2005年9月30日反対討論原稿・後半部分
次に、保健福祉行政について述べます。
第一に、介護保険についてです。平成16年度、本市の要支援・要介護認定者数は2,548名5.9%の伸びをしめす一方、サービス受給者は、2,529名7.6%の伸びです。被保険者の当然の権利としてサービスの利用促進により生活の質の向上が図られることは介護保険制度の目的とするところです。ところが、本市の特別養護老人ホームの待機者は、本年7月で3,002名、当局が、緊急性があると認めてきた在宅での待機者の割合は3割で、増加しています。施設整備の遅れが介護サービスをうける権利を阻害し、介護保険改悪による利用者負担の増加によって、今後サービスを受けられない状況がいっそう広がることを懸念するものであります。
第二に、国民健康保険についてです。国民健康保険の加入世帯数は高齢人口の増加と失業者の増大などで年々増加し、全世帯の約半数が加入しています。本市の保険料収納率は93%と全国でも高い位置を占める一方、法定軽減世帯が増加し、加入世帯の45%を占めています。平均所得に占める保険料負担は年々増加し、平成16年度は8.2%と政令市中最も負担割合が重くなっています。
こうした中、負担能力を超えた高い保険料が払えずに、保険証を取り上げられる未交付世帯が大幅に増加し、病院に行けず症状が悪化し死亡するという痛ましい事件も起きています。加入者が安心できる国民健康保険事業にするために、保険料軽減のための使われる適正な繰り入れ、及び保険料納付困難な世帯のための条例減免制度の創設が急がれています。
第三に、生活保護についてです。わが党が、質疑で指摘した各福祉事務所での保護廃止・開始の目標管理について、当局は、年間を通じた効率的な事務処分を行なうための基礎的な資料として被保護人員、世帯数を推計しているであって、目標管理ではないと答弁しました。しかし厚生労働省の指導では、保護開始・廃止の差を活用せよとはなっておらず、本市独特の目標管理であることは明らかです。いわゆる「開廃差」月報について、本市保護課監修の「軌跡/北九州市・生活保護の30年」という本のなかでは、「末吉市長の手帳には常に最新の保護率が記載されている」と書かれている通り、開始・廃止差の月報を使って「適正化」の目標管理が行われてきたことは明らかであります。わが党は決算特別委員会で、本年1月、保護を求める市民が孤独死するような人命を軽んじる保護行政が行われている中で、この目標を管理職のボーナス査定に使うべきではないと指摘しました。平成16年度保護件数の伸びは、純増344件の当局の見込みに対して、年度末には純減20件の結果で、当初計画から差し引き360件のすさまじい削減が行なわれたことになります。当局の言う総合的判断の予測とは到底いえるものではありません。これが保護費不用額5億5084万円の主な要因であり、このような保護行政の決算は認めることはできません。
第四に、学童保育についてです。当局資料では5月19日現在の待機児童数は22クラブで118名となっています。しかし入所希望の多いクラブでは、本市が登録児童学年を原則6年生まで認めている一方で、対象児童を3年生までに限定し高学年を対象外にするなど、実態は深刻です。その結果待機児童数については正確な実態を反映しているとは言えない状況です。
市民や関係者からは、「高学年の児童が対象から外され困っている」という相談や、新一年生の場合は、「抽選になって外れれば仕事が続けられなくなる。なんとかして欲しい。」等の深刻な相談がわが党に寄せられています。
本市では新・新子どもプランにおいて、待機児童数ゼロを目標に掲げているにもかかわらず、「余裕がある場合に限り高学年も受け入れている」とか、施設については「確保できる範囲で対応している」など、実態を無視した当局答弁は容認できません。登録児童数の多いクラブも含めて複数設置などで解決を図るなど一日も早い対策を検討すべきであります。
