天下り制度が年金資金を食い潰す 3/08
国内独立系の投資顧問会社、AIJ投資顧問(東京・中央、浅川和彦社長)が企業年金から運用受託していた約2000億円の大部分が消失していることが2月23日、証券取引等監視委員会の検査で判明したが、この厚生年金基金の破綻は「これまで国民の目からごまかしながら食い潰してきた年金資金の実情をものがたる、最初の年金破綻例」となった。
この事件によって、「一円の税金補助もされていない国民年金を、世代間の相互援助であると偽り、国民年金制度の費用が足りないと消費税の大増税を図る官僚たちの真意」が何処にあったかが明白となった事でしょう。
ここで厚労省からの厚生年金基金への天下りと厚生年金基金制度について調べれば、興味深い変化に気づかされます。
厚生年金基金は単独企業で作る「単独型」と、グループ企業で作る「連合型」、同種中小企業で作る「総合型」がある。
グラフに拠れば、単独型は562から42へ、連合型は678から51へ、総合型は643から495へと、単独型と連合型は激減したのに、何故か総合型だけが減少せずに残っている。
この理由は明白だ。2000年11月のデータであるが、総合型629基金のうち575基金(91%)、単独・連合型1190基金のうち157基金(13%)に、旧厚生省、社会保険庁、都道府県の社会保険担当部局の元職員らが天下っていたからである。
天下り職員の年俸は平均で1000万円を超えていたが、これだけでは2000億円には到底及ばない。
問題は天下り職員が一人でもいることで、その何十倍もの壮大な無駄が生じ、組織そのものが正常に機能しなくなることに有ると言って良いだろう。
天下り職員が一人でもいることで、その組織はこのシロアリの独占領有物となり、厚生年金基金が経済的に維持できなくなってさえも、その厚生年金基金を解散できず、その結果として高配当をうたう怪しげなAIJ投資顧問に引っ掛かったと言うか、天下り職員の自己保全のためには、怪しげな投資顧問に加入する以外無かったものでしょう。
このシロアリ君のお話は、厚生年金基金の失敗として民間だけが損をしたお話にはなりません。厚生年金基金の失敗には税金が注ぎ込まれますし、何よりも日本国の年金制度全体に無数のシロアリ君が現在も年金資金を食い潰しているわけです。
私たちが今しなければ為らない事は、このシロアリ君たちの餌として消費税を増税する事ではなく、このシロアリ君たちを絶滅することではないでしょうか。
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