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Snowmint

Ca m'est reste dans l'esprit.

十二国記

2006-03-25 | BOOK
月の影 影の海〈上〉十二国記

講談社

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最近、友人とこの本の話で盛り上がった。
誰が好きか、どのシーンが良いか、これからどうなるか・・・など。
しかしこれを読んだのは相当昔で、所々あやふやで記憶もごっちゃ。
ええい!これはいかん!と、旅行に持って行き、読み返した。
ええ、ええ、重たいのに、スペインまで持って行きましたのよ。
もちろん11冊すべてではありません。半分ほど。
しかし旅行はバス移動が多く、これで退屈がしのげた。
そしてその続きを先週読み終えたのだが、
また、「続きが読みたい!」という気持ちに火が着いてしまった(-_-;)
出るのか疑問に思うほど、作者が書いているという噂を聞かない。
作者ご本人も以前、自分は遅筆だとおっしゃっていたし、
壮大な話で設定も入り組んでいる為、書くのは大変だろうと想像も出来る。
しかし、角を失った泰麒がこれからどうなっていくのか、私は早く知りたいの!


これはNHKでアニメ化もされており、そのファンも多いが、残念ながら私は、そちらのほうは殆ど見た事が無い。
それでも見て気を紛らわせようか。
いや、火に油を注いでしまうかもしれない、やはりやめておいたほうが無難か・・・?!

なら、ゲームは・・・






未練たらたら、ですか?




十二国記 - 紅蓮の標 黄塵の路 -

コナミ

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「鳥葬の山」 夢枕獏

2006-02-25 | BOOK
1993年に出された短編集。
巻末、中島らも氏が解説を書いている。
その終わりに「読みきるのが惜しいような異界のスケッチ集だ」と書いておられるのだが、まさにその通り。
氏は「頭の中の湿った土」「鳥葬の山」「羊の宇宙」「渓流師」がお気に入りなようだが、私は巻頭の「柔らかい家」が好きだ。
森の中、道に迷って見つけた灯りに命拾いをしたと思い、そこに一夜の宿を求める。
住んでいるのは老人一人。
家の中からは旨そうな匂いが漂っている。
「よくいらした、どうぞどうぞ、あなたは幸運な人ですよ」
と快く招き入れられるのだが、この家には犯してはならないルールがいくつかある。
消えた老人の家族の話やゴミに埋もれた長女、トイレに出る得体の知れない物の話などを聞いているうちに、男はだんだん恐ろしくなり、逃げ出すのだが・・・。

最初はちょっと、グリム童話のようだなと思ったのだが、それどころではない。徐々に心を侵食する恐怖だ。

この短編集には、どの物語にも流れている共通の匂いがある。
それは湿った死の香り。
そして、いくつかの物語に、森の匂いのような物を感じるのだが、それは暗く閉ざされた森の恐怖ではなく、陽の光の下ででも、明るい木漏れ日の射す森の中ででも、きっと感じるに違いないと思えるような、恐ろしさ。
暫くは森には行けない。



西荻窪「にわとり文庫」

2006-02-04 | BOOK
久しぶりに、いい古本屋に出会った。

WILLIAMS-SONOMAの「cakes,cookies,pies & tarts」を買う。
昔、代官山で見つけて欲しいと思ったが、その時は荷物が多く、買えなかったもの。
手にしてすぐに、それだと分かった。
1890円!即買い!

良い買い物でした(*^_^*)

他にも、坪内逍遥の児童劇本(復刻版)や、淀川長治先生の本とか、可愛い絵本も沢山あって、おメメも頭の中もグ~ルグル(@_@;)

ショーウインドウの中に飾られていた、
ポレ?だったかな、ポラ?だったかな、の王子さまというタイトルの背表紙が見え、
本の整理をしていた店員さんに「星の王子さま」とは違うの?と聞くと、
くすっと笑い、出して見せてくれた。
・・・パロディ本でした・・・しかもエロ・・・。
表紙には王子さまがおっぱいに乗って星を指差す絵が(^_^!)
お値段を聞いてびっくり、六千円!(*_*)ヒョエ~。

