井上しんごブログ

北九州市議の井上真吾です。何かあったらいつでもどうぞ、私の携帯電話は070-5690-1423です。😄

反対討論(平成16年度決算の問題点)・後半

2005年09月30日 | 日記
2005年9月30日反対討論原稿・後半部分

次に、保健福祉行政について述べます。
第一に、介護保険についてです。平成16年度、本市の要支援・要介護認定者数は2,548名5.9%の伸びをしめす一方、サービス受給者は、2,529名7.6%の伸びです。被保険者の当然の権利としてサービスの利用促進により生活の質の向上が図られることは介護保険制度の目的とするところです。ところが、本市の特別養護老人ホームの待機者は、本年7月で3,002名、当局が、緊急性があると認めてきた在宅での待機者の割合は3割で、増加しています。施設整備の遅れが介護サービスをうける権利を阻害し、介護保険改悪による利用者負担の増加によって、今後サービスを受けられない状況がいっそう広がることを懸念するものであります。

第二に、国民健康保険についてです。国民健康保険の加入世帯数は高齢人口の増加と失業者の増大などで年々増加し、全世帯の約半数が加入しています。本市の保険料収納率は93%と全国でも高い位置を占める一方、法定軽減世帯が増加し、加入世帯の45%を占めています。平均所得に占める保険料負担は年々増加し、平成16年度は8.2%と政令市中最も負担割合が重くなっています。
こうした中、負担能力を超えた高い保険料が払えずに、保険証を取り上げられる未交付世帯が大幅に増加し、病院に行けず症状が悪化し死亡するという痛ましい事件も起きています。加入者が安心できる国民健康保険事業にするために、保険料軽減のための使われる適正な繰り入れ、及び保険料納付困難な世帯のための条例減免制度の創設が急がれています。

第三に、生活保護についてです。わが党が、質疑で指摘した各福祉事務所での保護廃止・開始の目標管理について、当局は、年間を通じた効率的な事務処分を行なうための基礎的な資料として被保護人員、世帯数を推計しているであって、目標管理ではないと答弁しました。しかし厚生労働省の指導では、保護開始・廃止の差を活用せよとはなっておらず、本市独特の目標管理であることは明らかです。いわゆる「開廃差」月報について、本市保護課監修の「軌跡/北九州市・生活保護の30年」という本のなかでは、「末吉市長の手帳には常に最新の保護率が記載されている」と書かれている通り、開始・廃止差の月報を使って「適正化」の目標管理が行われてきたことは明らかであります。わが党は決算特別委員会で、本年1月、保護を求める市民が孤独死するような人命を軽んじる保護行政が行われている中で、この目標を管理職のボーナス査定に使うべきではないと指摘しました。平成16年度保護件数の伸びは、純増344件の当局の見込みに対して、年度末には純減20件の結果で、当初計画から差し引き360件のすさまじい削減が行なわれたことになります。当局の言う総合的判断の予測とは到底いえるものではありません。これが保護費不用額5億5084万円の主な要因であり、このような保護行政の決算は認めることはできません。

第四に、学童保育についてです。当局資料では5月19日現在の待機児童数は22クラブで118名となっています。しかし入所希望の多いクラブでは、本市が登録児童学年を原則6年生まで認めている一方で、対象児童を3年生までに限定し高学年を対象外にするなど、実態は深刻です。その結果待機児童数については正確な実態を反映しているとは言えない状況です。
市民や関係者からは、「高学年の児童が対象から外され困っている」という相談や、新一年生の場合は、「抽選になって外れれば仕事が続けられなくなる。なんとかして欲しい。」等の深刻な相談がわが党に寄せられています。
本市では新・新子どもプランにおいて、待機児童数ゼロを目標に掲げているにもかかわらず、「余裕がある場合に限り高学年も受け入れている」とか、施設については「確保できる範囲で対応している」など、実態を無視した当局答弁は容認できません。登録児童数の多いクラブも含めて複数設置などで解決を図るなど一日も早い対策を検討すべきであります。

