牛乳にみる放射性物質汚染の深刻 3/23
牛は牧草を1日約10kgと大量に摂取する。
乳牛に対する放射性ヨウ素の経口投与では、尿による排泄が主要な経路で、乳への分泌は2週間の平均移行比が5~30%程度との報告があり、また、牛乳中の放射性ヨウ素濃度は、投与日以後、指数関数的に低下し、投与日に比較して投与4日目以降は1/100程度に下がることが確認されている。
よって乳牛に5千ベクレル/Kgの牧草を1日10kg与えれば、乳牛の体内被曝量は5万ベクレル、1100マイクロシーベルト、となる。
また、乳牛の一日あたりの牛乳採取量を、30キロとすれば、この牛乳のベクレル値は、5万ベクレルの1/100、これを一日あたりの牛乳採取量、30キロで割って、16.6ベクレル/Kgと推定される。
牛乳の基準値100ベクレル/Kgを超える場合、この牧草の汚染濃度は4万ベクレル/Kg程度か。
この様に、牧草-乳牛-牛乳の連さによって、たとえ低濃度の放射性物質汚染であっても今後継続的に牛乳の放射性物質汚染が継続して行く可能性が高いので、今後も注意深く定期的に牛乳の放射性物質汚染濃度を計測する必要がある。
また放射性セシウムCs-137の半減期は30年と、放射性ヨウ素半減期8.04日より格段に長いので、「福島県本宮市で21日に採取されたクキタチナからは、基準値(1キロ当たり500ベクレル)の164倍に当たる8万2千ベクレルの放射性セシウムが検出された」事を鑑みれば、より深刻な事態に陥っているのかも知れない。
日を追うごとに深刻となる放射性物質汚染
文部科学省は21日、雨水やほこりなどの中に含まれる放射性ヨウ素や放射性セシウムの検出量を発表した。
放射性ヨウ素は首都圏を中心に1都9県で検出され、茨城県では1平方キロ・メートルあたり9万3000メガ・ベクレル(1平方メートルあたり9万3000ベクレル)を検出した。高い数値となったことについて同省では、雨で空中に漂っていた放射性物質が地上に落ちてきた可能性があるとみており、「雨水に触れた程度では、直ちに健康に影響はない」としている。
調査は各都道府県で20日午前9時から21日午前9時まで行われた。放射性ヨウ素は、山形県でも1平方キロ・メートルあたり5万8000メガ・ベクレル(同5万8000ベクレル)が検出されたほか、岩手、埼玉、栃木、東京、群馬、千葉、新潟、秋田でも観測された。放射性セシウムでは、茨城で1平方キロ・メートルあたり1万3000メガ・ベクレル(同1万3000ベクレル)を観測したほか、山形、埼玉、岩手、東京、栃木、群馬、千葉で検出した。
(2011年3月22日01時10分 読売新聞)
首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も
asahi.com 2011年3月23日
文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなどとともに落ちた放射性物質の測定結果を発表した。首都圏などを中心に増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べ、いずれも約10倍の濃度に上がった。健康に影響を与える値ではないが、長期に及ぶ監視が必要になる。
放射性降下物の測定は、文科省が21日午前9時から22日午前9時にかけて全国で行い、分析した。
東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから急上昇した。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は、5分の4にあたる。
この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が440ベクレル(同250ベクレル)と、軒並み上昇した。
前日に、最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がったものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、高い値を記録している。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。
東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりとともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、今後も監視を続ける必要がある。
静岡新聞NEWS (3/23 12:18)
福島県本宮市で21日に採取されたクキタチナからは、基準値(1キロ当たり500ベクレル)の164倍に当たる8万2千ベクレルの放射性セシウムが検出された。基準値(同2千ベクレル)の7倍以上の1万5千ベクレルの放射性ヨウ素も検出された。
また、経口投与したヨウ素が実際に乳に排出されるのは何日後なのでしょうか。
貴殿の計算で、なぜ1/100しているのか分からないので、教えていただければ助かります。
乳への分泌は10%程度と考えられます。
乳牛の生体としての体内処理的にみれば、牛乳に含有する生物学的半減期は約半日であるので、牧草から摂取した放射性ヨウ素が牛乳に含有されるまでの時間を鑑みれば、牛乳へと分泌された10%の放射性ヨウ素は、更に10分の1の、1%程度になるだろうと想定できます。
また放射性ヨウ素の半減期は約8日ですので、24日後の牧草に含有する放射性ヨウ素は8分の1に激減し、新たな放射性ヨウ素が毎日降り積もらなければ牛乳への放射性ヨウ素の心配は無いでしょう。
幼児と乳児では甲状腺の大きさがそれぞれ成人の1/5、1/10なので(実際にはもっと変化があるが、国の指針のモデルに一応従っておく)それぞれ10ミリレム、20ミリレムの被ばくとなる。
ヨウ素131を吸入摂取した場合は、甲状腺への取り込まれ方が上の場合よりやや少なく、1000ピコキュリーの吸入に対して、成人で約1ミリレム、乳幼児はそれぞれ5ミリレム、10ミリレムである。」以上
高木仁三郎(著)「チェルノブイリ最後の警告」七つ森書館86ページより引用
...で、1ピコキュリー=0.037ベクレル、1レム=10ミリシーベルト
で換算してみて下さい。
(セシウムの場合は、又少し数字が異なる様です)
牛の場合、牛の甲状腺の容量に対しての計算をすることで経口摂取による甲状腺被ばく量が試算出来る...かも???