「パティシエ世界一」東京自由が丘「モンサンクレール」の厨房から/辻口博啓・浅妻千映子

2006-01-19 | BOOK
自由が丘「モンサンクレール」のオーナーパティシエ辻口博啓氏が、彼のケーキと、その発想、技術を語る。
浅妻千映子氏がインタビューし、それを起こしたものなのだが、上手い。
実際に、辻口氏の穏やかな声を聞いているように、楽しめた。

苺ショートを初めて食べた時の衝撃、それから繋がる自分のケーキへの想いから、クレームパティシエールの配合まで語ってくれている。
真似されちゃうな、と言いながら、香ばしいプリンの秘密まで。
しかしそれは、辻口氏の自信でもあるのだろう。
いくら同じ配合であっても同じものは再現できない。だからみんな買うのだ。
私も一流シェフの作る美しいケーキは真似できない。デコレーションの美しい華やかな生菓子は、絶対に買う。
私は私が作って美味しいものを作る。
他の人が作ったほうが美味しいと思うものは、下手に真似をするよりも、買ったほうがいい。

焼き菓子について、
「シンプルな味だからこそバターが映える」
という言葉があった。
嬉しい。
私の考え方と同じだから。
卵にも拘っている。
チョコレートもアーモンドプードルも、香の好みもあるだろうが、
やはり基本になるところに良いものを使わなければ、本当に美味しいものは作れない。
お金を出すなら、そういうものを買って食べたい。

「ポオ小説全集3」

2006-01-16 | BOOK
1841~44までに発表された短篇17篇。
モルグ街の殺人、メエルシェトレエムに呑まれて、妖精の島、悪魔に首を賭けるな、週に三度の日曜日、楕円形の肖像、赤死病の仮面、庭園、マリー・ロジェの謎、エレオノーラ、告げ口心臓、陥穽と振子、鋸山奇談、眼鏡、軽気球夢譚、催眠術の啓示、早まった埋葬。

モルグ街の殺人とマリー・ロジェの謎は、少し前に読んだ短篇集と重なる。

ポオにはユーモラスな面とエキセントリックな部分があると思う。
若い頃はそのどちらも楽しめたはずなのに
今は、神経質な面に触れると少し疲れる。
「赤死病の仮面」など、よくできていて洒落ているとは思うのだが、「悪魔に首を賭けるな」や「眼鏡」のような間抜けな落ちの付く話が好きだ。

いつも思うのだが、ポオの残酷さは、あっけらかんとしているなぁ。

「天上のシンフォニー」伯宮幸明

2006-01-16 | BOOK
昨年末、友人から、505ページのコピー本を手渡された。
ある期間までに、これを3000冊売ったなら、出版しようと約束をされた「本」だ。
友人の間では、かなり話題になっていた本なのだが、私はサイトすら見たことが無かった。
しかしそれに深い意味は無く、ただ、億劫だっただけ。
せっかく回ってきた物だから、読んでみる事にした。
手にしてみると、裏表紙など折れて大分くたびれている。多くの人の思いが詰まった本だなと思う。

ツアーガイドとして平凡に暮らしていた男が、ひょんなことから、あるメッセージを受け取ってしまう。
そして彼は世界中の聖地を巡り、前世から約束された仲間を捜し出す。
集められた7人のメンバーは、旅をしながら自分を取り巻く真実とは何か、真理とは何処にあるのか、悩み、光と闇に惑わされながら、次の扉を開ける鍵となる石を捜していく。
マヤ暦終焉の「時」に向かい、開かれた扉の向こうにあるものは・・・!?