第五に、保育行政についてです。平成16年度以降の保育所の統廃合により、本年度5ヶ所の公立保育所の廃止と3ヵ所の民間移譲がすすめられました。保育所統廃合・民営化の問題点は、第一に当局が、説明責任があると認めながら、父母・地域住民の納得が得られないまま強行して来たことです。8月16日、北方保育所統合・民営化反対の陳情審査の中で、当局が説明を重ねるにつれ反対署名が広がったことでも明らかになりました。これまで、当局が説明責任を果たし関係者が納得したといえる統廃合はありません。第二に、保育の標準となる公立保育所の役割がますます希薄になってきています。公立と民間の保育師の経験年数・のべ研修期間の開きは歴然としています。統廃合・民営化は、新新プランにかかげた公立保育所の役割を保障し得ないものであり反対です。本市の新新保育5ヵ年プランでは、平成16年度の5ヶ所の削減効果は1億9600万円、今後33公立保育所の統廃合・民営化による削減効果は約7億円となる見込であり、子育て支援をかかげる看板とは裏腹に、強めるべき保育に行革が集中していることは納得できません。
一方、新新プランにかかげる新規開設の1ヵ所として、小倉南区葛原の民間認可外保育所の認可を予定しておりますが、施設改修費用については公費の負担・財政支援の指導助言は一切せず、多額の借入金を残して開設せざるを得ない状況になっています。この保育所の今後の改修を国の次世代育成支援対策施設整備交付金の活用で手当てする事をふくめ、新規開設に市が指導・援助の責任を果たすべきであることを指摘するものです。また、保育所定員を超過する受入れについて、わが党は保育水準の低下を指摘しましたが、当局は初めて「定員を超えた児童の受入れで保育環境が低下している」ことを認めました。新新プランにおいて、平成21年の推計入所児童数にも達しない定員計画を見直すとともに、定員超過の更なる改善を行うことを求めます。
次に、教育問題について述べます。
第一に、中学校給食についてです。中学校給食は、文部科学大臣も「100%実施が望ましい」と言っており、市民要望や本市議会でも実現を求める声が広がっています。今年7月に食育基本法が施行され、子どもの朝食抜きの増加や孤食の増加・肥満の増大とカルシウム不足など栄養バランスを欠く食習慣から将来、生活習慣病が増大するとしており、学校給食を生きた教材として活用し、食育推進の必要性を明記しています。
本市では、平成13年6月から中学校昼食事業を行っていますが、全市1日1校当たり平均で、弁当はわずか4.2個しか売れていません。弁当を提供している業者も採算がとれないと悲鳴をあげており昼食事業は完全に破綻しています。
文部科学省が中学生に配布している「食生活を考えよう」では「栄養のバランスについて給食の献立を参考にする」など給食を教材として扱っています。しかし本市では中学校給食を実施しておらず食育の教材にすることもできません。多くの市民が要望しているのは中学校の完全給食です。家庭で作る弁当も栄養のバランスには限界があるからこそ、食育基本法でも指摘している中学校給食の実現が求められています。
第二に、児童生徒支援加配教員についてです。平成14年度より旧同和教育推進教員の加配が終了し、児童生徒支援加配が始まっていますが、その配置について旧態依然の状況です。例えば、平成17年度加配校のうち、児童生徒支援加配では、59名90%、県の少人数加配では5名100%が旧指定校に配置されています。その業務においても独特の差別観で学校全体をしばり、市の教育改革プランの「人権教育の視点」からもはずれた取り組みがなされています。わが党の質問で、旧地区の子供を特定した調査まで行われ実践記録として発表されるなど、学校ぐるみで人権侵害が続けられている実態が明らかになりました。文部科学省通知では、客観的な判断基準の下、指導上困難度が高い学校を優先し、その趣旨に反して活用されることがないように強く求めており問題です。改善を求めます。
第三に、30人学級についてです。特別委員会の審査では、本市の小学校で30人学級を行う場合、少人数加配186人のほか、229名の教員が必要になると答弁しています。現在でも少人数加配教員186名、フリーの教員80名、その他加配の教員61名の少人数学級への活用は制度上可能です。平成14年度学校教育に関する調査や、平成17年度スクールミーティングでも出されている少人数学級のつよい要望に応えず、県教委の少人数学級研究事業さえ拒み続ける教育委員会の態度は認められません。
