1) モデルナのmRNAワクチンは現行の半量で多分十分
2) イギリス:コロナウイルスの「ヒトチャレンジ」が倫理審査を通過
3) アストラゼネカのワクチンで多くの医療者が体調不良?
4) 若年軽症例の後遺症の実例について
5) 政府内では「緊急事態宣言はしばらく継続すべき」と
6) 日本で可能な抗原検査キット一覧
7) 東京都は自宅療養中の患者を24時間態勢でフォロー
8) ローデッドタイプシリンジ:ニプロが増産体制へ
9) 米軍人の3分の1はワクチン接種拒否
10) 中国:旅行自粛はあったものの9766万人が旅行し、映画の興行収入も新記録
11) 台湾とファイザーのワクチン交渉が決裂
12) ドイツでイギリス変異株B.1.1.7が急増中:2週間で6%から22%に
「執念ある者は可能性から発想する。
執念のない者は困難から発想する」
(松下幸之助)
「自分はあれやな、根本的なところでは理解できてへんな。
ええか?成功したいて心から思とるやつはな。
何でもやってみんねん。
少しでも可能性があることやったら何でも実行してみんねん。
つまりやな、『バカバカしい』とか『意味がない』とか言うてやらずじまいなやつらは、
結局そこまでいて成功したくないちゅうことやねん。
『やらない』という行動を通して、成功したくない自分を表現してんねん」
(水野敬也、「夢をかなえるゾウ」)
●モデルナのmRNAワクチンは現行の半量で多分十分
→ご承知のように、モデルナのワクチンmRNA-1273は3万人をリクルートした第3相試験の結果がすでに出ています。
有効率94.1%という素晴らしい結果でFDA承認。
25, 100, 250μgで検討した第1相試験の結果から、投与量は100μgで実施されていました。
Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine
https://t.co/foY5s39R42?amp=1
・予防効果は1回投与後10日目以降頃から見られるという劇的な速さ。
→今頃になって、最適用量を検討するための第2相試験の結果が出てきました。
第3相よりも第2相論文が後になってしまうという変な形ですが、このワクチンがどれだけの速度で実用化されたのかを物語っているかと。
第2相では投与量を50μg, 100μg, プラセボ群の3群で比較。
結果は、免疫誘導能はほとんど変わらず50μgでも十分かもというものです。
ここからは判断が必要になりますが、接種量を現行の半量にすれば、ワクチン供給量も製造能も一気に2倍になります。
検討可能な戦略かと。
A preliminary report of a randomized controlled phase 2 trial of the safety and immunogenicity of mRNA-1273 SARS-CoV-2 vaccine
https://t.co/Rn04y0v0VD?amp=1
・2回接種後14日目でbAbおよびnAbは上昇し、回復期血清のレベルを上回り、57日目まで上昇したままだった。
-----
・局所および全身性の副作用の頻度
左が18-54歳、右が55歳以上です。
副作用発現率は年齢であまり変わらず。
50μgでは100μgより頻度は少な目ですが、大した差はありません。
1回目よりは2回目の副作用のほうが頻度・程度ともに明らかに高いです。
・中和抗体価の比較 黒が50μg、赤が100μg投与。 左半分2つが18-54歳で、右半分が55歳以上です。 右端に回復期血漿の中和抗体価が表示されています。 GMTの分布でざっくりとみると1回目、2回目接種後ともに50μgと100μgの中和抗体誘導能に差はほぼなし。
・中和抗体の具体的GMT値と抗体陽転化率
2回接種直前のday 29で見ると、GMT値および陽転化率ともに50μg群は低めです。
ところが2回接種14日目のday43では、いずれも両者に差はありません。
●イギリス:コロナウイルスの「ヒトチャレンジ」が倫理審査を通過
→重症化率の低い若年者に参加してもらい、実験的に鼻腔にウイルスを接種して感染させるものです。
ワクチンの有効率の差や薬剤の効果等についても、少ないサンプル数で比較検討する事が可能になります。
既感染者をリクルートすれば、再感染がどの抗体レベルで起こるのかも検討できるかもしれません。
個室で14日隔離され、医療チームが24時間態勢で監視。報酬は66万円。
新型コロナにわざと感染 英国の治験、倫理審査を通過
→ヒトチャレンジ試験は当然ながら倫理面が問題になります。
しかし、少ないサンプル数で迅速に治療法や予防法の効果を検証可能な事から、以前よりその必要性が議論されてきました。
私の知る限りではNatureの昨年3月のこの論文が最初だったかと思います
Should scientists infect healthy people with the coronavirus to test vaccines?
