https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180603-00010000-jij-sctch 略
フレイルやサルコペニアの症状は、加齢による全身の機能低下が目立つ75歳以上の高齢者で問題になっていた。しかし近年、糖尿病や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性心不全、肝機能障害などを患っている人の場合、50~60代でも前駆的な「プレフレイル」「プレサルコペニア」の症状が見られる。このような状態にどう対応したらよいか、専門医や管理栄養士に聞いた。
一部の若年性認知症などを除き、原則として75歳以上の患者の診療を専門とする東京医科大学病院(東京都新宿区)高齢診療科の羽生春夫教授(老年医学)は「高齢になればなるほど、病気の治療だけでなく、全身の状態をどれだけ良好に保てるかが重要になる。全身の状態の悪化を少しでも緩やかにすることが、患者がどれだけ自立的に日常生活を送れるかどうかを大きく左右する」と強調する。このため、初診時には認知症やうつ病などともに、「フレイルになっていないか」「サルコペニアの兆候はないか」といった点も含め、全身の状態の把握に努めるという。
一般的にはあまりなじみのないフレイルには、数値化され統一された判断基準はない。ただ、注意すべき複数の項目が提唱されている。主なものとして、(1)意図せずに年単位で生じた一定以上の体重減少(2)強い疲労感(3)歩く速度の低下(4)握力などの筋力低下(5)日常の歩行や家事など活動量の減少―などが挙げられている。このうち、該当するのが3項目以上ならフレイル、それ未満であれば、注意が必要なプレフレイルとされている。
しかし、実際にフレイルやサルコペニアの兆候があっても、医療現場で施せる治療は少ない。「基本的には、十分な栄養の摂取と散歩など低負荷の運動の励行が一番の対策だ。その意味では介護分野との連携が重要になってくる」と羽生教授は話す。このため「介護予防」「転倒予防」などを目的に地域で開催されているイベントに参加してもらうことも有効だ。羽生教授は「フレイルやサルコペニアは、適切な対応を取れば回復することができる。できるだけ早期に発見して対応することが大切だ」と指摘する。