第五に、保育行政についてです。平成16年度以降の保育所の統廃合により、本年度5ヶ所の公立保育所の廃止と3ヵ所の民間移譲がすすめられました。保育所統廃合・民営化の問題点は、第一に当局が、説明責任があると認めながら、父母・地域住民の納得が得られないまま強行して来たことです。8月16日、北方保育所統合・民営化反対の陳情審査の中で、当局が説明を重ねるにつれ反対署名が広がったことでも明らかになりました。これまで、当局が説明責任を果たし関係者が納得したといえる統廃合はありません。第二に、保育の標準となる公立保育所の役割がますます希薄になってきています。公立と民間の保育師の経験年数・のべ研修期間の開きは歴然としています。統廃合・民営化は、新新プランにかかげた公立保育所の役割を保障し得ないものであり反対です。本市の新新保育5ヵ年プランでは、平成16年度の5ヶ所の削減効果は1億9600万円、今後33公立保育所の統廃合・民営化による削減効果は約7億円となる見込であり、子育て支援をかかげる看板とは裏腹に、強めるべき保育に行革が集中していることは納得できません。
一方、新新プランにかかげる新規開設の1ヵ所として、小倉南区葛原の民間認可外保育所の認可を予定しておりますが、施設改修費用については公費の負担・財政支援の指導助言は一切せず、多額の借入金を残して開設せざるを得ない状況になっています。この保育所の今後の改修を国の次世代育成支援対策施設整備交付金の活用で手当てする事をふくめ、新規開設に市が指導・援助の責任を果たすべきであることを指摘するものです。また、保育所定員を超過する受入れについて、わが党は保育水準の低下を指摘しましたが、当局は初めて「定員を超えた児童の受入れで保育環境が低下している」ことを認めました。新新プランにおいて、平成21年の推計入所児童数にも達しない定員計画を見直すとともに、定員超過の更なる改善を行うことを求めます。

次に、教育問題について述べます。
第一に、中学校給食についてです。中学校給食は、文部科学大臣も「100%実施が望ましい」と言っており、市民要望や本市議会でも実現を求める声が広がっています。今年7月に食育基本法が施行され、子どもの朝食抜きの増加や孤食の増加・肥満の増大とカルシウム不足など栄養バランスを欠く食習慣から将来、生活習慣病が増大するとしており、学校給食を生きた教材として活用し、食育推進の必要性を明記しています。
本市では、平成13年6月から中学校昼食事業を行っていますが、全市1日1校当たり平均で、弁当はわずか4.2個しか売れていません。弁当を提供している業者も採算がとれないと悲鳴をあげており昼食事業は完全に破綻しています。
文部科学省が中学生に配布している「食生活を考えよう」では「栄養のバランスについて給食の献立を参考にする」など給食を教材として扱っています。しかし本市では中学校給食を実施しておらず食育の教材にすることもできません。多くの市民が要望しているのは中学校の完全給食です。家庭で作る弁当も栄養のバランスには限界があるからこそ、食育基本法でも指摘している中学校給食の実現が求められています。

第二に、児童生徒支援加配教員についてです。平成14年度より旧同和教育推進教員の加配が終了し、児童生徒支援加配が始まっていますが、その配置について旧態依然の状況です。例えば、平成17年度加配校のうち、児童生徒支援加配では、59名90%、県の少人数加配では5名100%が旧指定校に配置されています。その業務においても独特の差別観で学校全体をしばり、市の教育改革プランの「人権教育の視点」からもはずれた取り組みがなされています。わが党の質問で、旧地区の子供を特定した調査まで行われ実践記録として発表されるなど、学校ぐるみで人権侵害が続けられている実態が明らかになりました。文部科学省通知では、客観的な判断基準の下、指導上困難度が高い学校を優先し、その趣旨に反して活用されることがないように強く求めており問題です。改善を求めます。

第三に、30人学級についてです。特別委員会の審査では、本市の小学校で30人学級を行う場合、少人数加配186人のほか、229名の教員が必要になると答弁しています。現在でも少人数加配教員186名、フリーの教員80名、その他加配の教員61名の少人数学級への活用は制度上可能です。平成14年度学校教育に関する調査や、平成17年度スクールミーティングでも出されている少人数学級のつよい要望に応えず、県教委の少人数学級研究事業さえ拒み続ける教育委員会の態度は認められません。
平成14年度から33人以下学級を実施した山形県では、「欠席の減少」「不登校の減少」「読書の増加」「保健室利用の減少」と学習と生活が相乗的に向上しています。また、子どもたちの約70%が「学校生活が楽しくなった」と答え、教師からも「一人ひとりに目が行き届き、個に応じた指導ができる」「児童生徒の人間関係をつかみやすい」などの意見が出されており、全国45道府県で少人数学級が実施されています。これに対して、北九州市では依然として少人数・習熟度別指導に固執していますが、いまこそ保護者の要望に応えて少人数学級を実施すべきです。

