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Snowmint

Ca m'est reste dans l'esprit.

「人は思い出にのみ嫉妬する」

2007-07-31 | BOOK
やばいと思いながら手放せなかったり危険だと知りながらついつい近づいてしまう、悪い癖。
本屋でタイトルを見た瞬間、胸の奥からザワザワと不快な音が聞こえた。
まずいと思いながらも手に取りぱらぱらと読み始め、2,3ページ読んだところで切ない思いに囚われてしまった自分に気付き、本を手放した。

予定通り、本屋に入った目的である本を探してレジに向かう。
それでも気になる。
やっぱり戻って再び手に取り、
やばくても危険でも好きなものは好きなのよ!と開き直って買ってしまった。

辻仁成は、好き嫌いの分かれる作家だと思う。
人の心にずかずかと土足で入り込み、かき回して散らかして後片付けもせずに足跡だけを残していくような文章に、時折疲れ感じることもある。
その感覚を不快に思う人も多いだろう。
しかし私は嫌いじゃないんだ。
それを恋しく思うことさえあるから始末が悪い。

主人公の「栞」は、彼らの美しい思い出に嫉妬した。
私は誰の思い出にも嫉妬しない。
もし、思い出に嫉妬することがあるならば、
私は自分の思い出に嫉妬する。


人は思い出にのみ嫉妬する
辻 仁成
光文社

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登場人物の吐く台詞がそらぞらしく独りよがりなところがあり、その気持ち悪さに鳥肌が立つ。
これだけ気持ちの悪い文章をよく書けるなと思う。
1999年に、フェミナ賞を取ったときは驚いたが、フランス人に人気があるというのも少しうなずける。
それは彼がナルシストだからかもしれない。


「フランスよ、どこへ行く」

2007-07-10 | BOOK
子供のころ、本は読めれば何でもよかった。
図書室の本を、棚の端から順に読んでいく。
そこに好みなどというものは存在しない。
しかし、それでよかった。

思春期になり、少しは欲も出てきたからか、次は作家制覇に燃えた。
芥川を全部読もうとか、夏目をすべて読んでやるぞとか、
今から考えると、恐ろしいほどに単純。

大人になってはまったのが、3,4冊を同時に読んでいく読み方。
朝と昼と夜、別の本を読む。
好きな本を読み終えてしまうのが惜しくてはじめた読み方だったが、これは今でもよくやる。

そんな引きこもり活字中毒のようだった私が、最近、とんと本を読まなくなった。

音楽を聴くなら語学CDを、本を読む時間があるなら勉強しようなどと思っていたからだ。
しかしその勉強も、近頃はさぼりがち。

そこでまた、本に手が出た。


フランスよ、どこへ行く

産経新聞出版

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産経新聞パリ支局長・山口昌子さんが、2001年春から2006年末まで、産経新聞のコラムに執筆していたもの。
一つ一つのコラムは短いが、奥が深い。
政治、経済、EUの発展と問題点、他国との駆け引き、テロや暴動などの堅い話から、
あなたはマダムと呼ばれたい?それともマドモアゼル?
などという柔らかい話題まで、話は広がる。
(ちなみに、ココ・シャネルは死ぬまでマドモアゼル・シャネルだった。そして、離婚を何度しようが出産を何度しようが、フランス映画の終わりに出るクレジットはマドモアゼル・カトリーヌ・ドヌーブ)
国旗に象徴される「自由・平等・博愛」の精神が、仏版武士道であるという意見も興味深い。

とにかく面白い。
今のフランスを知りたい人(あまりいないか?)には、とてもお勧め。






で、
私はマダムと呼ばれたいか、マドモアゼルと呼ばれたいか、
考えてみた。

格式の高いレストランでディナーを食べているときならマダム、
おしゃれなカフェで可愛いギャルソンに呼ばれるならマドモアゼル。

だめ?

