271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

超高分子量ポリエチレンの耐炎性

2009-06-03 04:30:14 | 遊具
公園に遊具を設置すると不特定の人のいたずらを避けることが困難です。中には花火を押し付けたり、焚き火をする輩もいるのです。超高分子量ポリエチレンを滑面に採用した滑り台(グリッサンド)もたまに花火の跡を見ることがあります。しかし花火が原因で滑り台全体が火災になったことはありませんでした。
超高分子量ポリエチレンを滑り台で使うに当たっては、その電気的性質と熱的性質のコントロールが難しかったことはこれまでに何度も書いてきました。しかしこの素材が火炎に触れたときの挙動は推測するだけでこの目で確かめたことはありませんでした。そこで簡単な耐炎性実験をすることにしました。

まずメーカーのカタログから超高分子量ポリエチレンの熱的性質を抜書きしてみます。
熱伝導率  8.5 cal/(cm・℃)
熱変形温度  130 ℃
線膨張係数  10~19 10^-5/℃
耐熱温度  90~110 ℃
比熱  0.44 Kcal/kg℃
耐燃性  遅燃
(cgs単位でスイマセン)
熱変形温度の130℃は熱可塑性樹脂としては高い方で、ポリプロピレンやABSに勝り、ポリカーボネートとほぼ同等です。分子量の大きさが関係しているのでしょう。

素材からカッターで細長い試料を採り、ライターで炙るとパラフィンを燃やしたような臭いがして燃えます。しかし滑り台として組み立てられた状態とは異なります。そこで滑り台と同じ6x50の平鋼に差し込んだ状態を再現することにしました。
熱源は、消毒用エタノール(低温)、ガスライター(中温)、それにブタンガスのバーナー(高温)です。エタノールの炎は明るいところでは見難いので室内で動画を撮影することにしました。


それでもアルコールの炎を写すことが難しく、全体的に見苦しい絵になりました。結果としては、アルコールでは温度が上がらないのでほぼOK。ガスライターの加熱時間は当初1分を予定していましたが、実際にやってみると30秒でライター自体が熱くなって持てません。熱した部分がやや盛り上がりました。さすがにバーナーで熱すると燃え始めましたが、炎を遠ざけると火は消えました。レールの厚さが7mmと薄く、鋼材が熱を逃がしていると考えられます。滑り台全体を延焼させるには相当な量の薪を用意して焚き火するしかないようです。

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2 コメント

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ポリエチレンの発明 (271828)
2009-06-05 04:40:05
kunihiko_ouchiさん おはよう

超高分子量ポリエチレンがスーパーエンプラかどうか良く分からないのですが、主に産業用に使われているので一般消費者が手に触れる機会は極めて少ない素材であることは間違いありません。Wikipediaで「超高分子量ポリエチレン」の記事を読むと、私のブログを参照していることが分かります。

コメントを拝読して、ポリエチレンとテフロンの発明物語を読み返しました。前者はレーダーに使われ、後者は原爆開発に使われました。第二次大戦中の戦略物資ですね。
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スーパーエンプラ (kunihiko_ouchi)
2009-06-03 08:59:50
>超高分子量ポリエチレン
スーパーエンプラを使っているんですね。結構コストもかかるでしょうね。
>中には花火を押し付けたり、焚き火をする輩もいるのです。
これはひどい。困ったものです。
返信する

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