第四に、給食調理の民間委託についてです。教育委員会は、小学校給食調理業務の民間委託を平成17年度、新に7校で実施していますが、若松区の鴨生田小学校区からは、直営継続を求める署名805人分が教育委員会に提出されています。当局は説明責任を果たしたとしていますが、保護者の理解は得られていません。さらに民間委託した学校では給食時間が遅れたり、サブチーフが交替するなど問題点が指摘されています。
給食は、子どもたちの食の安全にかかわる大切な問題です。民間委託予定校には、保護者に「賛成・反対」のアンケートを実施するなど、関係者の意思を確かめるべきであります。学校給食は教育の一環であり、安全でおいしい給食を行うためにも民間委託をやめて自校・直営で小学校給食を実施すべきです。

第五に、図書館への指定管理者の導入についてです。平成16年度から準備を進め、平成17年から門司図書館・戸畑図書館など5館の管理・運営を民間企業に代行させる「指定管理者制度」を導入し、さらに来年度から八幡図書館・若松図書館など7館への導入を検討しています。
図書館は、司書を配置した継続性に裏付けられた専門性が必要な職場です。しかし、市は行政職を司書に当てるだけで、司書有資格者職員は採用せず、司書有資格者の嘱託職員の4年雇い止めの習慣など、図書の専門性無視の状態が続いてきました。
プライバシーの点でも、図書館には市民の約30%にあたる個人情報がありますが、その流出防止のために、わざわざ委託業者と契約書を結ばなければなりません。指定管理者が導入されて、閉館時間が延長されたにもかかわらず、戸畑図書館・門司図書館は貸し出し数が減っており、本市の貸出率は以前、政令市中最低です。図書館への指定管理者の導入はやめて抜本的な対策を取るべきです。

第六に、スケートボードができるポケットパークの設置についてです。市長は都心副都心など人が集まる場所で、スケートボードなど、若者が自由に集まり活動できるポケットパークの提供を公約しています。しかし、ポケットパークは未だ実現しておらず市長の公約に期待した若者達はその実現を待っています。都心に更なる賑わいを作り出すためにも、要望のある市役所周辺に、建設局や教育委員会、経済文化局などと連携して実現されるよう求めます。

次に、公立大学法人・北九州市立大学について述べます。北九州市立大学を産・学・官連携による独立行政法人化を実現するとしてその移行手続きを進めました。その結果、中期目標を掲げ大学の運営に重大な変更をもたらす計画が進行しています。大学の民主的であるべき運営は理事長を中心にしたトップダウン方式で行われ、さらに「任期制度」の導入で長期にわたる研究テーマを途中ではずされたりするなど、安定した学問研究の独立が脅かされる恐れがあります。北九州市立大学が担っていくべき本来の役割から言って、この様な独立法人化による大学運営は、著しく不公平且つ独善的と言わなければなりません。

次に、環境行政について述べます。
第一に、ゴミ収集のあり方についてです。平成16年度における本市の一般ごみの処理量は約51万トンであり、過去最高の昨年度と比較してマイナス4%であり、なかで資源化物が10.9%減少し、事業系ごみ有料化の影響を受けて家庭ごみが、マイナス6%となりました。こうしたなかで今議会においては、「北九州市ごみ処理のあり方検討委員会」の提言に基づいた「家庭ごみ」の処理手数料の見直しを含む、「家庭ごみ収集制度の見直し」について様々な意見が出されました。
ごみの減量化等は今、どこの都市にとっても重要な課題であり、わが党も減量化・リサイクル促進の必要性の認識は一致するところです。
しかし議会論議の中ではコスト論のみが優先し、他都市の先進的な事例に学ぶどころか、市民と行政が一体となって分別・リサイクルを推進している他都市を不必要な分別を行なっているとか、あるいは合理性がないなどと批判する答弁が行われました。到底容認することは出来ません。
本市が真に地球規模での環境保全対策としてごみの減量を進めるのであれば、コストに偏重した進め方を見直し、分別収集の拡充などの対策こそ取るべきです。

