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ベリベリと裂ける血管… 「大木凡人」「快楽亭ブラック」が証言、恐怖の大動脈解離

2017-07-30 | 医療、健康

結構、怖ろしいですね。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170729-00528201-shincho-life

「この中にお医者さんはいませんか!」

 7月6日、公演の初日を迎えた東京芸術劇場に、悲痛なアナウンスがこだまする。だが、俳優・中嶋しゅう(享年69)の意識は戻らなかった。彼の命を奪ったのは「急性大動脈解離」である。

 舞台で役を演じている最中の急死に、せめて安らかな最期であったことを願うばかりだが、残念ながらこの病は、多くの場合、塗炭の苦しみを伴う。振り返るのは、同じく大動脈解離を発症した司会者の大木凡人(72)だ。

「発症したのは2015年1月のことです。ボクはトイレで新聞を読む習慣があって、その時も新聞を読み終えて、さあ飲みに行くかと立ち上がった瞬間のことでした。突然、胸や背中のあたりに激しい痛みが走ったのです。音にしたら、バリバリッ! って感じで、あまりの痛さにギャー! と叫んでしまったほど。とにかく我慢するために“痛てぇ! このヤロー!”と叫びながら、壁をつたって何とかリビングルームにたどりついた。そこで携帯から救急車を呼んだのです」

 東京・目黒区の救急病院に担ぎ込まれた大木の血圧は、普段、上が120前後なのに183まで急上昇していた。

「病院に運ばれたあとの2~3日はほとんど記憶がありません。大阪から駆けつけてきてくれた弟によると、すでに危篤状態だったそうです。後で聞くと、心臓の裏側からお腹にかけて大動脈が60センチにわたって裂けていた。血管も詰まっており、左腕と右太腿の付け根にある動脈も手術しなくてはなりませんでした」

 が、迅速な処置もあって生還する。今は、数カ月に一度の検診で済む程度まで健康を取り戻した大木は振り返るのだ。

「あの痛みといったら、経験したことのないものでした。ボクは胃痙攣や急性盲腸炎をやったことがありますが、比べものになりません。胃痙攣の痛みが1としたら、大動脈解離は100ぐらいの激痛です」

 もう1人、落語家の快楽亭ブラック師匠(65)が大動脈解離を発症したのは05年10月のことだ。

モルヒネが効かない

 この日、ブラック師匠はTBSラジオの出演をちょうど終えたところだった。

「後で飲みにゆく約束があってスタッフルームで待っていたんです。すると胸がギューッと締めつけられるような激痛が襲ってきた。たまらず横になっていると、スタッフが救急車を呼んでくれ専門病院に担ぎ込まれたのですが、胸の激痛が背中に移って、今度は左足が痛くてたまらない。看護婦さんに“麻薬でも何でもいいから楽になるやつを打ってくれ”と頼んだら、すでにモルヒネを何本も打っているという。麻薬がぜんぜん効かないほどの激痛だったんですね」

 今では高座にも復帰しているブラック師匠だが、「死の淵」を覗いた瞬間を忘れることが出来ないという。

 大動脈解離で手術を受ける患者は、1年間に6000人超といわれる。がんや脳梗塞ほどメジャーな病気ではないが、我が国はイタリアと肩を並べ世界でも抜きんでて患者数が多い。診断技術が向上しているという背景もあるが、大きな原因は高齢化と高血圧患者の増加である。実際、患者数は増え続けており、有名人がこの病気で命を落としたり入院するといったニュースを耳にすることも多い。中嶋しゅうの他にも俳優の阿藤快(享年69、大動脈解離からきたと見られる大動脈瘤破裂)や、歌手の大瀧詠一(享年65)がこの病で命を落としている。また、タレントの加藤茶(74)や落語家の笑福亭笑瓶(60)も危うく死にかけた。

ベニヤ板が割れるように…

 大木とブラック師匠の例でも分かるように、この病気の特徴は、耐えがたいほどの激痛と、高い確率で死に至ることだ

 

 心臓から出ている大動脈は、太さ25~35ミリ。心臓の上をぐるりと回って胸から腹、そして腰のあたりまで通る最大の血管だ。

 秋津医院の秋津壽男院長が言う。

「大動脈の壁は3枚重ねのベニヤ板のようになっています。『内膜』、『外膜』、そして両方の膜の接着剤の役割を持つ『中膜』です。ところが高血圧などで内膜に傷がつくと中膜の層に血液が流れ込む。すると古いベニヤ板が割れるように中膜がベリベリと裂けてしまう。これが大動脈解離です」

 裂けた場所は「偽腔」と呼ばれ、血液を溜めながらさらに広がってゆく。激痛が襲うのは、裂け目が広がるときだ。

 日本大学病院循環器病センターの折目由紀彦医師(日大医学部准教授)によると、

「大動脈のまわりには無数の神経が張り巡らされていますが、裂けることによって外膜がぐっと引き伸ばされると、神経が圧迫され、激痛が走るのです」

 大木が感じたバリバリッとした痛みはこれが原因だ。

心タンポナーデ

 やがて、偽腔に血を湛えた大動脈はパンパンに膨らんだ状態になる。そして、偽腔が冠動脈に達すると、心臓を圧迫して急性心筋梗塞を引き起こす。また、偽腔に血が溜まることによって脳に行く血流が弱くなり脳梗塞も起きる。致命的なのは、偽腔から(心臓を包む)心膜の中に血液が流れ込み、心臓を抑え込んでしまうケースだ。

「そうなると、心臓は鼓動できなくなってしまう。『心タンポナーデ』というのですが、すぐに手術しないと確実に死ぬ。中嶋しゅうさんは、心タンポナーデが一気に起きてしまったと思われます」(同)

 解離を起こすと大動脈瘤も出来やすい。瘤が破裂すれば全身の血圧が急降下し、ほぼ即死だ。

 心臓外科医で昭和大学横浜市北部病院循環器センター教授の南淵明宏医師が言う。

「大動脈解離が出来はじめたら時間との勝負で、遅いほど致死率が高くなる。24時間以内に約3割、1週間放っておいたら8割以上が死亡すると言われています」

 幸いなことに、大動脈解離は早めに発見すれば治すことができる。激痛が走るもっと前に「死の影」を察知する手立てはないものだろうか。

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