単体のクロムは安定した極めて錆びにくい無害の金属で、鉄との合金がステンレスとして広く利用されている。クロムの化合物を価数で分類したとき、Cr(III) 化合物と Cr(VI) 化合物がそれぞれ一般に「三価クロム」「六価クロム」と呼ばれる。
クロムは地球上の土中にクロム単体または三価クロムの形で広く存在する。人体を構成する必須元素の一つでもあり、体内に約2ミリグラム存在している。サプリメントの成分として使われる場合は三価クロムの形(おもにピコリン酸クロムとして)で添加される。
一方、六価クロムは極めて強い毒性を持つ。代表的な六価クロムの二クロム酸カリウムの致死量は約0.5-1グラムである。六価クロムは非常に強い酸化能力を持つ不安定な物質で、有機物と接触するとその有機物を酸化して、自身は三価クロムに変わる性質がある。六価クロムの強い毒性はこの性質に由来するものであり、自然界に通常は存在しないのもこのためである。この性質は皮をなめすのに利用されて来た。
また、家庭用品のめっきにはほとんどクロムめっきが用いられる。めっきの部分はクロム金属の薄膜である。クロムめっきには原料として現在も六価クロムが多用されているが、毒性に配慮して三価クロムへの移行も進められている。
三価クロムが自然界に広く安定して存在するのに対して、六価クロムは自然界ではクロム鉱石として限定的に存在するに過ぎない。六価クロムは人工的には三価クロムを高熱で焼くことによって生成される。また、還元剤によって還元されると三価クロムとなるため、六価クロムを廃棄する際には主に還元処理によって無害化される。
クロムは高沸点重金属の化合物なので、融点・沸点ともに高く、六価クロムそのものが常温で気化することはない。一部の六価クロム化合物には(潮解性)がある。
代表的な六価クロム化合物に三酸化クロム (CrO3) や二クロム酸カリウム (K2Cr2O7) があり、酸化剤やめっき等に用いられる。また、六価クロム化合物のうちクロム酸塩(CrO42-イオンを含む化合物)は黄色のものが多く、水に可溶なものとしてはクロム酸カリウム (K2CrO4) 等がある。また、水に不溶なクロム酸塩は黄色の顔料として使われる。クロム酸塩の黄色顔料でよく使われるものとしては黄鉛(クロム酸鉛、PbCrO4)、ジンククロメート(クロム酸亜鉛、ZnCrO4)、ストロンチウムクロメート(クロム酸ストロンチウム、SrCrO4)、バリウムクロメート(クロム酸バリウム、BaCrO4)がある。
毒性 [編集]
強い酸化作用から、六価クロムが皮膚や粘膜に付着した状態を放置すると、皮膚炎や腫瘍の原因になる。特徴的な上気道炎の症状として、クロム酸工場の労働者に鼻中隔穿孔が多発したことが知られている。これは飛散した酸化剤や顔料などの六価クロムの粉末を、長期間に亘って鼻腔から吸収し続けて、鼻中隔に慢性的な潰瘍が継続した結果と考えられる。
また、発癌性物質としても扱われている。多量に肺に吸入すれば呼吸機能を阻害し、長期的には肺癌に繋がる。消化器系にも影響するとされ、長期間の摂取は肝臓障害・貧血・大腸癌・胃癌などの原因になりうる。
六価クロムを粉末状で取り扱う職場は周囲への飛散を防いだ上に、目・鼻・口に入らないよう厳重に管理し、皮膚や衣服にも付着したままで置かないように厳重管理することが必要である。
環境問題 [編集]
日本国内の化学工場跡地には、高濃度の六価クロムが土壌内に大量に残留している場所が多数存在する。六価クロムの主な用途である印刷やめっき関連の産業において現在も使用されているため、これらに関連する施設の敷地で六価クロム汚染がたびたび問題となっている。