平成14年度から33人以下学級を実施した山形県では、「欠席の減少」「不登校の減少」「読書の増加」「保健室利用の減少」と学習と生活が相乗的に向上しています。また、子どもたちの約70%が「学校生活が楽しくなった」と答え、教師からも「一人ひとりに目が行き届き、個に応じた指導ができる」「児童生徒の人間関係をつかみやすい」などの意見が出されており、全国45道府県で少人数学級が実施されています。これに対して、北九州市では依然として少人数・習熟度別指導に固執していますが、いまこそ保護者の要望に応えて少人数学級を実施すべきです。
第四に、給食調理の民間委託についてです。教育委員会は、小学校給食調理業務の民間委託を平成17年度、新に7校で実施していますが、若松区の鴨生田小学校区からは、直営継続を求める署名805人分が教育委員会に提出されています。当局は説明責任を果たしたとしていますが、保護者の理解は得られていません。さらに民間委託した学校では給食時間が遅れたり、サブチーフが交替するなど問題点が指摘されています。
給食は、子どもたちの食の安全にかかわる大切な問題です。民間委託予定校には、保護者に「賛成・反対」のアンケートを実施するなど、関係者の意思を確かめるべきであります。学校給食は教育の一環であり、安全でおいしい給食を行うためにも民間委託をやめて自校・直営で小学校給食を実施すべきです。
第五に、図書館への指定管理者の導入についてです。平成16年度から準備を進め、平成17年から門司図書館・戸畑図書館など5館の管理・運営を民間企業に代行させる「指定管理者制度」を導入し、さらに来年度から八幡図書館・若松図書館など7館への導入を検討しています。
図書館は、司書を配置した継続性に裏付けられた専門性が必要な職場です。しかし、市は行政職を司書に当てるだけで、司書有資格者職員は採用せず、司書有資格者の嘱託職員の4年雇い止めの習慣など、図書の専門性無視の状態が続いてきました。
プライバシーの点でも、図書館には市民の約30%にあたる個人情報がありますが、その流出防止のために、わざわざ委託業者と契約書を結ばなければなりません。指定管理者が導入されて、閉館時間が延長されたにもかかわらず、戸畑図書館・門司図書館は貸し出し数が減っており、本市の貸出率は以前、政令市中最低です。図書館への指定管理者の導入はやめて抜本的な対策を取るべきです。
第六に、スケートボードができるポケットパークの設置についてです。市長は都心副都心など人が集まる場所で、スケートボードなど、若者が自由に集まり活動できるポケットパークの提供を公約しています。しかし、ポケットパークは未だ実現しておらず市長の公約に期待した若者達はその実現を待っています。都心に更なる賑わいを作り出すためにも、要望のある市役所周辺に、建設局や教育委員会、経済文化局などと連携して実現されるよう求めます。
次に、公立大学法人・北九州市立大学について述べます。北九州市立大学を産・学・官連携による独立行政法人化を実現するとしてその移行手続きを進めました。その結果、中期目標を掲げ大学の運営に重大な変更をもたらす計画が進行しています。大学の民主的であるべき運営は理事長を中心にしたトップダウン方式で行われ、さらに「任期制度」の導入で長期にわたる研究テーマを途中ではずされたりするなど、安定した学問研究の独立が脅かされる恐れがあります。北九州市立大学が担っていくべき本来の役割から言って、この様な独立法人化による大学運営は、著しく不公平且つ独善的と言わなければなりません。
次に、環境行政について述べます。
第一に、ゴミ収集のあり方についてです。平成16年度における本市の一般ごみの処理量は約51万トンであり、過去最高の昨年度と比較してマイナス4%であり、なかで資源化物が10.9%減少し、事業系ごみ有料化の影響を受けて家庭ごみが、マイナス6%となりました。こうしたなかで今議会においては、「北九州市ごみ処理のあり方検討委員会」の提言に基づいた「家庭ごみ」の処理手数料の見直しを含む、「家庭ごみ収集制度の見直し」について様々な意見が出されました。
