「RSウイルス」全国で猛威 重症患者が急増!原因はコロナ対策?(ABCニュース) - Yahoo!ニュース
乳児は重症化のおそれ
大阪市内に住む橋本さん親子。1歳になったばかりの岳空(がく)ちゃんは今年4月、例年であれば“春には流行していない病気”にかかりました。 「最初はお熱が出て、鼻水が出て、風邪かなってお医者さんにも言われてたんですけど。しばらくすると咳で吐き戻しが始まって、ミルクとか、水分補給がなかなか取れなくなってしまった」 「検査をしてもらったらRSウイルスで、お兄ちゃんからもらっちゃったねって」(岳空ちゃんのお母さん)
岳空ちゃんが感染したのは「RSウイルス感染症」。咳や鼻水、発熱などの症状が特徴で、例年は夏から秋にかけて、乳幼児やこどもを中心に流行します。 過去にRSウイルスにかかったことがあるお兄ちゃんは軽い症状でしたが、次男の岳空ちゃんは、当時まだ生後10ヵ月。症状もひどくなり、大阪市内の病院に入院しました。 「脱水があったので、点滴を入れないと。吐き戻しがすごくて1日4回ぐらい吐いちゃって。」(岳空ちゃんのお母さん)
驚異的なスピードで感染拡大
「RSウイルス感染症」は例年、夏頃からはやり始めます。 兵庫県立こども病院の感染症内科医・大竹正悟さんは、今年は流行が始まる時期が早く、患者数も全国的に激増しているといいます。 「驚異的なスピードで、かつ驚異的な数の増えというのが、僕の率直な感想ですね」(兵庫県立こども病院・大竹正悟医師)
RSウイルス患者の発生状況のグラフを見ると、兵庫県内では、1医療機関あたり直近1週間で、7.51人の患者を確認。過去5年で最多です。 例年、夏以降にピークが始まるRSウイルス。そして、新型コロナウイルスが大流行した去年は、1年を通してほぼ患者は確認されませんでした。
毎年かからないと症状が強く出る?
そもそも、RSウイルスとは一体どんな病気なのでしょうか? 「簡単に言うと風邪のウイルス。風邪のひとつですね。大人や学童期のお子さんがかかったぶんには、鼻水であったり、軽い咳症状で終わるんですけれども。新生児がかかってしまうと、場合によっては集中治療室での治療が必要になるような怖いウイルスになります」(兵庫県立こども病院・大竹正悟医師) また大竹医師によると、RSウイルスは感染力が非常に強く、2歳までにほぼ100%の人が感染するということです。 なぜ今年は例年と違うピークを見せているのでしょうか? 「去年はおそらく新型コロナウイルス感染症の対策の効果か、全く感染者がいない状況が続いて。突然、去年の分の感染者が増えた印象があります」 「RSウイルスは基本的には毎年感染するものと思っておいていい。仮説ですが、去年かからなくて免疫が付かなかった方が、今年新たにかかった場合に症状が強く出ているのかもしれない」(兵庫県立こども病院・大竹正悟医師)
開院以来最多の入院患者
毎年かからないと、強めの症状が出てしまう可能性。 兵庫県立こども病院では、急増するRSウイルス患者の対応に追われていました。 現場の看護師は… 「院内4~5か所の病棟で、いま総勢18名のRSウイルスの患者さんを見て、というのが現状です。過去は2019年の8名が最大でした。」(兵庫県立こども病院 感染管理認定看護師・中島由佳さん) 急増するRSウイルスの入院患者。兵庫県立こども病院では、退院してベッドが空いても、すぐに次の患者で埋まってしまいます。 「RS患者を診るときにはコロナとほぼ同じ装備で入っていく必要があります。長袖エプロン、マスク、手袋、アイシールド。脱ぎ着がかなり業務的負担はありますが。そこは自分たちがやらなきゃいけないという思いで現場が協力的にやってくださってます」(兵庫県立こども病院 看護師・中島由佳さん)
”過剰な感染症対策”は必要?
健康な大人が重症化することはほぼありませんが、非常に感染力が強いRSウイルス。これ以上広げないためにも、病院では徹底した防護体制で臨みます。 しかし、患者はまだ「ママ・パパの愛情」が必要な子どもたち。 「うち(県立こども病院)では、面会が完全に出来ない禁止状態にしたことはなくて。面会禁止ではお子さんの精神安寧が得られない。やはり母子関係・父子関係の間でふれあいは一番大事なこと」(兵庫県立こども病院 看護師・中島由佳さん) 子どもの健全な成長のために必要な、人や社会との“密な接触”。 大竹医師は「季節外れのRSウイルスの爆発的感染は、過剰な“新型コロナ対応”への警鐘かもしれない」と指摘します。 Q.お医者さんとして「未就学児へのマスク着用」はどう考えていますか? 「僕は必ずつけなければならないという風には思っていません。大人が子供を守ってあげた方がいいかなと思うので、必ず大人がつける」 「普通は子どもは、風邪を引くものだと思うんですよね。過剰なコロナ対策で普通に引くような風邪をひかなくなり、免疫がつきにくくなる。場合によっては大人になってからかかった時に、重症化してしまうという事の可能性がある」 「たとえば、 RS ウィルスの陰性証明が必要な保育園があったりするようで。そのような過剰なことをしてしまうと、未来ある子供達が成長する過程において、何か不具合が生じるんじゃないかなと感じている」(兵庫県立こども病院・大竹正悟医師)