低濃度・少量の六価クロムが土中に放置された場合、土中の至る所に膨大な数が生息する微生物と接触することで、短時間で安全な三価クロムに変わると考えられており、問題はないとされる。しかし、高濃度の六価クロムが地表付近に大量に放置された場合は、周辺の微生物を全滅させてなお残留するため、その後の微生物との接触が進行しなくなる。このため六価クロムのまま長期間残留し、粉末になって飛散したり、地下水を汚染したりして公害を引き起こす要因になる。
また、日本ではかつて「地盤強化剤」という名目で、クロム鉱滓(スラグ)を埋め立てることが奨励され、沖積低地で軟弱地盤である東京の下町地域(江東区など)に、広域に渡って埋め立てられていた。クロム鉱滓による土壌汚染・地下水汚染は現在でも発生している。有名な例に、1973年(昭和48年)に地下鉄工事における調査で、都営地下鉄新宿線大島車両検修場用地から大量の六価クロムの鉱滓が発見され、土壌汚染問題として全国に知られることとなった一件がある。東京都交通局が買収したその用地は、元は日本化学工業の工場跡地であった。しかし、他の有害物質と比べて処理が容易であったため、処理後の現在では同地から六価クロムは検出されなくなった。
火葬場から出る火葬灰から六価クロムが検出されたこともあり、最大で国の基準の420倍が検出されている。人体を構成する鉄、銅、クロムなどの金属とカルシウムの酸化物が火葬灰として残留するが、人体中に約2ミリグラムほど存在するクロムが高熱で六価クロムに変化したために高濃度で検出されたと考えられている。また、大半の火葬場では、1000度超の温度に耐え、比較的安価なステンレス製のひつぎ台が、少なくとも20年から30年間使われていて、繰り返し高温にさらされているうちに、ステンレス内の一部のクロムが六価クロムに変化したという説もある。
アメリカ合衆国では、工場の敷地内に高濃度の六価クロム溶液を10年以上の長期に渡って大量に垂れ流していた企業があり、地域の地下水を汚染し続けた。周辺住民に癌などの健康被害が多発したことから事件として発覚し、会社は多額の賠償金を支払って和解している。これは巨額の公害賠償金支払いの最初のケースになった。大きな関心を集めた同事件は、後にジュリア・ロバーツ主演の『エリン・ブロコビッチ』として映画化されている。
インドのスキンダでは、クロム鉱石の露天掘りが行われており、精錬から排出される六価クロムにより飲料水の6割が汚染されている。汚染により被害を受ける人口は潜在的に260万人にのぼると見られている[1]
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1310357913から
手元にあった資料によりますと、
研磨剤,緑色顔料,陶磁器上薬,窯業絵具,耐火レンガ,触媒,クロムメッキ,クロメート処理,ジンククロメート酸化剤,有機合成,マッチ,花火,医薬品原料,着火剤,クロムなめし,黄鉛,防腐剤,グラビア印刷,写真製版,防水剤
で使用されている(されていた)そうです。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1220705397から
顔料について質問です。
絵の具など顔料の中に有毒といわれる六価クロムが含まれていると知って、驚いています。
子どもが絵の具やクレヨンなど普通に使うのは、どこまで危険なのでしょうか?
また黄色の顔料に六価クロムが含まれるものが多いそうですが、例えば黄色に塗られた商品に触れたりしたら、どこまで危険なのでしょうか?
食べなければ大丈夫なのでしょうか?