第二に、エコタウンのおからリサイクル工場についてです。国・市の補助金2億2千万円をつぎ込んで平成13年10月から操業開始したおからリサイクル工場は、食品リサイクル実証施設第1号としてスタートしました。しかし開業後半年で集まったおからは設備能力の4.5%という状況で、今年に入ってすでに経営破綻の危機に直面しています。
多額な税金を使っての過大な設備投資。そして、おからの収集元、販売先など、流通ルートが確立されて無い中での事業化でした。一体となって進めた市当局の経営感覚の無さを厳しく指摘するものです。

最後に、平和問題について述べます。首相の靖国神社参拝が日本とアジアの外交や経済に深刻な影響を与えている中で、本市の発展にとって必要不可欠なアジアとの経済・文化の交流への影響について、末吉市長は全く問題ないと答弁しました。いくら市長が影響はないと言っても、実際に過去の日本による侵略戦争で自国民や国土に多大な損害を与えられたアジア諸国民は日本政府の無反省な行動に怒っているではありませんか。市長の発言は傷つけられた側の感情をないがしろにする発言といわざるを得ません。本市がアジアの中核都市として発展していけるよう、まず市長自らが相手国民の感情を理解した上で、友好関係を築いていくことが必要ではないでしょうか。

以上で私の反対討論を終わります。


反対討論(平成16年度決算の問題点)・前半

2005年09月30日 | 日記
2005年9月30日反対討論原稿

私は日本共産党北九州市議団を代表して議案第129号・平成16年度北九州市一般会計決算ほか、19件に反対し、その主なものについて討論します。

平成16年度決算の審査を通じて、大型開発の財源として年々増え続けてきた市債残高は、一般会計8,314億8,818万円、 特別会計1,789億4,322万円、企業会計3,235億3,263万円、3会計合計で1兆3,339億円、市民一人当たり133万円にも達していること。その元利償還額は総額1,529億円で、市税収入とほぼ同規模であり、市民の納めた税金がそのまま借金払いに消えている状況が明らかになりました。
一方、本市の市民一人当たり個人市民税額は33,000円、課税対象所得額は112万5,000円で、ともに政令市中最低となっているなど、引き続き市民生活は厳しい状況であります。
しかし市長は次々に破綻や行き詰まりに直面する大型公共事業について、反省を示そうせず、昨年4月発表の「市民負担のあり方の見直し」、「民間でできるものは民間に」などとした新行財政改革大綱にもとづき、市民に痛みを押し付け、市民サービスを削るやり方を進めています。かかる方向は改めるべきであり、容認できません。

以下、分野別に討論を行います。
最初に、削るべきところを削らない、無駄な大型事業について述べます。
第一に、コムシティについてです。黒崎浮揚のリーディングプロジェクトと位置付けられたコムシティは、開業後、わずか1年半で運営会社が破産。結果、市の出資金1億2,000万円は紙くずとなり、貸付金34億7,700万円も返済されないという事態になっています。
当局は、貸付金について「基本的には床の売却代金によって決まってくるもので、現段階では不明だ」として、貸付金等の返済については見通しが全く立っていない状況です。
コムシティを運営する黒崎ターミナルビル株式会社が破たんして2年4カ月。その責任も曖昧なまま、黒崎の衰退は続いています。わが党は、これまでも、郊外型の大型店に対抗して、黒崎に大型店をつくれば再生できるとの従来型の対策では黒崎再生はできないことを指摘し続けてきました。年金病院跡地への西区役所や文化施設の配置計画等、具体化を急ぐべきです。

第二に、メディアドームについてです。メディアドームは、競輪以外の過剰設備をおこない、膨大な建設費を要した結果、莫大な借金を抱え込む結果となっています。その起債償還は予定通りには行かず、平成16年度、元金相当分として、13億4,800万円を新たに起債し、平成17年度も同様の起債を計上しています。
当局自身も「平成14年度は競輪事業・競艇事業ともに開催収支は黒字であったが、メディアドームの市債償還が本格化したことから、単年度収支は大幅な赤字」となったこと。「基金を取崩して対応」したことなど、メディアドーム建設に要した起債償還が、特別会計を「赤字」に追い込んでいる大きな要因であることを認めています。
これまで当局は、競輪事業の経営改善策として、門司競輪場の廃止、従事員賃金の2年連続の切り下げ、雇用保険や社会保険、開催手当ての廃止など、そのツケを従事員などに押し付けてきました。さらに、平成18年度から競輪事業の「包括的民間委託の実施」を打ち出し、従事員に耐えがたい犠牲を押し付けようとしています。
委員会質疑で市長は、ドーム建設時の判断に「誤りはなかった」として、責任を認めようとはしません。甘い見通しと判断で、競輪事業には関係のない設備にまで過剰投資を行い、その支払いを全額、競輪・競艇特別会計に押し付けた市長の責任が問われています。
 