https://t.co/w6pz3xbsdK?amp=1
→米国でも昨年7/16にノーベル賞受賞者15人を含む100人の科学者が米国政府にヒトチャレンジテストを行うべきだ、という公開書簡を送っています。
下記はそれに関するCNNの記事です。
WHOも一定の基準を満たせば倫理的には問題ないとしているようです。
Nobel laureates call for 'challenge trials' to speed up vaccine process
https://t.co/qQ7d5Ymbem?amp=1
----
・15人のノーベル症受賞者を含む100人の科学者が、ワクチン開発促進のために、ウイルスに曝露されるボランティアを募集する公開書簡を書いた。
・彼らは人への感染実験が、世界で開発中のワクチンの有効性評価を加速させるために「非常に重要である"vast importance"」と述べた。
→昨年8月15日にはいよいよ米国が動きだしているという報道がありました。
現時点でこれが進んでいるのかは分かりません。
いずれにしても、結局はイギリスが先陣を切ったという形になります。
米、コロナ「ヒトチャレンジ」治験へ取り組み 倫理的に問題も
米政府の科学者らが、健康な人に新型コロナウイルスワクチンを接種した後、意図的にコロナウイルスに感染させてワクチンの有効性を調べる「ヒトチャレンジ」臨床試験(治験)の実施を視野に、コロナウイルス株製造などへの取り組みを始めたことが、ロイターの取材で分かった。
jp.reuters.com
それは、参加者が若く健康で、低用量曝露から開始し、国民の関与と質の高い医療および厳重な健康管理を提供する事を含んでいる。
・WHOは5月にガイダンスを発表し、challenge studiesは「迅速」かつ「効果的」であるとしている。より少ない参加者で効果を検討する事が可能であり、他のワクチン間の効果の比較も可能である事がその理由である。一定の基準を満たせばchallenge studiesは倫理的にも問題ないとしている。
・"human challenge trials"は管理された条件下でボランティアに意図的にウイルスに曝露させて行うもので、日常生活での感染率を比較する通常の臨床試験よりも数か月早く、ワクチン効果の結果を知ることができる。2000人以上のボランティアを代表する団体「1 DAY SOONER」も書簡に署名している。
このスレッドを表示
・書簡は、米国政府に「人への感染実験"human challenge trials"」の準備を早急に行うべきであると述べた。
----
・15人のノーベル症受賞者を含む100人の科学者が、ワクチン開発促進のために、ウイルスに曝露されるボランティアを募集する公開書簡を書いた。
・彼らは人への感染実験が、世界で開発中のワクチンの有効性評価を加速させるために「非常に重要である"vast importance"」と述べた。
https://t.co/3XtyTJcV23?amp=1
●アストラゼネカのワクチンで多くの医療者が体調不良?
→アストラゼネカのワクチンが一気にお払い箱になりつつある流れです。
・第3相試験の有効率はmRNAワクチンに劣っている
・65歳以上の高齢者の効果に関するエビデンスが乏しい
・2回接種したらベクター抗体ができてしまいbooster接種は恐らく無理
・南アフリカ変異株には全く無効であるというエビデンスが出た
これだけでも厳しいのに、今度はドイツで接種を受けた医療従事者300人のうち4分の1が体調不良で欠勤したという報道です。
アストラゼネカ製コロナワクチン、独仏で使用回避広がる-副反応懸念
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-17/QOOHNAT0AFBT01
欧州の多くの国がアストラ製ワクチンの使用を65歳未満に限定しているため、優先度の高い接種対象のうち高齢者をモデルナやファイザー・ビオンテック製に回し、医師や看護師、福祉施設従事者はアストラ製に振り向けられることが多い。だがフランスのワクチン予約プラットフォームでは、アストラ製接種の予約に数百の空きがあるのに対し、その他2つのワクチンではほぼ空きがない状況となっている
→WHOはアストラゼネカのワクチンを「COVAXファシリティ」の枠組みで世界に供給する予定。
本当にそれでいいのか、議論が出てきそうです。
WHO アストラゼネカ製ワクチン緊急使用リスト追加 各国分配へ
https://t.co/DXphkkphKS?amp=1
●若年軽症例の後遺症の実例について
→論文ではありません。
しかし、このような個々のエピソードは医師にとっても疾患理解の上で重要です。
一般人が新型コロナのリスクを知る上でも、下手な統計数値よりは理解しやすいかと。
・14歳男子。発熱は1日のみでその2日後から左足趾の発赤腫脹が1か月持続。嗅覚障害と倦怠感持続。
・29歳女性。感染後から味覚障害が2か月持続中。
「足の指が変なんやけど」発熱1日でも…14歳にコロナ後遺症
https://news.yahoo.co.jp/articles/7220a5552bedd84d8a8646729c7657b9ce4aef85
●日本の状況
ついに東京の7日平均の1日感染者数減少が止まりました。
350人前後です。
次の一手は?