ごみの減量化等は今、どこの都市にとっても重要な課題であり、わが党も減量化・リサイクル促進の必要性の認識は一致するところです。
しかし議会論議の中ではコスト論のみが優先し、他都市の先進的な事例に学ぶどころか、市民と行政が一体となって分別・リサイクルを推進している他都市を不必要な分別を行なっているとか、あるいは合理性がないなどと批判する答弁が行われました。到底容認することは出来ません。
本市が真に地球規模での環境保全対策としてごみの減量を進めるのであれば、コストに偏重した進め方を見直し、分別収集の拡充などの対策こそ取るべきです。
第二に、エコタウンのおからリサイクル工場についてです。国・市の補助金2億2千万円をつぎ込んで平成13年10月から操業開始したおからリサイクル工場は、食品リサイクル実証施設第1号としてスタートしました。しかし開業後半年で集まったおからは設備能力の4.5%という状況で、今年に入ってすでに経営破綻の危機に直面しています。
多額な税金を使っての過大な設備投資。そして、おからの収集元、販売先など、流通ルートが確立されて無い中での事業化でした。一体となって進めた市当局の経営感覚の無さを厳しく指摘するものです。
最後に、平和問題について述べます。首相の靖国神社参拝が日本とアジアの外交や経済に深刻な影響を与えている中で、本市の発展にとって必要不可欠なアジアとの経済・文化の交流への影響について、末吉市長は全く問題ないと答弁しました。いくら市長が影響はないと言っても、実際に過去の日本による侵略戦争で自国民や国土に多大な損害を与えられたアジア諸国民は日本政府の無反省な行動に怒っているではありませんか。市長の発言は傷つけられた側の感情をないがしろにする発言といわざるを得ません。本市がアジアの中核都市として発展していけるよう、まず市長自らが相手国民の感情を理解した上で、友好関係を築いていくことが必要ではないでしょうか。
以上で私の反対討論を終わります。
次に、保健福祉行政について述べます。
第一に、介護保険についてです。平成16年度、本市の要支援・要介護認定者数は2,548名5.9%の伸びをしめす一方、サービス受給者は、2,529名7.6%の伸びです。被保険者の当然の権利としてサービスの利用促進により生活の質の向上が図られることは介護保険制度の目的とするところです。ところが、本市の特別養護老人ホームの待機者は、本年7月で3,002名、当局が、緊急性があると認めてきた在宅での待機者の割合は3割で、増加しています。施設整備の遅れが介護サービスをうける権利を阻害し、介護保険改悪による利用者負担の増加によって、今後サービスを受けられない状況がいっそう広がることを懸念するものであります。
第二に、国民健康保険についてです。国民健康保険の加入世帯数は高齢人口の増加と失業者の増大などで年々増加し、全世帯の約半数が加入しています。本市の保険料収納率は93%と全国でも高い位置を占める一方、法定軽減世帯が増加し、加入世帯の45%を占めています。平均所得に占める保険料負担は年々増加し、平成16年度は8.2%と政令市中最も負担割合が重くなっています。
こうした中、負担能力を超えた高い保険料が払えずに、保険証を取り上げられる未交付世帯が大幅に増加し、病院に行けず症状が悪化し死亡するという痛ましい事件も起きています。加入者が安心できる国民健康保険事業にするために、保険料軽減のための使われる適正な繰り入れ、及び保険料納付困難な世帯のための条例減免制度の創設が急がれています。
