271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

こどもの国(滑り台)

2008-03-20 15:11:49 | 遊具
私のブログ開設の目的の一つが「ヴァーチャル工場見学」なのですが、遊具は工場で製造されればそれでおしまいではなくて、現場に持って行き、施工して遊具になるのです。これまで滑り台について理論的なことも沢山書いて来ましたが、今回は滑り台の施工編です。

現場は横浜市と町田市にまたがる「こどもの国」です。園内マップでは良く分かりませんが、白鳥池の道を挟んだ斜面に設置しました。この滑り台の滑走長は19.0mで、高低差は約6mなので平均滑走角度は18度になります。tan18度の値が0.32なので、この滑面材料の動摩擦係数(≒0.3)と近い値になっているのです。

滑り台の施工自体は基礎の位置、深さが設計図書通りに出来ていればそれほど困難な仕事ではありません。困難は13枚のレーザー加工した鋼板に超高分子量ポリエチレンのレールをはめ込む作業にあります。まず丸鋸でレールの端末を45度にカットします。ポリエチレンは温度に敏感(鉄と比較しての話です)なので気温の変化で伸び縮みします。端末を直角に切ると隙間が出来るので、45度のオーバーラップでこれを隠したいのです。上流側が上に被さるのは当然です。

次いで下のスパンからレールを手で押し込み、下のラインを決めます。社内で通称「バナナ」という半円状の金具で固定します。

そして最終スパンに毛布等を敷いて、ここに電動ウインチを設置します。

見上げるとカーブのスパンが見えますが、ここにレールを一本ずつ通す作業を行うのです。

レールを引き込む作業は以下の動画をご覧になればお分かりでしょう。カーブしている箇所にはガイドを入れてワイヤーの経路を確保します。でもワイヤーを取り外す作業は人の手を煩わすことになります。レールが嵌ったら微調整して、端末を切りそろえてレールを本体に接合します。接合は6角穴付き皿ボルトを使っています。ポリエチレンなので接着は出来ません。接着出来ない=良く滑る、なので仕方が無いのですね。


最近、この現場の滑り台を撮影した動画を2本発見しました。


自分でカメラを持って滑ることは簡単ですが、先に滑ってお子さんをこんな角度で撮影したのはなかなか見られません。子供さんの表情もとっても素晴らしく、良い仕事が出来たと満足しました。


これは一つ間違うと事故になってしまいます。滑るなら大人が先、子供は後が良いのです。物理学で言う運動量(質量×速度)は大人が大きいのです。大きい運動量変化=衝撃力(F=ma)なのですから、大人は十分気をつける義務があるのです。よゐ子は以下の注意看板を守って遊びましょう。


  ↓ポチッと応援お願いします!
にほんブログ村 科学ブログ 技術・工学へ

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 彼岸の頃 | トップ | 古レール建築 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
運動量は大人が大きい (デハボ1000)
2008-03-22 00:09:15
>これは一つ間違うと事故になってしまいます。滑るなら大人が先、子供は後が良いのです。
以前、某プールにあるウォータースライダーに子供とすべることがありまして、多分子供は下で泳ぐことが難しかろうから後ろからカバーしてやろうと思ったのですが・・・μが少ない上に制動が利かないので結果的に途中で追いついてしまいました。
以後気をつけています。
返信する
加速のパターン (271828)
2008-03-22 07:34:13
デハボ1000さん おはよう

お子さんを撮影したビデオはこの滑り台の加速パターンを理解するのに役立ちます。
最初に二つの物体の距離が離れるのは加速のタイミングのずれが原因です。その後はそれほど間隔が広がらないのはほぼ等加速度運動だからですね。
ローラー滑り台の場合は直ぐに終端速度に達し、質量大きい物体の終端速度が大きいので後から滑っても、小さい質量の物体に追いつきます。
ウォータースライダーの場合もそうなのかも知れません。
返信する
撮影 (カメラマン)
2008-03-26 12:25:00
先に滑って撮影したものです。
足であまり距離が開かないように努力したのですが、物理の法則?に負けました。子供は大変気に入ったらしく何度も滑って大変楽しんでいました。
すばらしい滑り台を設計して頂きありがとうございます。
返信する
ありがとうございます (271828)
2008-03-27 05:55:13
カメラマンさん おはよう

やはりエンドユーザー(お子さん)に喜んで頂けるのが一番嬉しいです。もうちょっと大きくなったらここ
http://blog.goo.ne.jp/slide_271828/e/cc99b0ba8840122c759ef7e42cb18f45
で50mの滑走を楽しんで下さい。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

遊具」カテゴリの最新記事