宗教色がかなり強い。
しかし何の宗教かというと、特定の宗教ではないのだ。つまりは全ての源はみな同じだ、ということ。
ヒンズー教も、イスラム教も、ユダヤ教も、キリスト教も仏教も、神とは一つのエネルギーであり、共通するものは愛と慈悲である、という理論。
それを邪魔するものは恐怖でしかない、と言う。

大まかなストーリーは有りがちなものだと思う。
しかし、この作者はよく勉強をしている。
様々な宗教について、詳しい。悟りについてなど、解釈はそれぞれなので、それはあっているとか間違っているとかは言えないが、エネルギーとなったブッダやキリスト、マリアが語る言葉は、聞きかじりの知識だけで書ける物では無い。

しかし、この本の中で、天国も地獄も人間が作り出したイメージでしかないと、キリストのエネルギーが言う。
そんなこと、言っていいのか?!キリスト!笑
ブッダも、マリアも、けっこういろんなこと言ってるし。
本の内容から出版を阻止しようとする圧力が生まれることを懸念し、事前にそれを撥ね退ける態勢を作るためにこういう出版方法を選んだというのも、少しうなずける。

この話の核となるのは「輪廻」だ。
物語の登場人物達は、カルマを浄化しながら、何度も何度も輪廻を繰り返す。
しかし、今の生は前世の贖罪であるなんて思いたくないし、善い行いをしても来世でより良く生まれ変わるためだなんて、頭の中に少しでも浮かんだとしたら、私は嫌だなぁ。
カルマは全盛の贖罪ばかりでなく、他者に何かを見せるために、何かを気付かせるために、自ら望んで苦難の生を選ぶ者もいるという理論も、受け入れられないぞ。

それでも、一生のうちにより多くのプラスの想念を持ち続けた者はプラスのカルマを作り、マイナスの想念をたくさん持ち続けた者はマイナスのカルマを作る、という言葉には、ちょっと惹かれた。
カルマという単語を抜かせばだけど。
やっぱりマイナス思考はマイナスの運気を呼び込むものだから。
恵まれた環境に身を置きながらも、怒りや嫌悪、嫉妬などにかられて生きている者もいれば、貧しく厳しい環境にいながらも、平和な意識状態を持ち続けているものもいる。
恵まれた環境に生まれた者の方が得という訳ではない。
幸福とは自分の心次第なのだ。

物語は終盤から、オカルトからスターウォーズに、そしてRPGのようになってしまう。
しかし前半は理屈が多く、物語が大きく動かないことに少々辟易したので、宇宙冒険活劇的展開も悪くはない。

しかし、物語は終わらない。
そう思わせるラストシーンは余分だったのではないだろうか。
これからも続きを書くぞ!っていう気持ちがリアルに見えちゃって
ちょっといやらしい感じがしたんですけど・・・。


見事3000冊の目標は達成され、4月に講談社から出版されるそうです。
「天上のシンフォニー」製作委員会http://ameblo.jp/tenjounosinfoni/

「へんこつ 上下」 平岩弓枝

2006-01-14 | BOOK
『南総里見八犬伝』で知られた滝沢馬琴が探偵役となり、江戸に起きた怪奇な事件を解明していく。
もちろんフィクションであるが、馬琴という人は、克明すぎるほどの日記を残していたそうで、それには、その日誰が来たか、何をしゃべったか、どこへ出かけたか、金銭の出入りから空模様、地震まで記載してあり、これは資料としては申し分ないものの、物語を書く者にとっては、煩わしくうっとうしいものであったらしい。
実際、この時代、大奥から発した大儀事件が数回起こっている。それに絡めて、馬琴登場の物語らしく、小牛程もありそうな白い犬を連れた謎の美少女と馬琴が出会う夜から、怪奇な事件は幕を開ける。
後半、舞台は長崎に移る。全ての謎はここにある。
上陸したら戻ってはこられないという言い伝えの残る、不帰島の伝説があらわになるほどに、物語はおどろおどろしく異様な姿を見せ始めるが、へんこつながらウィットにとんだ馬琴や活躍する同心達のキャラクターの魅力だろうか、横溝正史のようなどん底な暗さは無い。
タイトルの「へんこつ」とは中国地方にある言葉で、偏屈と反骨の精神を持った呼称だそうだ。頑固で頑なな老人には、ぴったりな言葉である。

