ワクチンは副反応が怖いけど…イギリスで接種した友人のLineでビビった私を変えた医師の一言(サンデー毎日×週刊エコノミストOnline) - Yahoo!ニュース
在宅ワークのストレスで睡眠時間が乱れていた2月中旬の朝だった。イギリスに住む女性の友人からLineが来た。これは困ったことになったと思った。新型コロナウイルスの「ワクチンの1回目の接種をしたが、注射した利き手に痛みがあり、体が痺れている感じ」というのだ。まさに今週から日本でもワクチン接種が始まるというタイミングだ。このワクチン、安全なんだろうか。Lineの文字から目が離せなくなってしまった。まずは友人の許可を得て内容を紹介する。基礎疾患がない50代後半の日本人女性だ。 ◇イギリスは1500万人が接種 「こんにちわ。昨日ロンドンの特設接種センターに行きましたよ。接種の前の問診は簡単に終わりました。服用中の薬、薬アレルギーの有無を聞かれ何もないと返事をしたら、すぐに打ちました。 すでに接種した友人からは、注射をうつ前にとても詳しい質問を受けたと聞いていたので、自分はなぜこんなに簡単なのと意外でした。 アストラゼネカのワクチンの入った小瓶を見せられて、これですよと確認した上で打ちました。注射後に激しい副反応があるかもしれないと言われ、15分別室で待機し、特に何もなかったので帰宅。もし頭痛が起きれば鎮痛剤を飲んで下さいと言われました。 イギリスではコロナ感染が深刻です。1月から始まったワクチン接種がこの週末で合計約1500万人に達し、成人の30%に上ります。尻込みするのは、かなりの少数派なのかもしれません」 イギリス人の多くが注射を熱望しているようだ。その一方、コロナ禍でも外出先から戻って手を洗う習慣がなく、トイレで手を洗わない人も少なくないそう。こっちのほうが感染対策では重要と思う。肝心の接種後の体調がどうなったのかというと。 ◇「体にだるさ、夜は眠れず」のLine 「接種当日:インフルエンザのワクチンを打った時のような、体にだるさを感じた。頭痛は無し。ワクチンを打った腕に痛みがあり、日常生活で不便。夜は眠れず2~3時間しか眠れなかった。
接種2日目:体のだるさ強い。腕の痛みはなくなったが、体が痺れている感じ。頭痛。インフルエンザのかかり始めのような気がする。体調悪い。友人はファイザーを接種したが、私と体調の違いがあるのかどうか気になる」 なんとリアルな体験談。友人に許可を得て、専門家の医者にどう思うか、聞いてみることにした。 ◇夜9時過ぎのZOOM取材 池袋大谷クリニック(豊島区)の大谷義夫院長が取材を快く受けてくれた。発熱外来でのPCR検査が終わってからの夜9時のzoom取材となった。「日本人が、わたしが接種しても大丈夫なんですか」、と聞きたかった。 大谷院長は呼吸器専門医で、喘息などの患者への治療と並行して、新型コロナウイルスに感染しているかどうかのPCR検査を連日行っている。コロナ最前線で戦っている医師の一人。ワクチンの副反応と接種についての質問に、大谷院長は「わたしは打ちたいです」と笑顔で即答した。 ◇「多くの方に安全です、と説明します」 「高齢者の方々は4月からの接種に向けて、自分は基礎疾患があるが危なくないか?といった質問をよくされます。一日に何十人の方々から質問されます。私は呼吸器が専門のため、喘息、肺疾患のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など基礎疾患がある方が多いですが、現状ではあなたは打てませんと言ったことはありません。安全ですと説明しています」 --副反応は心配です。安全なんでしょうか? 「抗体を持つメリットのほうが、副反応や外出できないというデメリットより大きいと思います。 アナフィラキシーと呼ばれる激しいアレルギー症状になる人は10万人に1.1人です。インフルエンザのワクチンよりは多いですが、抗生物質に比べると少ないです。今回、海外で頭痛や接種部の痛みなどの訴えがあるが許容範囲です。メリットの大きさに比べたら、多少の痛みは許して下さい」 ◇「私も打ちたいです」 「許して下さい」と、まで大谷医師がいったのにはわけがある。大谷医師が「自分も打ちたい」という理由を吐露してくれた。
「心筋梗塞の患者でもなかなかベッドがみつからず、助かる命が助からなくなる。よく言われていることが本当に現実にあります。1月下旬には肺炎心不全の方が、3時間ベッドを探して見つかりませんでした。私が緊急入院先を10カ所当たり、救急車の中で救急隊員の方が20カ所を探し、あと30分遅かったら命が危ない状態でした。感染拡大した第3波はこのように医療がひっ迫した状況です。 私は常に身近でコロナウイルスに感染した方々の体に触れて聴診器を当てています。今日も2人陽性患者がいました。自分がどこかでウイルスをもらうのではないかという心配もあります。私はワクチンを打ちたいです」 --ワクチンを打ったら、外出をどんどん増やしても良いのですか? 「ワクチン接種をしても、しばらくはマスクを外してはいけない状況は続きます。今後は1年に1回、インフルエンザのようにワクチンを打つようなものになっていくかもしれません。しかし、ワクチンで免疫ができれば旅行や会食も行きやすくなるでしょう。当クリニックは、年末年始は発熱外来を続けました。状況によっては今年のゴールデンウィークは休まずにクリニックでワクチンをどんどん接種させていただきますが、来年の正月は休ませてほしいです」
コメントから
40年近く呼吸器の診療をしています。
30年ほど前の、インフルエンザの感染を思いだします。
毎年、冬になると、1日に100名以上の患者さんが外来に殺到し、介護施設からは、複数名の重症肺炎患者さんが入院してきました。タミフルなどの、特効薬もなく、点滴と抗生剤、ステロイドを使用しても、次々に亡くなっていきました。病棟のスタッフも次から次に感染し、皆が感染して免疫を作るまで続きました。そんな時に、65歳以上は予防接種費用が半額になり、病院職員も、半額を病院負担することが決まり、対象者の9割が予防接種を受けるようになりました。
その翌年から、若年者のインフルエンザの受診は変わらないものの、重症者が次々に入院したり、病棟職員が感染で休むことは少なくなりました。
インフルエンザの予防接種は、60%程度の効果しかなく、年1回接種なのに絶大な効果でした。今回のコロナの予防接種に疑問を抱く余地はありません。
抗体依存性感染増強の副反応がないなら打ちたい。接種直後の副反応だけではなく、数週間後、数カ月後の海外での副反応の状況をもっと詳しく報道してほしい。