六価クロムは一部の顔料にしか使われていないようで、本気で注意しなければいけない絵の具は、大人しか扱えないような油彩や粉末顔料に限定されています。また、それら危険な顔料は高価なので子供が使うとは思えません。大人が使う専門的な画材を使わなければいいだけです。
子供用には似た色を出せる安全な顔料に変えられているので、安全対策がとられる前の商品でさえなければ問題ありません。
ただ、中学生が使うポスターカラーの黒は銅を含みますので、手洗いをしっかりするなど注意すべきです。
当たり前程度の対策でも十分なように、法律で規制されていますので心配要りませんよ。
http://www.kato-metals.co.jp/eco/files/kankyou_news12.pdfから
クロム及びクロム化合物
クロムは銀白色の光沢のある金属です。さびにくい特性を利用して、特殊鋼(耐熱性やさびにくさなどの
特性を加えた鋼)などに利用されたり、メッキに使われています。
鉄に12%以上のクロムを含む合金をステンレスといいます。クロムを含むことによってステンレスの表面には
硬い酸化皮膜がつくられ、その表面に傷がついても、表面に出てきたクロムが周囲の酸素と結びついて再び
皮膜をつくり、さびを防ぐ働きをします。ステンレスに含まれているクロムは三価クロムです。
クロムには多くの種類の化合物があります。クロムのイオンの価数が三価のものを三価クロム化合物、
クロムの酸化状態がより進んだ六価のものを六価クロム化合物といいますが、それぞれの性質や用途などが
異なり、環境中での動きや毒性も異なります。三価クロム化合物には多くの種類がありますが、主なものは
酸化クロム(Ⅲ)や硝酸クロム(Ⅲ)です。
酸化クロム(Ⅲ)は常温で暗緑色の結晶で、水には溶けません。硬度が高いことから研磨材として使われたり、
セメント、ゴム、屋根材、陶磁器などの耐熱性や耐久性が求められる場合の緑色顔料にも含まれています。又、
以前は自動車ボディなどのメッキ処理に六価クロム化合物が使われてきましたが、その発がん性などが問題視
されてからは、代替処理剤として三価クロム化合物が使われるようになっています。
硝酸クロム(Ⅲ)は紫色の結晶で、染色用薬品として使われたり、六価クロム化合物によるメッキの代替処理剤
として使われています。
六価クロム化合物は水に溶けやすい性質をもち、体内に蓄積されると、発がん性が指摘されています。
六価クロムフリー鋼板に替えると表面の摩擦が減り、滑りやすくなります。その結果、振動などでねじが緩みやすく
なる為、締め付けのトルクを強める必要があります。
鉄鋼製品には、亜鉛メッキの上にクロメート処理をして耐食性を向上させています。鉄鋼製品、ボルト、ナット、
アルミ製品まで広く使用されています。亜鉛メッキは単独で使用されることはほとんどなく、クロメート処理をします。
クロメート処理は六価クロムを主成分とする皮膜を金属表面上に形成する技術である。クロメート処理をすること
により、耐食性を付与しています。
当面は三価クロム化することによってRoHS対応していますが、将来はクロム使用全廃を視野に入れて検討
されています。
クロムの六価化合物には多くの種類があります。それぞれ顔料、染料や塗料に使われるほか、メッキや
金属表面処理、酸化剤などに使われています。
代表的な六価クロム化合物の種類と用途
六価クロムを使うメッキは、防錆効果が高く、表面の光沢性にも優れていることから、金属部品やボルト・ナット類の
防錆コーティングに利用されてきましたが、我が国の自動車業界は、2008年1月以降、その使用を廃止するために
自主的な取組みを進めています。
着色料
水に溶ける。
ZnCrO4
クロム酸カルシウム
CaCrO4
・染料などの原料、酸化剤・触媒、金属表
面処理、皮なめし、防腐剤、分析用試薬
錆止め塗料の原料
水にわずかに溶ける。
常温で淡赤黄色の結晶。
クロム酸亜鉛常温で黄色の結晶。
塗料や絵の具の原料
ほとんど全てのクロム化合物の原料、顔料
用途
顔料の原料、窯業原料、研磨剤、酸化剤
メッキや金属表面処理
黄色顔料
顔料の原料、染色用材、酸化剤・触媒、
常温で黄色または赤黄色の粉末。
水には殆ど溶けない。
常温で橙黄色の結晶。
水によく溶ける。マッチ・花火・医薬品などの原料、着火剤