夢枕獏「陰陽師」を5冊

2006-01-12 | BOOK
「陰陽師」のブームは数年前にあった。
様々な役者を主人公にドラマも数本作られ、いくつかの漫画にも描かれた。
しかし、その頃の物は全く見ていない。
これを原作に描かれた漫画の作者、岡野玲子氏は友人の奥様であるが、不義理にもこれさえも未読。
ブームが去り、BookOffで100円で売られるようになった頃いそいそと買い集め、読みだすというのも私らしい。
夢枕獏氏のあとがきを読むと、彼が最初にこれを書いたのは昭和63年、約18年前だ。

阿部晴明という人は今昔物語にも語られた実在の人物であり、陰陽師である。
しかしここで私が語らずとも、皆様周知のことだろう。
その人が、親友の源博雅と共に、この世の物とは思えぬ不思議な事件を、ばっさばっさと解決していく。

陰陽師、付喪神ノ巻、鳳凰ノ巻、生成り姫、龍笛ノ巻、五冊を読了。

恨みや憎しみが人を鬼に変える。
しかし鬼となっても、その恨みが果たせたら成仏できるらしい。
しかし人に呪をかけそれに失敗をするとその呪はかけた者に戻ってしまう。
恨みとは恐ろしい。
自分の恨みに気付かず生霊となってしまう場合もあるだろう。それはもっと恐ろしく悲しい。

自分はどうだ。
私は誰かを恨んでいるか。気付いていない恨みを抱えてはいないだろうか。
もしも人からひどい仕打ちを受け悲しみや辛さを感じたとしても、殺したいほどの強い恨みは私からは生まれない、そんな気はする。

ただ、私と同じだけの孤独を、相手にもおくりたい。
それくらいは思ってしまうかもしれない。

それもまた、呪か?(笑)

晴明と博雅の会話が面白い。博雅の純真さと無邪気を、晴明が楽しんでいる。
そのやり取りは少々哲学的でもあるのだが、
純真さゆえに発する博雅の言葉や疑問に、晴明が時折ハッとする。
そして晴明の「おまえはよい漢だ」という台詞で全てが締まる。
こんなにも信頼し、理解し合える友の存在は、羨ましい。

それにしても、月を眺め、季節を眺めながら酒を酌み交わす姿は風流である。
いいな、平安時代。
月の無い漆黒の闇にも憧れる。
抜けた飛天ノ巻、大極ノ巻、瀧夜叉姫、瘤取り晴明も探して読みたい。

「ぼんくら上下」宮部みゆき

2006-01-10 | BOOK
本命の事件のエピローグのような短篇が、ぽぽぽ~ンと続く。
それはまるで、緩いテニスのラリーのように。
それが、上巻後半から起こる話の伏線となり、周辺人物の紹介を兼ね、主人公の像を浮かび上げる。
同心「井筒平四郎」に纏わる、ただの短編集かと思っていたのだが、違った。
物語の中盤から、「長い影」が、そろりそろりと幕を開けるのだ。

読んでも読んでもなかなか謎が解けていかない。薄い皮がほろりと剥がれるとまた、事件は全く違う顔を覗かせる。
読み手を飽きせない、押し引きが上手く、久しぶりに私は話に捕まり、睡眠不足になりました。

平四郎の助けとなる、二人の子供が可愛らしい。
お人形のように綺麗なお顔を持ちながら利発な弓之介と、テレコのようなおでこ。
とくに弓之介は全く魅力的な子で、こんな子供なら平四郎でなくとも欲しいだろう。

「Φは壊れたね」森博嗣

2006-01-09 | BOOK
意外な結末。
ミステリーのレビューを、結末から書いてはいけませんね。
しかし森氏のミステリィは、いつも結末が想像ができない。

西之園萌絵の出てくるS&Mシリーズが終わり、もう彼らとは会えないのかと思っていただけに、新シリーズの開幕は嬉しい。
しかし今回は萌絵の活躍は少なく、犀川氏との絡みも不完全燃焼。

森氏の描く登場人物が好き。キャラクターの立たせ方が上手く、出てくる人物が、みな魅力的なのだ。
このお話の中では、海月くんが私のお気に入りです(*^_^*)