又、生体内で濃縮される傾向についても補正された方が宜しいかと。(仔細については、私も素人なので未知)
ただ、チェルノブイリ当時の記録から、事故当初の線量と
濃縮(事故後一ヶ月後辺りを探して頂ければ)された後の数値を拾えると思います。
また、青木芳朗、前川和彦(監修)「緊急被ばく医療テキスト」医療科学社47ページの表によると
「ヨウ素131(放出される主な放射線ベータ線、ガンマー線(娘核種)の物理学的半減期8日、実行半減期8日、核種が蓄積する器官、組織「甲状腺」とあります。
を書かれたのは、たまちゃんなのでしょうか。
また「生体内で濃縮される傾向についても補正された方が宜しいか」との表現は理解できないのですが。
人の甲状腺被ばくの計算の場合、成人の甲状腺が全体で約25グラム、この中にヨウ素を約10ミリグラム含んでいるそうです。
これをもとに、上記にコメントした式の量のヨウ素131を経口摂取した場合、甲状腺の被ばく量は式の通り。...という様に、食べたもの全部=内部被ばく量ではない様..、子供の場合甲状腺のサイズが小さいため(しかも集める速度が速いらしい)甲状腺被ばくの量が多くなる...ということみたいです。
しかし、原乳の内部被ばく量を計算する場合、ヨウ素131が
乳腺と甲状腺にどの様な比率で分散するのか
乳腺にどれくらいのヨウ素を溜め込むのか等々を検討する必要があるのでは?
「摂取量」「排泄量」との換算で果たして良いのでしょうか?
=補正された方が...の意。
たぶんAさんの質問は、
100分の1となる根拠が欲しいのでは?
濃縮については...、
上のコメントに紹介した緊急被ばく医療テキストによると
セシウムの場合、内部被ばくした核種が蓄積する器官組織は「全身」になるので、経口摂取した核種の量から計算した内部被ばく量が全身に回るのでしょうが、ヨウ素の場合「限定された場所に集まる」ため「濃縮」というのだと理解しています。
ちなみに、この資料によると、セシウム137の物理学的半減期は30年ですが、実行半減期は70日になっています。
先日コメントしたプルシアンブルーは、このセシウムの吸収を阻害し、
半減期を短縮する効果が期待出来るというもので、それが厚労省に認可されていたという話でした。
この場合、大切なのは乳牛の健康ではなくて、牛乳への汚染率だと思うのですが。
牛の甲状腺への放射性ヨウ素の蓄積により、
肉牛に対しても健康被害は多大と思いますが、
所詮人間が心配しているのは牛肉への汚染度だけではありませんか。
私は、どちらも深刻な問題だと思っています。
少なくとも、放射性物質が放出されたと分かった段階で
人も家畜も根こそぎ避難させるべきだったと、今でも思っています。
日本海側に貨物のラインが通った時、何より、貨物に家畜を乗せて疎開させて欲しいと言い続けて来ました。
作付けに必要な種モミがどうなったのか、今後農地の確保はどうするのか、等農水省に問い合わせてもいます。
(勿論意見には個人差があります)
ヨウ素131については、母乳で育児をするお母さんにとっても深刻な問題であろうと思っています。
(搾乳してしまえば排出される...と言う問題でもない様な気がしますし、仮にそうなら、それを赤ちゃんが飲むというのは恐ろしいことなのでは?)これは哺乳類全体への問題です。
まだできさんの乳牛へのコメントは、同じことが人間には及ばないという前提を感じますが...?
それに「牛肉」...となると、問題になる核種はセシウムの方ではないかと...。
一例を挙げますと、チェルノブイリ事故後ラップランドのトナカイから4000ベクレル/キロのセシウムが検出されたという資料があります。
当時、それらの動物の甲状腺にどれほどのヨウ素131を溜め込んでいたかは、今なら簡単に調べられると思います。
プルシアンブルーの内服薬に拘るのは、そのセシウムに少なからず有効とあるからです。
汚染される食品は、牛肉だけではありません。
そして、日本より厳しいヨーロッパの基準だって、
「安全」なレベルでは無く、飢え死にするよりマシ、
これ位は我慢して食べよう...と言うレベルです。
汚染してても、暫定基準内であれば出荷されるのでは?
「タダチニ」以降、何ヶ月後か、何年後かに表に出てくる障害に怯えながら、それでも「今日、明日」を生きるためには食べなければならない。...であれば、内部被ばく線量を計算しながら、なるべく安全なものを...と考えることは無駄ではないと思いますし、実際当時西ドイツの人達は、そのように買い物をしていた様です。
政府が原乳とほうれん草の数値を出したのは、過去にもそれらの線量が高かったことを知っていた証拠なのに、まだまだ多くの情報を隠している。(せめて比較公開を..と文科省にも掛け合いましたが...)
それは、今後広がるであろう汚染についても知っているからでは?
原乳やほうれん草など、始めの一歩に過ぎません。
最近になってようやくストロンチウムという名前が出ました。
プルトニウムも検出され、原発周辺に通常あるレベル...と、原発の放射能漏れを全国に吐露しました。
今後、さらにいろいろな核種の名前が出てくると思います。
過去の日本では、早々に安全宣言を出して、シレっと流通させていたのですから、屁でもないのでしょう。
しかし、汚染というなら、クリアランス制度によって放射性廃棄物が改良土壌に化け、自分達の周りの公園や、学校のグランドに混ぜ込まれ放射線を出し続けていることや、大規模な火災によって発生したであろう汚染物質も、決して安全ではないと思っています。(ようやくアスベストについて調査を始めた様ですが)