「独白するユニバーサル横メルカトル」 平山夢明

2007-01-31 | BOOK
独白するユニバーサル横メルカトル

光文社

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表題作を含め、8編の短編集。それぞれの物語に繋がりはない。
私は、表題の「独白するユニバーサル横メルカトル」が一番よかった。
残酷、残虐、グロテスク、という印象の短編集であったが、
「独白するユニバーサル横メルカトル」、これこそが平山氏にしか書けない、
独自の世界観なのではないか、と思う。
ちなみにこれは、2006年度日本推理作家協会賞受賞作。


彼もまた、昔の自主映画仲間。なのにまったくの不義理で、今頃読んだ^^;
年末の宴会では、「こんな男がいてさ、こんな暮らしをしてて、こうでああで、こんなことしちゃうの、で、こうなってこうなっちゃうんだけど、どうよ」
なんて話をジャカスカ話していた。
「で、オチは?」と聞くと、
「ん?まだ考えてない」なんて教えてくれないんだけど・・・。

頭の中は、尽きることのないアイデアでいっぱいらしい。
これからも、平山氏らしい作品を、次々と書くに違いない。
「独白するユニバーサル横メルカトル」は、それを期待させる作品だった。

「このミステリーがすごい!」第一位、おめでとう!

新フランス語文法事典

2007-01-02 | BOOK
語学は初期段階で挫折する人が多いのだろうか?
欲しい参考書は、たいてい美品のusedがある。ほぼ新品、帯まできれい。
高い本が何冊も安価で出ていると、つい手が出てしまう。

正月から、年末にアマゾンで注文した本が、続々と届いている。
これもそのひとつ。
定価は8、190円、高いなぁ、と思っていたら、ちょっとお安いものが出ていたので、思わずポチッ。
届いた包みを開けてみると、やはりほぼ新品、開いた後も無いように思える。
もったいないなぁ。しかしありがたい。

新フランス文法事典

白水社

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迷っていた自分をペシペシ叩きたくなる位、素晴らしい本だった。
まさに「事典」であるので、一ページ目から読破するような本ではない。
その内容量からいっても無理。
しかし「痒いところに手が届く」。
記載はアルファベット順、構成も上手く、探しているものがピタリと、容易に見つけることができるのは、うれしい。

『鶴の壷』

2006-12-28 | BOOK
500円玉はお金ではない。
そう自分に思い込ませ、ゲームセンターのコインのように、それを使わず、
家に帰ると、小さな缶カラにポイポイとコインを放り込んでいた。
これがまったく馬鹿にできないもので、一年もすると10万くらいの金額になる。
結局は自分のお金なのだが、年末のちょっとした楽しみになっている。

缶の蓋を開けながら、町田康『権現の踊り子』の中の短編「鶴の壷」を思い出す。
私も、チョコチョコと、ここから拝借していなければ、もっと貯まっていただろうな・・・と。

権現の踊り子

講談社

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昨日買った本

2006-12-21 | BOOK
アマゾンで昨日頼んだら、今日届いたので驚いた。
早く届く設定はしていなかったはずだけど・・・。


フランス語解釈法

白水社

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これは、ある人のお勧め本。
アマゾンの商品説明、
内容(「MARC」データベースより)
人間思考の根本的なカテゴリーのいくつかを取り上げ、日本語とフランス語とを比較考察しながらフランス語特有の表現法を検討。構文を細目にわたって整理する基礎篇と、ボードレール他の原文に訳と註解を付す応用篇で構成する。
出版社からのコメント
かつて<フランス語学文庫>の一冊として、「フランス文を正しく読み、正しく理解し、必要に応じてこれを適切な日本語にうつす」能力の開発を目標に編まれ、多くの学習者に親しまれた名著「解釈法」を、文字を大きく全面新組にして復刊。第1部基礎編では人間の思考・感情を8つの形式に分類してそれぞれに対応するフランス語特有の表現形態を分析し、19、20世紀の文学作品から引いた例を付す。第2部応用編では、その知識を用い、名作の抜粋を詳細な注によって味読する。

そのとおりの本だった。
私には少し難しく、これで勉強していこうなどと思ったら、気の滅入るような本だ。
しかし、フランス語と日本語のニュアンスの違いなど、面白い部分はたくさんあり、肩の力を抜いて読むなら楽しめる。
たとえば『半過去』
「要求や願望を表すのに現在形を使うと露骨になる恐れがあるので、半過去形を用いてそれを過去に押しやり、ある距離をおくことによって緩和する、
半過去を用いるのは、それが未完了な状態、要求や願望を消しうる状態を表すからである。Je venais si vous étiez prete.」
ああ、こういうことが知りたかったことなんだ、と思う。
薄いハードカバーなので、手に馴染むし、
構成も見やすく、どこからでもパラパラと読めるのもいい。

眠る前に読む本としても、効果的かも・・・

「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語

2006-09-05 | BOOK
「ベルサイユのばら」で学ぶフランス語

ソニーマガジンズ

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表紙に描かれた、バラをくわえるオスカルの絵に、思わず手が出る。
ベルバラで育った世代だ。素通りはできない。
パラパラとページをめくると、懐かしい絵とともに、見覚えのある台詞が盛りだくさん!