第三に、AIMについてです。「輸入促進対内投資促進法」、FAZ法が、平成18年5月で法期限となります。法期限後は国の補助金もなく、今後の事業は市の単費負担となります。
AIMビル3階部分は、開業以来、入居テナントはなく、市などがイベントや見本市などを開催するなど、経営難のキプロを支援するため、補助金、負担金、委託料、フロアの買い上げや借り上げ等々、平成16年度までに約86億円の税金投入を行ってきました。
そして、国の補助金が見込めない法期限後のAIM救済策として、平成16年度、3階部分に「中展示場」や「会議室」を整備し、さらに、「仮称・子育て支援プラザ」を建設することにより、市は賃料や共益費、運営費などで毎年約9億円もの負担をすることになりました。AIMを運営するキプロは、市の支出がなければ破綻です。この事業をすすめてきた市長の責任がここでもきびしく問われるものです。

第四に、ひびきコンテナターミナルについてです。平成16年度、ひびきコンテナターミナルに35億5,404万円。ポートセールス事業などに2,473万円、ひびきコンテナターミナル株式会社に対する貸付金13億5,008万円等が支出されています。
「環黄海圏のハブポート、24時間・365日稼動、日本一安い港」としたひびきコンテナターミナルが約2年遅れの平成17年4月1日に開港しました。ところが、定期航路も入港する船舶もなく、第1船が入港したのが5月18日。それも門司・太刀浦の定期航路である上海航路の6,000トン級のコンテナ船でした。
航路誘致にむけて行ってきたポートセールスは、すでに、この事業が計画され、PSAグループが選定されてからも行われてきたものです。委員会質疑で局長は、「計画当初は、ESCAP(エスキャップ)の伸びもあり、ひびきコンテナターミナルも追い風だった」「意外だったのは、中国の発展。荷が増えるので、船会社が中国航路中心になっていった」と、当初より事態が変わったとしており、当局の見通しのなさを露呈しています。

次に、折尾総合整備事業について述べます。大規模事業評価委員会は、区画整理エリア内で反対意見の強い区域に対して、「一部道路事業の変更の可能性も含めて、住民と積極的な意見交換を行い、双方の合意形成を前提に、事業化する事が不可欠」と答申しました。
しかし当局は、都市計画審議会の決定は重いものであり、幹線道路について、現時点で見直すべきものではないと答弁しました。都計審も評価委員会も双方とも重要な決定、その双方を生かす、何よりも関係住民の意志を生かすためには、都市計画道路の変更はしないと、かたくなな態度を取るのではなく、変更もありうるとの柔軟な態度こそ、求められます。
又、歴史・宗教施設の保存問題も同様です。当局は、駅舎、ねじりまんぽ、遠賀川疎水碑、岡山直道頌徳碑(しょうとくひ)、武士の碑など、関係者の努力で守られてきた史跡と認識し、地元住民や学識経験者等と意見交換し、保存策を検討すると共に、地蔵尊や修業大師、折尾宝塔堂なども、関係者と協議しながら検討する、同時に、区画整理事業は、換地(かんち)により地区内で移転する仕組みなので、地区内に残るものと考えていると答弁しました。地区内での移設に、関係者が同意できる施設は良いでしょう。
しかし、移設する事そのものに、問題が生ずる宗教施設などは、そのまま残すべきであり、関係者の意志を尊重した、柔軟な対応こそ求められます。

 次に、市営住宅について述べます。平成16年度の市営住宅空き家募集の当初倍率は市全体の平均で19.4倍と、平成15年度の16.6倍を上回る高い倍率となりました。建築都市局長は、さまざまな理由を挙げながら「実質倍率は約4.7倍と見込んでいる」と述べ、現在の管理戸数3万3千戸(こ)からの増設を拒否しております。
 しかし、高齢化や市民所得の落ち込みなどを背景に市営住宅への需要は現実に高まっており、倍率を低く見積もる市当局の姿勢は実態と大きく乖離しています。このことは、決算特別委員会においても、多くの議員が「市営住宅の倍率の高さ」や「市営住宅の入りにくさ」を指摘し、改善を求める声が出されたことに現れています。
 市長をはじめとする当局の頑なな姿勢を改め、市営住宅の増設に踏み出すようあらためて指摘するものであります。