→東京都の推移
東京都 新型コロナ 445人感染確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210217/k10012872101000.html
------
都内で新たに445人が新型コロナウイルスに感染
都の基準で集計した18日時点の重症の患者は、17日より3人減って84人
-----
本日の全国の感染数・推移
埼玉210人、千葉149人、神奈川142人、福岡101人
大阪89人、愛知51人、兵庫46人、茨城39人、北海道32人
2月18日 新たに確認された感染者数
https://t.co/90gSdETBQF?amp=1
→政府内では「緊急事態宣言はしばらく継続すべき」と
判断基準が医療体制状況になっているような気がしますが、経済を回し続けられるようにするのも本質的ゴールのはずです。
このまま単に緊急事態宣言を解除するだけなら、再拡大も結局は時間の問題という事になります。
これでは同じ事の繰り返しです。
緊急事態宣言 政府内で“当面継続すべき”意見広がる
https://t.co/U0mge1pgxM?amp=1
→社会における感染対策は、日本に関する限り、人間に可能な上限レベルで1年ほど継続したと思います。
そろそろ根気負けしてきている気配すら感じます。
長期戦を見据えた今後とりうる改善策は「検査拡大による感染源の早期隔離」しかないように個人的には思います。
もう理屈はともかく、やってみるべき時期に来ているのではないかと。
PCR拡大是非の議論は1年たっても意見が分かれており、恐らく永遠に決裂したままでしょう。
感染連鎖を断つのが目的であれば、ウイルス量の多い人を検出できれば良いわけですから抗原検査でも十分だと個人的には考えます。
検査頻度によってはコストの議論が出てきますが、緊急事態宣言による経済的ダメージとのバランスで議論すべきかと。
一方で抗原検査はキットにより性能差が大きいです。
ところが、アボットの「Panbio COVID-19 Antigen ラピッド テスト」は性能的にもPCRとあまり遜色ないレベルで優秀。
器具不要のイムノクロマト法で15分で判定可能です。
見落とし、勘違いがあればご容赦ください。
念のため、私はアボットとのCOIは特にありませんwww
---
新型コロナウイルス感染症が疑われ、発症又は暴露から 7 日以内(発症日を 0日として)の海外臨床検体(鼻咽頭ぬぐい液)を用いた RT-PCR 法との比較に基づく試験成績(585 検体)は、陰性一致率 99.8%(444/445)、陽性一致率 91.4% (128/140)、全体一致率 97.8%(572/585)であった。
----
日本の承認検査、製品概要は下記のページで参照可能です。
新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品(検査キット)の承認情報
https://mhlw.go.jp/stf/newpage_11331.html
→東京都は自宅療養中の患者を24時間態勢でフォロー
「フォローアップセンター」を開設していたようです。
健康観察や医療相談を民間委託して24時間態勢で行っていると。
知りませんでした・・・
東京都 自宅療養のコロナ感染者を24時間態勢でフォロー
https://t.co/LdqUuiLm0a?amp=1
→ファイザーのワクチンボトルから6回分を採取できるシリンジ
ローデッドタイプと呼ぶそうですが、ニプロが月間50万本から数百万本に引き上げると。
ニプロ、1瓶6回の注射器増産
https://t.co/Jw6y44hk3M?amp=1
→米軍人の3分の1がワクチンを拒否と
若年のはずなので軍人個人のメリットは少ないかもです。
しかし、国民を守るという観点からはどうなんでしょうか?
日本の自衛隊なら全員接種しそうです。
多分・・・
米軍の3分の1、コロナワクチン接種を拒否 国防総省
https://t.co/MHBgMDaTxh?amp=1
→武漢のロックダウンで始まった本感染症ですが・・・
今のところ中国は感染を非常にうまく制御できているのは間違いないと思います。
春節の旅行自粛はあったものの9766万人が旅行し、映画の興行収入も新記録達成。
中国、春節の旅客数は6割減 旅行自粛強く要請、映画は好調
https://t.co/MtFJpRhNBc?amp=1
→台湾とファイザーのワクチン交渉が決裂
台湾は中国からの「政治的圧力があった」とみているようです。
真偽は不明ですが、ワクチンを入手できないという事が起こりうるという冷徹な現実は頭に入れておくべきかと。
台湾のワクチン確保、「政治的圧力」で頓挫 衛生相が主張
https://t.co/31esktu9Xa?amp=1
→ドイツでイギリス変異株B.1.1.7が急増中
2週間で6%から22%に増加していると。
現時点でドイツの感染拡大ペースは大幅に鈍化しているようですが、この後の変化に注意が必要かもしれません。
ドイツ、変異株が急拡大 全感染の2割、保健相懸念
https://t.co/6bpUmAaL3h?amp=1