(別名:重クロム酸ナトリウム)
Na2℃rO4
性状
常温で暗赤色の結晶。
水によく溶ける。
紅鉛鉱として天然に存在する。
常温で淡黄色の結晶。
水に溶けにくい。
常温で橙黄色の結晶。
水によく溶ける。
K2Cr2O7
クロム酸ストロンチウム
SrCr2O4
二クロム酸ナトリウム
クロム及びクロム化合物
物質名及び組成式
クロム酸(無水)
CrO3
クロム酸鉛
PbCrO4
二クロム酸カリウム
(これは、下から読んだほうがいいです。)
http://blog.goo.ne.jp/meisogama-ita/e/08b559177e46759c7178b6cf03b40f98から
化学物質を、摂取してしまうのは、以下の場合が、考えられます。
① 口から入る場合: 陶芸では、この可能性は、低いです。釉などが、飛び跳ねて、口に入る場合が、
あるかも知れません。
② 肺から入る場合:
作業中のエアロゾル(気体の中に、微粒子が多数、浮かんだ物質で、煙霧質という。)
) 粉塵(ふんじん): 粉砕や、研磨などの、機械的な外力によって、分解された固体粒子の事で
粉末の釉の原料を、水に溶く際、粉塵を、吸い込み易いです。
粘土の削りカスや、乾燥した、絵の具などの他、石綿(アスベスト)等が有ります。
) フューム: 蒸気又は、ガス状の燃焼生成物が、凝縮して生成する固体粒子です。
ハンダ付けで、発生する鉛のフューム(金属蒸気)も、危険性があります。
) ミスト: 液体が蒸発、凝縮したもの、または噴霧により、生成した液体粒子の事です。
釉を噴霧器で、掛ける(ガン吹きの)際や、吹く墨(又は、ブラッシング)の技法を、使用する
際に、ミストが発生します。
) スモーク: 不完全燃焼により、生ずる生成物です。 煙突から出る、黒煙もこれに当ります。
タバコの煙も、スモークです。
保護具として、 防じんマスク等が有ります。
③ 皮膚から入る場合: 直接化学物質に触れ、皮膚に付着し、物質によっては、皮膚から吸収
されます。陶芸では、釉を素手で、かき混ぜる事は、多いはずです、その際に有害物質が、体内に
吸収される、危険性があります。
前置きが長くなりましたが、前回の続きです。
6) 各々の、有害物質について、
③ 銅: 元素は、赤色の粉末ですが、湿った空気中に放置すると、緑青に成ります。
「緑青は毒」と、思われて居ましたが、現在では、無毒とされています。
(昔の銅には化合物として、砒素などが、含まれていた為で、緑青の為では、有りません。)
釉では、還元焼成で、赤い辰砂を呈し、酸化焼成では、青織部の緑となります。
銅の化合物には、酸化銅、塩化銅、無水硫酸第ニ銅(胆礬、たんぱん、黄瀬戸と共に、使われ、
緑色を、呈します。)
毒性: 銅化合物の一般的な毒性は、経口摂取の場合、急性で、嘔吐、肝臓、腎臓の障害、
溶血性貧血、毛細血管の損傷があり、重篤(じゅうとく)の場合、中枢神経系障害を、引き起こし
ます。慢性で、鼻粘膜の萎縮、鼻中隔穿孔(せんこう=穴が開く事)が起きます。
・ 釉薬では、塩化銅、硫酸銅、亜酸化銅を、使う場合も有りますが、これらは、眼、皮膚、鼻
喉に、刺激性を、有します。但し、「発がん性」は、見られません。
④ クロム: 銀色に輝く、クロムメッキなどや、ステンレスにも、使われています。
又、宝石のルビーの赤い色は、酸化アルミニウムに、少量のクロムが、混じった物です。
釉としては、酸化クロムが、緑色を出したり、クロム酸鉛が、水に溶けない、黄色の顔料に成ります。
・ クロムには、無害な三価、有害な四価、六価の3種類有ります。尚、酸化クロムは、三価です。
特に六価クロムが、毒性が強く、肺がん、胃がん、大腸がんなどの、発がん性も有ります。
又、皮膚炎なども、引き起こします。
・ 重クロム酸ソーダ(ナトリウム)は、クロム酸系の、顔料材料に成り、染料、染色として、
使われます。
この物質の、急性影響として、皮膚、粘膜への刺激、アレルギー皮膚炎、場合に拠っては、
湿疹、潰瘍が生じ、目に触れると、結膜炎に成ります。
重クロム酸ソーダの粉塵、ミストを吸入し続けると、鼻の粘膜の充血、化膿性鼻炎や、呼吸器に
関しては、肺炎を引き起こします。
以下次回に続きます。
銅、クロムの有害性
人体への影響 [編集]
NFPA 704 |
