立つときは、すみっこにある蛇口で桶に水をくんで椅子に水を流していた。もちろん自分もそれにならって、椅子を立つ時は水で流した。


出典:東京銭湯ホームページ引用


全体的に昭和の銭湯をテーマにした作りになっているので、統一感はしっかりしている。設計は近年の銭湯を開拓してきた第一人者である今井健太郎事務所。
もしも自分に資金があって銭湯を営業する勇気があるなら、今井健太郎事務所に設計を頼むだろうなと妄想する。


過去の五色湯を知っているだけに、リニューアルしたらどうなるんだろう?と期待と不安が入り交じっていたが、まさかここまでちゃんと今風の銭湯に生まれ変わってるとは思ってもみなかった。
椎名町駅の線路を跨いだ反対側には池袋を代表する妙法湯という巨人がおり、この地域で生き残るための方向転換をはかったのだろう。
たしかに微に入り細をうがって完成度は高く、これから多くの若い人たちを引きつけるだろうと思った。
ただ、かつてのような乱雑さは姿を消して経営者の個性が漂白されてしまった姿には一抹の寂しさを感じたのも率直な気持ちだった。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 椎名町
経路 住宅街の方へ
周辺の環境 住宅街

●空間演出
建物外観 マンション
壁画・眺望 
統一感 あり
置物 ゆっポくん
照明 薄暗い

★設備
休憩所 ロビー
脱衣所 畳敷き
シャワーの出 勢いがある
浴槽の種類 ジェット、白濁湯、水風呂
サウナ あり
温度 42~48℃
棚 あり
男女入れ替え なし

■サービス
接客 ふつう
清潔さ きれい
貸しタオル あり(50円)
備え付け あり

◆人
受付 20代の男女
客層 若者や高齢者


【案内】
住所
〒171-0031
豊島区目白5−21−4

アクセス
西武池袋線「椎名町」駅下車、徒歩3分

休日
水曜

営業時間
16:00−24:00、土・日曜15:00−24:00
入浴受付最終23時30分、サウナ最終受付23時

※東京銭湯ホームページ転載