第三に、生活保護についてです。わが党が、質疑で指摘した各福祉事務所での保護廃止・開始の目標管理について、当局は、年間を通じた効率的な事務処分を行なうための基礎的な資料として被保護人員、世帯数を推計しているであって、目標管理ではないと答弁しました。しかし厚生労働省の指導では、保護開始・廃止の差を活用せよとはなっておらず、本市独特の目標管理であることは明らかです。いわゆる「開廃差」月報について、本市保護課監修の「軌跡/北九州市・生活保護の30年」という本のなかでは、「末吉市長の手帳には常に最新の保護率が記載されている」と書かれている通り、開始・廃止差の月報を使って「適正化」の目標管理が行われてきたことは明らかであります。わが党は決算特別委員会で、本年1月、保護を求める市民が孤独死するような人命を軽んじる保護行政が行われている中で、この目標を管理職のボーナス査定に使うべきではないと指摘しました。平成16年度保護件数の伸びは、純増344件の当局の見込みに対して、年度末には純減20件の結果で、当初計画から差し引き360件のすさまじい削減が行なわれたことになります。当局の言う総合的判断の予測とは到底いえるものではありません。これが保護費不用額5億5084万円の主な要因であり、このような保護行政の決算は認めることはできません。
第四に、学童保育についてです。当局資料では5月19日現在の待機児童数は22クラブで118名となっています。しかし入所希望の多いクラブでは、本市が登録児童学年を原則6年生まで認めている一方で、対象児童を3年生までに限定し高学年を対象外にするなど、実態は深刻です。その結果待機児童数については正確な実態を反映しているとは言えない状況です。
市民や関係者からは、「高学年の児童が対象から外され困っている」という相談や、新一年生の場合は、「抽選になって外れれば仕事が続けられなくなる。なんとかして欲しい。」等の深刻な相談がわが党に寄せられています。
本市では新・新子どもプランにおいて、待機児童数ゼロを目標に掲げているにもかかわらず、「余裕がある場合に限り高学年も受け入れている」とか、施設については「確保できる範囲で対応している」など、実態を無視した当局答弁は容認できません。登録児童数の多いクラブも含めて複数設置などで解決を図るなど一日も早い対策を検討すべきであります。
第五に、保育行政についてです。平成16年度以降の保育所の統廃合により、本年度5ヶ所の公立保育所の廃止と3ヵ所の民間移譲がすすめられました。保育所統廃合・民営化の問題点は、第一に当局が、説明責任があると認めながら、父母・地域住民の納得が得られないまま強行して来たことです。8月16日、北方保育所統合・民営化反対の陳情審査の中で、当局が説明を重ねるにつれ反対署名が広がったことでも明らかになりました。これまで、当局が説明責任を果たし関係者が納得したといえる統廃合はありません。第二に、保育の標準となる公立保育所の役割がますます希薄になってきています。公立と民間の保育師の経験年数・のべ研修期間の開きは歴然としています。統廃合・民営化は、新新プランにかかげた公立保育所の役割を保障し得ないものであり反対です。本市の新新保育5ヵ年プランでは、平成16年度の5ヶ所の削減効果は1億9600万円、今後33公立保育所の統廃合・民営化による削減効果は約7億円となる見込であり、子育て支援をかかげる看板とは裏腹に、強めるべき保育に行革が集中していることは納得できません。
一方、新新プランにかかげる新規開設の1ヵ所として、小倉南区葛原の民間認可外保育所の認可を予定しておりますが、施設改修費用については公費の負担・財政支援の指導助言は一切せず、多額の借入金を残して開設せざるを得ない状況になっています。この保育所の今後の改修を国の次世代育成支援対策施設整備交付金の活用で手当てする事をふくめ、新規開設に市が指導・援助の責任を果たすべきであることを指摘するものです。また、保育所定員を超過する受入れについて、わが党は保育水準の低下を指摘しましたが、当局は初めて「定員を超えた児童の受入れで保育環境が低下している」ことを認めました。新新プランにおいて、平成21年の推計入所児童数にも達しない定員計画を見直すとともに、定員超過の更なる改善を行うことを求めます。
次に、教育問題について述べます。
第一に、中学校給食についてです。中学校給食は、文部科学大臣も「100%実施が望ましい」と言っており、市民要望や本市議会でも実現を求める声が広がっています。今年7月に食育基本法が施行され、子どもの朝食抜きの増加や孤食の増加・肥満の増大とカルシウム不足など栄養バランスを欠く食習慣から将来、生活習慣病が増大するとしており、学校給食を生きた教材として活用し、食育推進の必要性を明記しています。