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金属ベリリウムに対するファイア・ダイアモンド表示[120] |
ベリリウムは人体への曝露によってベリリウム肺症もしくは慢性ベリリウム症として知られる深刻な慢性肺疾患を引き起こすように極めて毒性の高い物質であり[121]、水棲生物に対しても非常に強い毒性を示す[120]。また、可溶性塩の吸入によって化学性肺炎である急性ベリリウム症を引き起こし、皮膚との接触によって炎症が引き起こされる[121]。
慢性ベリリウム症は数週間から20年以上と非常に個人差の大きい潜伏期間があり、その死亡率は37 %で、妊婦においては更に死亡率が高くなる[121]。慢性ベリリウム症は基本的には自己免疫疾患であり、感受性を有する人は5 %以下であると見られている[122]。慢性ベリリウム症におけるベリリウムの毒性の機序は、ベリリウムが酵素に影響を与えることで代謝や細胞複製が阻害されることによる[121]。慢性ベリリウム中毒は多くの点でサルコイドーシスに類似しており、鑑別診断においてはこれらを見分けることが重要とされる[123]。
急性ベリリウム症は基本的には化学性肺炎であり、慢性ベリリウム症とは異なる機序によるものである。その定義は「継続期間1年未満のベリリウム由来の肺疾患」[124]とされており、ベリリウムへの曝露量と症状の重さには直接的な因果関係が見られる。ベリリウム濃度が1000 μg/m3以上になると発症し、100 μg/m3未満では発症しないことが明らかとなっている[125]。
急性ベリリウム症は最高曝露量の設定による作業環境の改善に伴い減少しているが、慢性ベリリウム症はベリリウムを扱う産業において多く発生しており[121][126]、ベリリウムの許容濃度を順守している工場においても慢性ベリリウム疾患の発症した例が確認されている[127]。また、このような産業に関わらない人々にも化石燃料の燃焼に起因する極微量の曝露がみられる[128]。
ベリリウムおよびベリリウム化合物は、WHO の下部機関 IARC より発癌性がある (Type1) と勧告されている[129]。カリフォルニア州環境保健有害性評価局が算出した公衆健康目標のガイドライン値は1 μg/L、有害物質疾病登録局が算出した最小リスク濃度は0.002 mg/kg/day(体重1キロ当たり、1日に0.002mg)とされている[128]。ベリリウムは生体内で代謝されないため、一度体内に取り込まれたベリリウムは排出されにくく[128]、主に骨に蓄積されて尿により排出される[130]。
http://dougi.or.jp/beryllium.htmから
9.1 ヒトの健康リスク
ベリリウム工業における制御方法が適切であれば、今日の一般集団の暴露は、化石燃料の燃焼による低レベルの大気中ベリリウムに限られている。ベリリム含有量が異常に高い石炭の燃焼という例外的な場合には、健康問題が生じよう。
歯科補綴材料へのベリリウムの使用は、ベリリウムの高い感作性のため再検討すべきである。
※1.日本国内で歯科用金属にベリリウムの使用は既に禁止されています。
【社団法人北海道歯科技工士会】
鼻咽頭炎・気管支炎・劇症の化学物質誘発性の肺炎を生じさせる急性ベリリウム症の症例は大幅に減少し、今日では制御システムの事故の影響の場合にのみ発生している。慢性ベリリウム症は数週間から20年以上の潜伏期を有し、長期間にわたり、症状は進行性で重篤になることから、急性症とは異なっている。それは主として肺に影響を及ぼし、典型的な特徴は、運動による呼吸困難・咳・胸痛・体重減少・全身衰弱を伴う肉芽腫炎症である。その他の臓器への影響は、全身的影響よりむしろ二次的なものであろう。潜伏期間の大きな差異および量-反応関係を欠く点は、2μg/m3程度の濃度の暴露を経験した感作された個体においては、今日でも発生するであろう。
研究計画および実験手技の一部の欠陥にもかかわらず、各種動物におけるベリリウムの発がん作用は確認されている。
いくつかの疫学研究では、ベリリウムの職業的暴露による肺がんリスク増加の証拠を示している。これらの結果に対しては、多くの批判があるが、入手し得るデータは、暴露作業者において認められる肺がんの増加に対しては、ベリリウムは最も可能性が高いとの結論に導いている。