次に、交通事業について述べます。市営バスの乗客数は、昭和39年の3,137万人をピークに減少を続けていますが、民間では走らない不採算路線も、市民の足を守るため、走り続ける公営交通の役割を自覚し、経営改善のため、数々の合理化にも耐えて、職員も一丸となって頑張ってこられました。そんな中、職場に激震をもたらしたのが、3月31日に発表された「企業会計・特別会計経営改善委員会」の最終報告であります。
報告内容を要約すると、「市民の足を確保する目的であっても、バス事業を地方自治体が直接、経営する必然性は乏しい」「市営バスは、現在及び今後の厳しい経営状況などから見て、早急に「民間移譲」する事が必要である」「民間移譲するまでは、引き続き、経営改善を進めると共に、基準外繰出金を段階的に削減すべき」としていますが、重大な問題点を含んでいます。
第1に、乗客減の中、経営健全化を進め、平成8年度以降は資金収支で黒字を計上している交通事業を、5億円の補助を受けて何が健全かと攻撃しています。市民の足を守るため、赤字路線も走り続ける公営交通の使命、そのために若干の補助を受ける事が、攻撃されるような事なのでしょうか。
大都市公営交通の経営状況では、平成13年度、収益・資本両収入に占める繰入金は、名古屋の175億円をトップに、横浜、大阪が100億円台で続き、その他は32億円から99億円、本市のみが5億円台。経常収益への繰入金割合も、名古屋の55%がトップで、本市は最低の19%、車輛1台当たりの繰入金も川崎市の15%がトップで、本市は最低の4%です。
第2に、経営改善委員会のメンバーの一人は、本市発展のため、小倉北区の中心部に人を集めるため、市営バスを民営化し、若松区と小倉北区間の運行便数を増やせと主張している団体のメンバーであります。これに対し、若松の商業者は、「何を言うか、小倉に人が集まれば、それで北九州が発展するのか、若松は過疎になってもいいのか」と、憤慨されています。こんな主張に抗議と反撃をすべき市当局が、それを受け入れるような発言をする事は、断じて容認できません。
第3に、同じ公共交通・モノレールとの比較です。昭和60年に開業したモノレール、これまで2億人以上の乗客を運び、重要な交通機関・市民の足になっているとして、324億円の市の貸付金や出資金を棒引きして立て直す事になりました。一方、市営バスは、本市発足の昭和38年度以降だけで、8億人を運んでいます。
モノレール、市営バス、どちらも本市の重要な公共交通機関である事は、昨年、建築都市局長も答弁したように、論をまちません。しかし何故、モノレールには多額の金額が投入され、市営バスは民間委譲なのか、委員会では、「民で出来るものは民に」と主張していますが、民間が不採算路線を走るでしょうか。市長は、不採算路線を走らざるを得ない市営バスへの支援を継続すべきです。

次に、平尾台自然の郷(さと)について述べます。調整池の機能の不十分さに起因する行橋直方線の道路陥没の補修は1昨年2回、昨年度も2回行なわれたほか、本年1月には調整池の配水管が切れて仮設道路を作っての大掛かりな工事が行われました。4月には県の環境保全課が調査に入り、7月には県が対策協議会の設置を市に提案しました。市はこれを受けて既存の「平尾台地区保護対策連絡協議会」を活用、協議を行うとしましたが、民家の敷地の陥没は自然の郷建設との因果関係はないとし、実態調査の必要はないとしています。しかし、因果関係がないとの主張には科学的な根拠はありません。「連絡協議会」には、平尾台の地形や洞窟に詳しい専門家を加え、民家の敷地を含め、自然の郷周辺の実態調査を行うべきであることを指摘します。

次に、雇用問題について述べます。企業倒産やリストラ、労働形態の様変わりによるアルバイトや派遣労働など不安定雇用の増加が指摘されおり、中でも若年層の雇用問題が深刻な問題となるなど実態の把握が求められています。
市長は1万人雇用創出したとしながら、行革で「市職員の8,000人体制」など正規職員を減らし、委託化等で逆に不安定雇用を広げています。本市の将来を担う若者の雇用対策と、本市経済を支えている地元中小零細企業の育成・振興策を抜本的に強めることによって雇用創出を進めることが必要であります。