本市では、平成13年6月から中学校昼食事業を行っていますが、全市1日1校当たり平均で、弁当はわずか4.2個しか売れていません。弁当を提供している業者も採算がとれないと悲鳴をあげており昼食事業は完全に破綻しています。
文部科学省が中学生に配布している「食生活を考えよう」では「栄養のバランスについて給食の献立を参考にする」など給食を教材として扱っています。しかし本市では中学校給食を実施しておらず食育の教材にすることもできません。多くの市民が要望しているのは中学校の完全給食です。家庭で作る弁当も栄養のバランスには限界があるからこそ、食育基本法でも指摘している中学校給食の実現が求められています。
第二に、児童生徒支援加配教員についてです。平成14年度より旧同和教育推進教員の加配が終了し、児童生徒支援加配が始まっていますが、その配置について旧態依然の状況です。例えば、平成17年度加配校のうち、児童生徒支援加配では、59名90%、県の少人数加配では5名100%が旧指定校に配置されています。その業務においても独特の差別観で学校全体をしばり、市の教育改革プランの「人権教育の視点」からもはずれた取り組みがなされています。わが党の質問で、旧地区の子供を特定した調査まで行われ実践記録として発表されるなど、学校ぐるみで人権侵害が続けられている実態が明らかになりました。文部科学省通知では、客観的な判断基準の下、指導上困難度が高い学校を優先し、その趣旨に反して活用されることがないように強く求めており問題です。改善を求めます。
第三に、30人学級についてです。特別委員会の審査では、本市の小学校で30人学級を行う場合、少人数加配186人のほか、229名の教員が必要になると答弁しています。現在でも少人数加配教員186名、フリーの教員80名、その他加配の教員61名の少人数学級への活用は制度上可能です。平成14年度学校教育に関する調査や、平成17年度スクールミーティングでも出されている少人数学級のつよい要望に応えず、県教委の少人数学級研究事業さえ拒み続ける教育委員会の態度は認められません。
平成14年度から33人以下学級を実施した山形県では、「欠席の減少」「不登校の減少」「読書の増加」「保健室利用の減少」と学習と生活が相乗的に向上しています。また、子どもたちの約70%が「学校生活が楽しくなった」と答え、教師からも「一人ひとりに目が行き届き、個に応じた指導ができる」「児童生徒の人間関係をつかみやすい」などの意見が出されており、全国45道府県で少人数学級が実施されています。これに対して、北九州市では依然として少人数・習熟度別指導に固執していますが、いまこそ保護者の要望に応えて少人数学級を実施すべきです。
第四に、給食調理の民間委託についてです。教育委員会は、小学校給食調理業務の民間委託を平成17年度、新に7校で実施していますが、若松区の鴨生田小学校区からは、直営継続を求める署名805人分が教育委員会に提出されています。当局は説明責任を果たしたとしていますが、保護者の理解は得られていません。さらに民間委託した学校では給食時間が遅れたり、サブチーフが交替するなど問題点が指摘されています。
給食は、子どもたちの食の安全にかかわる大切な問題です。民間委託予定校には、保護者に「賛成・反対」のアンケートを実施するなど、関係者の意思を確かめるべきであります。学校給食は教育の一環であり、安全でおいしい給食を行うためにも民間委託をやめて自校・直営で小学校給食を実施すべきです。
第五に、図書館への指定管理者の導入についてです。平成16年度から準備を進め、平成17年から門司図書館・戸畑図書館など5館の管理・運営を民間企業に代行させる「指定管理者制度」を導入し、さらに来年度から八幡図書館・若松図書館など7館への導入を検討しています。
図書館は、司書を配置した継続性に裏付けられた専門性が必要な職場です。しかし、市は行政職を司書に当てるだけで、司書有資格者職員は採用せず、司書有資格者の嘱託職員の4年雇い止めの習慣など、図書の専門性無視の状態が続いてきました。