Venez dons a Versailles si vous avez des objections!
(もんくがあったら いつでもベルサイユへいらっしゃい!)

なんて台詞がイラスト付きで、

『[(非現実的な仮定)を表す場合]
  現実や実際とは逆のことを仮定する、いわば空想の世界の仮定です。
   フランス語の文法ではこれを条件法といいます。
 Si+「直説法現在」,主語+「直説法単純未来」・・・・・・』

などと、ものすごくまじめな解説が続く。


Vous mangez les petals de rose?
(あなたはバラの花びらをたべるのですか?)
にも、萌えた。

読書バトン♪

2006-07-25 | BOOK
友人から頂いた読書バトンです。


*本は、買う派?図書館派?

買う派。借りるのは苦手。
図書館の本が嫌い。しかし、古本は買う。
なんでだろう。
ああ、きっと、読みたいと思うほどの本であるなら、自分の物にしたいんだ。
いや、違う。
昔から、締め切りというものが嫌いだった。
図書館は期限までに返さなければいけない。それが嫌なのかも。
ちょっと読んで、寝かせて、また暫く経ってから読むのも好きだし。
それじゃぁ図書館は無理だよね。


*一番最近読んだ本は?

『ダヴィンチ・コード』
しかしまだ途中。
映画を先に観てしまったのが災いし、なかなか読み進められない。

その前に読んだのは、

『権現の踊り子』 町田康
『ビター・メモリー』 サラ・パレッキー
『堕落論』 坂口安吾 ←(BookOff)
『調理という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』斉須政雄

前にも書いたけど、ジャンル違いの本を数冊、同時期に読み進めていくのが好きなので。


*よく読む本の種類(例:ミステリー・エッセー・自己啓発本・まんが等)

読めれば何でも。
でも、ミステリーやSFが好き。
気分転換にもなるし。

*よく読む作家

今、家の本棚に一番多くあるのは、池波正太郎 。
その次が村上春樹。
乙一
森博嗣
小野不由美
宮部みゆき

*ジャケ買いした本

そんなことはしない。

*印象に残っている本

『庭仕事の愉しみ』ヘルマン・ヘッセ

へ~って。

*物語の登場人物に惚れたことある?

無い。
感情移入はあるけど・・・忘れた。
そんなもんです。

*いいわけがあったらどうぞ。

最近は本を読む時間がない ←(すごいいいわけ)

*バトンまわす人

どなたでも。

ルイ アラゴン

2006-07-09 | BOOK
アニセまたはパノラマ

白水社

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宅配便を待っていた。
玄関のチャイムに、「私のだ!」と、駆け寄りドアを開けると、息子宛の小包。

あ~、がっかり。

中身は、アラゴンの「アニセまたはパノラマ」
読んだことないなぁ~。
パラパラとめくり、見せてもらった。なんだか面白そう。
読み終わったら貸してぇ~。

それより私の小包、早く来ないかなぁ~。

おすそわけ

2006-05-28 | BOOK
待ち合わせをしていた友人から、30分ほど遅れると、mailが入った。
どこかでお茶を飲みながら待とうと思ったが、今日は文庫も持っていない。
一人でカフェに入るには、なんとも手持ち無沙汰だ。
そこでぶらりと駅中の本屋に入った。
人待ちの暇つぶしになるようなものがいい。
ぱらぱらと眺めて楽しいものを探す。
しかし、ムックは今まであった物の焼き直しのようなものばかりで、欲しい物が見つからない。
料理本もありきたりだと諦めていたら、おもしろそうなものが目に付いた。
小野藤子著「おすそわけおふくわけ」
よかったらどうぞと、親しい友人に手渡すような、手作りのちょっとしたもの。
梅のりつくだ煮、野菜のふりかけ、葉わさびのしょうゆ漬け、ちりめん山椒、牛肉のしぐれ煮、鮎の有馬煮、昆布のつくだ煮、ぬか漬け、味噌漬け、からすみ、干し柿、梅干し・・・と、
旨そうなご飯の友が並ぶ。
おすそわけとは福を分けるという意味もあるらしい。

しかし、遅れて来た友人に本を見せると、
「他人の手作りの海苔のつくだ煮は食べたくない」と言う。
まぁそうだね。私もそうだ。
だからね、自分が食べるために作るんだよ、と言った。

おすそわけ おふくわけ

文化出版局

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