https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171107-00000009-nikkeisty-hlth&p=2
追跡期間中に5796人が死亡しており、うち1649人が循環器疾患による死亡でした。また、4784人が主要な循環器疾患を経験していました
炭水化物については、最低群(総エネルギーに占める炭水化物の割合の中央値が46.4%)と比較した最高群(同77.2%)の総死亡のリスクは28%高く、摂取量が多いほど死亡リスクは高い傾向が見られました。最高群では、循環器疾患以外による死亡のリスクも36%高くなっていました。
摂取量の増加とリスク上昇の関係を調べたところ、総死亡のリスクは、総エネルギー量に占める炭水化物由来のエネルギーが60%を超えたあたりで上昇傾向を示しました。おおよそ70%を超えると、リスク上昇は統計学的に意味のあるレベルになり、それ以降も上昇は続くことを示す結果が得られました。70%を超えると、主要な循環器疾患のリスクも急上昇していました。
脂質については、炭水化物とは反対に、最低群(総エネルギーに占める脂質割合の中央値が10.6%)に比べ最高群(35.3%)の総死亡リスクは23%低くなっていました。同様に、脳卒中と、循環器疾患以外による死亡のリスクも低くなっていました。
脂質の総摂取量の増加とリスク低下の関係を調べたところ、死亡リスクは、総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーが15%を超えたあたりから、統計学的に意味のある低下を示し、しばらくはその値を維持していました。さらに30%以上になると、摂取量の増加に伴いさらなるリスク低下を示しました。
飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取はいずれも、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクと、循環器疾患以外による死亡のリスクは低いことが示唆されました。
たんぱく質摂取量についても、最低群(総エネルギーに占めるたんぱく質割合の中央値が10.8%)に比べ最高群(19.7%)の総死亡リスクは12%低く、循環器疾患以外による死亡のリスクも15%低くなっていました。なお、動物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクの低下に関係する一方で、植物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクに影響を及ぼしていませんでした。
これまでに欧米で行われた研究と比べると、今回の分析対象となった人々の炭水化物の摂取量は多く、およそ4分の1が総エネルギー量の70%超を炭水化物から摂取していました。
今回の研究は、「総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合が高すぎる人は総死亡リスクが高い」こと、「脂質摂取量は、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクは低い」ことを示しました。著者らは、「低所得国の食生活は、炭水化物の摂取量が非常に多く、それも精製穀物が中心であるため、炭水化物を減らして脂肪からエネルギーを摂取したほうがよい」とし、食生活に関する世界的なガイドラインの再考が必要との考えを示しています。