私の遊び仲間の原子人さんがメーリングリストやブログでワットの蒸気機関を再現し、実際に運転していることを知らせてくれました。ワットの複動蒸気機関の再現の前にはニューコメンの大気圧機関の模型を作り動かしていたのです。ワットが蒸気機関の開発を行うきっかけはこのニューコメンの蒸気機関の模型を動かすことだったので、ワットと同じ道を辿っているのです。
蒸気エンジンはやっぱり動いているのを現場で見たいという願望があり、出張のついでに青森県の原子人さんの作業場まで足を伸ばすことにしました。
工作機械・材料が所狭しと充満している作業場にその手作り蒸気機関はありました。機械全体を構成するフレームやシリンダーなどはホームセンターで買えるものであることは直ぐに分かります。
肝心なボイラーも圧力鍋です。燃料は家庭用のブタンガスを使っています。バーナーに点火して暫くすると蒸気が上がってきますが、シリンダーが冷たいと蒸気がここで凝縮します。水を抜く必要があるのです。するとブタンガスのボンベの方が結露し始めるので、もう一つのバーナーでボンベを暖めていました。ブタンが液体から気体に変わるときこのような現象を避けることが出来ません。
ようやくエンジンが動き始めました。このエンジンは複動機関なので蒸気をシリンダーの上下から交互に切り替えて入れる必要があり、これは手製のバルブで操作しています。このタイミングがなかなか熟練を要するのです。ワットはこれをもう一つのスライダークランク機構で自動的に行いました。
ワットの最大の発明と看做されている凝縮器(コンデンサー)は今回の運転では取り付けてありませんでしたが、メーリングリストからの情報ではやはりコンデンサーを取り付けるとパワーが上がるそうです。実際にワットの蒸気機関を運転して分かるのはコンデンサーよりも高圧の蒸気を利用できる複動機関の発明が実用化には役立ったということです。また工作機械の発達によって正確なシリンダーが製造出来るようになったことが大きいでしょう。
この作業場にはちょっと珍しい機械がありました。それは歯科技工士が使う機械で、原子人さんの前職はこれで金属の精密な研削を行っていたのです。
一通り見学して居間でコーヒーを頂きながらお話を伺いました。ワットの蒸気機関は実際には大変大型であって、これを直感的に分からせるために何種類かのフィギュアがありました。これもあの機械で削って作ったのです。
ワットの蒸気機関を再現するためには多くの情報が必要だったのですが、日本語だけではとても得ることは出来ません。苦労して集めた文献にはワットが特許を申請した時の図面も含まれていました。美しいイラストでした。
原子人さんは「英語は苦手」と言っていますが、知りたいという情熱が「英語も読んでやろう」という行動に繋がっています。なんだか『蘭学事始』を思い出します。
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(08/12/12 追記)このエンジンはまだ手動で制御されているので「即興演奏」に近いものがあります。それでTake2の動画も加えることにしました。
蒸気エンジンはやっぱり動いているのを現場で見たいという願望があり、出張のついでに青森県の原子人さんの作業場まで足を伸ばすことにしました。
工作機械・材料が所狭しと充満している作業場にその手作り蒸気機関はありました。機械全体を構成するフレームやシリンダーなどはホームセンターで買えるものであることは直ぐに分かります。
肝心なボイラーも圧力鍋です。燃料は家庭用のブタンガスを使っています。バーナーに点火して暫くすると蒸気が上がってきますが、シリンダーが冷たいと蒸気がここで凝縮します。水を抜く必要があるのです。するとブタンガスのボンベの方が結露し始めるので、もう一つのバーナーでボンベを暖めていました。ブタンが液体から気体に変わるときこのような現象を避けることが出来ません。
ようやくエンジンが動き始めました。このエンジンは複動機関なので蒸気をシリンダーの上下から交互に切り替えて入れる必要があり、これは手製のバルブで操作しています。このタイミングがなかなか熟練を要するのです。ワットはこれをもう一つのスライダークランク機構で自動的に行いました。
ワットの最大の発明と看做されている凝縮器(コンデンサー)は今回の運転では取り付けてありませんでしたが、メーリングリストからの情報ではやはりコンデンサーを取り付けるとパワーが上がるそうです。実際にワットの蒸気機関を運転して分かるのはコンデンサーよりも高圧の蒸気を利用できる複動機関の発明が実用化には役立ったということです。また工作機械の発達によって正確なシリンダーが製造出来るようになったことが大きいでしょう。
この作業場にはちょっと珍しい機械がありました。それは歯科技工士が使う機械で、原子人さんの前職はこれで金属の精密な研削を行っていたのです。
一通り見学して居間でコーヒーを頂きながらお話を伺いました。ワットの蒸気機関は実際には大変大型であって、これを直感的に分からせるために何種類かのフィギュアがありました。これもあの機械で削って作ったのです。
ワットの蒸気機関を再現するためには多くの情報が必要だったのですが、日本語だけではとても得ることは出来ません。苦労して集めた文献にはワットが特許を申請した時の図面も含まれていました。美しいイラストでした。
原子人さんは「英語は苦手」と言っていますが、知りたいという情熱が「英語も読んでやろう」という行動に繋がっています。なんだか『蘭学事始』を思い出します。
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(08/12/12 追記)このエンジンはまだ手動で制御されているので「即興演奏」に近いものがあります。それでTake2の動画も加えることにしました。
13歳にして蒸気機関車の製作に取り組んでおられるのは素晴らしいことです。私の記事が少しでも参考になったとしたら嬉しいです。
原理としては分かっていてもそれを動く機械に仕上げるのは大変なことですね。機関車が動いたら、YouTubeにでも上げてお知らせ下さい。
埋め込んだ動画がなくなってしまいました。代わりを用意しましょう。
今回はニューコメンのエンジンが水をくみ上げるシーンを撮影出来なかったのが心残りでした。いずれ再挑戦します。
ワットがニューコメンの機関を見てどのように改良策を練ったのか、実際に動かして見ないと実感できません。工作としては容易なのですが、ヤル気と資料ですね。
もう一つ感じたことは、ワットの蒸気機関がかなりの低圧でも動作することを利用して何か出来ないか?例えば火力発電所や工場の余った蒸気の再利用です。
外国ではジェットエンジンを自作して自転車に取り付けた人がいるなどというようなことを聞いたことがあります。
昔々、叔父が焼夷弾の破片を使って首振りエンジンを作ったことを覚えています。ピストンは鉛を流し込んで鋳造した。手で回して遊んだことは覚えているが、実際に蒸気で運転したか覚えていない。
ジェットエンジン、期待していますよ!
最高温度が300℃、内圧が1.5気圧ぐらいで、起動すればファーンって感じで回るちいさなジェットエンジンでも作ってみるかな。