プライバシーの点でも、図書館には市民の約30%にあたる個人情報がありますが、その流出防止のために、わざわざ委託業者と契約書を結ばなければなりません。指定管理者が導入されて、閉館時間が延長されたにもかかわらず、戸畑図書館・門司図書館は貸し出し数が減っており、本市の貸出率は以前、政令市中最低です。図書館への指定管理者の導入はやめて抜本的な対策を取るべきです。
第六に、スケートボードができるポケットパークの設置についてです。市長は都心副都心など人が集まる場所で、スケートボードなど、若者が自由に集まり活動できるポケットパークの提供を公約しています。しかし、ポケットパークは未だ実現しておらず市長の公約に期待した若者達はその実現を待っています。都心に更なる賑わいを作り出すためにも、要望のある市役所周辺に、建設局や教育委員会、経済文化局などと連携して実現されるよう求めます。
次に、公立大学法人・北九州市立大学について述べます。北九州市立大学を産・学・官連携による独立行政法人化を実現するとしてその移行手続きを進めました。その結果、中期目標を掲げ大学の運営に重大な変更をもたらす計画が進行しています。大学の民主的であるべき運営は理事長を中心にしたトップダウン方式で行われ、さらに「任期制度」の導入で長期にわたる研究テーマを途中ではずされたりするなど、安定した学問研究の独立が脅かされる恐れがあります。北九州市立大学が担っていくべき本来の役割から言って、この様な独立法人化による大学運営は、著しく不公平且つ独善的と言わなければなりません。
次に、環境行政について述べます。
第一に、ゴミ収集のあり方についてです。平成16年度における本市の一般ごみの処理量は約51万トンであり、過去最高の昨年度と比較してマイナス4%であり、なかで資源化物が10.9%減少し、事業系ごみ有料化の影響を受けて家庭ごみが、マイナス6%となりました。こうしたなかで今議会においては、「北九州市ごみ処理のあり方検討委員会」の提言に基づいた「家庭ごみ」の処理手数料の見直しを含む、「家庭ごみ収集制度の見直し」について様々な意見が出されました。
ごみの減量化等は今、どこの都市にとっても重要な課題であり、わが党も減量化・リサイクル促進の必要性の認識は一致するところです。
しかし議会論議の中ではコスト論のみが優先し、他都市の先進的な事例に学ぶどころか、市民と行政が一体となって分別・リサイクルを推進している他都市を不必要な分別を行なっているとか、あるいは合理性がないなどと批判する答弁が行われました。到底容認することは出来ません。
本市が真に地球規模での環境保全対策としてごみの減量を進めるのであれば、コストに偏重した進め方を見直し、分別収集の拡充などの対策こそ取るべきです。
第二に、エコタウンのおからリサイクル工場についてです。国・市の補助金2億2千万円をつぎ込んで平成13年10月から操業開始したおからリサイクル工場は、食品リサイクル実証施設第1号としてスタートしました。しかし開業後半年で集まったおからは設備能力の4.5%という状況で、今年に入ってすでに経営破綻の危機に直面しています。
多額な税金を使っての過大な設備投資。そして、おからの収集元、販売先など、流通ルートが確立されて無い中での事業化でした。一体となって進めた市当局の経営感覚の無さを厳しく指摘するものです。
最後に、平和問題について述べます。首相の靖国神社参拝が日本とアジアの外交や経済に深刻な影響を与えている中で、本市の発展にとって必要不可欠なアジアとの経済・文化の交流への影響について、末吉市長は全く問題ないと答弁しました。いくら市長が影響はないと言っても、実際に過去の日本による侵略戦争で自国民や国土に多大な損害を与えられたアジア諸国民は日本政府の無反省な行動に怒っているではありませんか。市長の発言は傷つけられた側の感情をないがしろにする発言といわざるを得ません。本市がアジアの中核都市として発展していけるよう、まず市長自らが相手国民の感情を理解した上で、友好関係を築いていくことが必要ではないでしょうか。
以上で私の反対討論を終わります。