春は、お花見や新人歓迎会で飲酒の機会が増えます。また気温も高くなってくる…と多くなるのが、実は痛風です。典型的なケースでは急に足の親指がまっ赤に腫れて、まさに風が吹くようなわずかな刺激でも飛び上がるほど痛いのが痛風です。
この痛風は血液中の尿酸が多くなる、高尿酸血症が原因で起きます。尿酸はDNAの原料でもあるプリン体から作られます。プリン体はビールとかレバー、イクラなどに多く含まれているということを耳にされた方もおられると思いますし、現に尿酸値が高いということで、プリン体フリーのビールを飲まれている方もおられると思います。一方、からだの新陳代謝の一環でも尿酸は産生されます。実際、食事の影響は20%といわれ、「体質」あるいは遺伝的な要素が80%を占めるといわれています。この尿酸は、尿に関係するわけではないのですが、もともとは尿が酸性の時に作られやすい、尿酸結石から見つかった物質です。
尿酸が結晶を関節につくり、これが剥がれると炎症を起こし、痛烈な痛みをもたらすのが痛風です。尿路結石も、激烈な痛みを生じて、泌尿器科医に駆け込みますが、レントゲンに写りにくいため、以前は診断が難しいことがありました。
この尿酸は、体の中にある程度は必要と考えられています。尿酸自体が、抗酸化力を持つからです。しかし血液中の尿酸値が高くなると、高血圧、糖尿病や慢性腎臓病の頻度が高くなることから、尿酸が過剰になると臓器の機能を損なうと考えられます。したがって、痛風や尿路結石になっていなくても、尿酸値のコントロールが、健康長寿に大切です。
痛風は帝王病といわれ、肉、魚介といったプリン体の多いおいしい食事を取ることで発症すると考えられてきました。しかし尿酸値が高くなるのは、いわゆるプリン体を摂取するからだけではありません。意外に知られていませんが、果物に含まれる糖分である果糖も尿酸値を高くします。この果糖は、果物だけでなく清涼飲料水やヨーグルト、スイーツなどありとあらゆる食品に含まれています。
果糖というと何となく体によさそうなイメージがありますが、実は一般的な砂糖に比べて、尿酸値も上がり、肥満にもなりやすい、悪玉糖分です。尿酸値が高い人は、果糖が含まれている食品をまずチェックしたほうがいいでしょう。