前回(ココ)は脱線したまま終わってしまったので、直ぐに本題に入ろう。今回は、アレルギーには幾つかの型があるという話である(本来は初回の一般論で取り扱うべき内容と思いつつ眠たいので省略してしまったが、次回の記事の前に書かざるを得なくなり必要に迫られ仕方なく・・・)。
免疫による異物の処理方法は、大きく二つに分類できる。液性免疫(あるいは体液性免疫)と細胞性免疫である。どちらの方法にも処理の得意分野があるので(この辺りを少し解説した過去記事は 交感神経の緊張と自己免疫疾患(膠原病) 2012/6/3)、異物の処理が滞る場合、液性免疫系が滞ることもあれば、細胞性免疫系が滞ることもあるだろう。
アレルギーとは体内で異物の処理に支障を来たした際に起こる免疫応答と理解する立場からすると、異物の処理方法の種類と同じ数のアレルギーの種類がありそうだということとなろう。さすがに異物の処理方法を細かに分類すると訳が分からなくなるので、通常はアレルギーの方だけを4つに分類することが多い(I型、II型、III型、IV型)。
このシリーズのこれまでの記事でアレルギーと言えば、4つの内で最も馴染み深いと思われるI型アレルギー(即時型アレルギー、アナフィラキシー型アレルギー。いわゆる狭義のアレルギー)であることを暗黙の前提にしていたことが多かったのである。
アレルギーの分類の解説について少し分かり易いものは、例えばサイト「管理薬剤師.com」の次の記事を参照してほしい(長いので引用省略)。
アレルギーの種類(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ型アレルギー)
http://kanri.nkdesk.com/hifuka/yougo27.php
とはいえ少し気が引けるので、超短くまとめておこう。I型アレルギーというのは、液性免疫が関与するアレルギーのうち、特にIgE抗体がからむものを指している。このアレルギーは、早ければ即座に遅くとも数時間以内に症状が出るので即時型アレルギーとも、あるいはアナフィラキシー症状をもたらすのでアナフィラキシー型アレルギーとも呼ばれている。代表的なものとしては、蕁麻疹を考えてもらえばよいだろう。gooヘルスケアから、
じんま疹<アレルギー疾患>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S11200.html
液性免疫が関与するアレルギーには、I型のほかに、II型アレルギー(細胞障害型アレルギー)及びIII型アレルギー(免疫複合体型アレルギー)がある。(II型はこのシリーズでは余り扱わないだろうし、III型は多分別の機会にということで、この辺で・・・)
他方、細胞性免疫が関与するアレルギーもある。これはIV型アレルギーと呼ばれているが、即時型とは違い症状が出現するのに1日とか2日の時間を要するため、遅延型アレルギーと呼ばれている。代表的なものは、アレルギー性接触皮膚炎(あるいは接触性皮膚炎)であろう。gooヘルスケアから、
アレルギー性接触皮膚炎
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10S11300.html
こんなに短くしてしまうと理解不能かもしれないので、「広義のアレルギー」の解説について、他力本願でかなりマニアックにいくと、厚労省のサイト内の「平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト」(目次はhttp://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/jouhou01.html)から、
第1章 アレルギー総論
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-17.pdf (pdfファイル)
1. アレルギーの定義
・・・現在のアレルギー・免疫学の進歩から照らしてみると、次のように定義できるであろう。すなわち、「(広義の)アレルギーとは免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害である」。そして“(広義の)アレルギー”は、血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギー(後述のGellとCoombsのⅠ、Ⅱ、Ⅲ型アレルギー)と感作リンパ球による細胞性免疫反応に基づくアレルギー(GellとCoombsのⅣ型アレルギー)に大別される。“アトピー”は厳密には液性免疫反応に基づくアレルギーのうちのⅠ型アレルギーすなわちIgE関与のアレルギーを指すが、“(狭義の)アレルギー”と同義語として使用する場合もある。“アナフィラキシー”は上記Ⅰ型アレルギー反応に属し、全身の各標的器官でアレルギー反応を起こして全身症状の発現をみるものである。 [5頁]
3. アレルギーの分類(表2)
アレルギー反応の分類法としては、免疫反応による組織傷害の機序から分類したGellとCoombsの分類が使われることが多い。本分類はその反応に関与する抗体や細胞の違いにより分類されるが、現象的には皮膚反応出現にかかる時間と反応の性状により分けられる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型は血清抗体が関与する体液性免疫(humoral immunity)、Ⅳ型は感作リンバ球による細胞性免疫(cellular immunity)と大別される。 [7頁]
4つのタイプのうち、このブログ記事に関係しそうなI型、III型、IV型をみておくと、少し専門用語が多すぎるかもしれないが、
[Ⅰ型アレルギー]
Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギー、アナフィラキシー型とも呼ばれ、皮膚反応では15分から30分で最大に達する発赤・膨疹を特徴とする即時型皮膚反応を示す。関与する免疫グロプリンはIgEであるが、一部IgG特にIgG4(short term skin sensitizing IgG: STS-IgG)も関与するといわれる。血中や組織中のマスト細胞および好塩基球上の高親和性IgEレセブター(FcεRI)と結合したIgE抗体にアレルゲンが結合することにより、マスト細胞、好塩基球からヒスタミンをはじめとする種々化学伝達物質が遊離して各組織において平滑筋収縮、血管透過性亢進、腺分泌亢進などをきたしアレルギー反応が出現する。Ⅰ型アレルギー反応による代表的疾患にはアトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなどがある。
[中略]
[Ⅲ型アレルギー]
Ⅲ型アレルギーは、免疫複合体型またはArthus型とも呼ばれ、可溶性抗原とIgGまたはIgM抗体との抗原抗体結合物いわゆる免疫複合体(immunecomplex)による組織傷害である。皮膚反応では皮内注射後3~8時問で最大となる紅斑・浮腫を特徴とする炎症反応を示す。生体内でつくられた免疫複合体は、補体を活性化することにより、C3aやC5aを産生してアナフィラトキシン(anaphylatoxin)としてマスト細胞や好塩基球からのvasoactive amine遊離を起こし、血管透過性亢進、平滑筋収縮などのⅠ型アレルギー様の反応を惹起する。C3a、C5aは、また好中球遊走因子(chemotactic factor)として好中球を組織局所に集め、その好中球が免疫複合体を貪食することにより種々蛋白分解酵素の分泌、活性酸素の放出をきたし、組織傷害性の炎症を起こす。Ⅲ型による疾患としては血清病、SLE、RAをはじめとする諸種自己免疫疾患、各種糸球体腎炎、過敏性肺炎(Ⅲ+Ⅳ?)さらにアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(Ⅰ+Ⅲ+Ⅳ?)などがあげられる。
[Ⅳ型アレルギー]
Ⅳ型アレルギーは遅延型アレルギー、細胞性免疫、ツベルクリン型とも呼ばれている。皮膚反応では、抗原皮内注射24~72時間後に紅斑・硬結を特徴とする炎症反心を示し、反応が強い場合は潰瘍を形成することがある。本反応は感作T細胞と抗原との反応により、感作T細胞からサイトカイン(cytokines)が放出され細胞傷害を起こす。また、K細胞(killer Tまたはcytotoxic Tcell)によるウイルス感染細胞、腫瘍細胞、移植組織片に対する直接傷害も含まれる。Ⅳ型には液性抗体や補体は関与しない。Ⅳ型による疾患としては、アレルギー性接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(?)、過敏性肺炎(Ⅲ+Ⅳ?)などがあげられ、さらに結核性空洞、癩やサルコイドーシスの類上皮細胞性肉芽腫病変、天然痘・麻疹の発疹などもⅣ型反応と考えられている。 [7-8頁]
このアレルギーの分類(いわゆるクームス分類)は、現状厳密にできるわけではない。その点は、上記の解説に所々「?」と表記されていることからも読み取れるだろう。例えば、アトピー性皮膚炎は、I型とIV型の混在したものと理解されていることが多いと思われる。
別の例をみておけば、花粉症は、一般にはI型アレルギーと解されているとみられるが、その詳細にみれば即時反応部分と遅延反応部分とがあり、細かく言えば、僅かにIV型も混在しているとみるのが妥当であろう。この点については、三好耳鼻咽喉科クリニック(宮城県所在)のサイトから、
3. スギ花粉症はどうしておこるのか?
http://www.3443.or.jp/book/book_sugikafun/sg0603.htm (図1の「即時相反応」・「遅延相反応」の流れを参照)
さて、アレルギーの概念を広げてしまったので、振り出しに戻る必要があるだろう。IV型アレルギーは、何故悪化傾向にあるのだろうか(上述したようにIII型は別途、II型はパスということで・・・)。
アレルギーとは体内で異物の処理に支障を来たした際に起こる免疫応答と理解する立場からすると、
●の影響 →免疫力の低下 →異物の処理に支障 →意図的な免疫バランスの崩れ →不快な症状
という流れがあると推測され、悪化傾向だろうと考えられる。
この辺りを生物学や分子生物学の知識と結び付けて説明したいところだが、ちょっと難解で歯が立たないので、宿題ということで・・・。この点が難解な理由は、液性免疫が関与するアレルギーが3つに分類されたと同様、細胞性免疫が関与するアレルギー(IV型アレルギー)も更に細かく分類でき、考えていくと訳がわからなくなってしまうからである。例えば、ウィキペディア日本語版から、
アレルギー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
IV型アレルギー
[中略]
近年、免疫学の進歩により細胞性免疫によるIV型アレルギーも責任免疫細胞によって細分類されることがある。しかし細分類してもマネジメントは変化しない。
IVa型
Th1細胞とマクロファージによる反応でありツベルクリン反応、接触性皮膚炎がこれに含まれる。
IVb型
Th2細胞と好酸球による反応であり気管支喘息、アレルギー性鼻炎、蛋白誘発性腸炎が含まれる。
IVc型
CD8+T細胞による反応であり接触性皮膚炎が含まれる。
IVd型
T細胞と好中球による反応でありベーチェット病などが含まれる。
最後に、尻すぼみで終わるのもアレだし、IV型アレルギーにも触れられることになったので、最後に、少し前に報道されていた接触皮膚炎(接触性皮膚炎)を取り上げておこう。今年は猛暑だったので例年より増えただろうけど、理由は多分それだけではないのではないか。MSN産経ニュースから、
汗による接触性皮膚炎 通気の良い衣服と適度な保湿
2013.7.2
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130702/bdy13070207250003-n1.htm (全3頁)
吉木[伸子・よしき皮膚科クリニック銀座院長]によると、あせもは、スポーツなどで急激に大量の汗をかくことで汗腺(汗が通る管)が詰まり、皮膚の下に汗がたまって発症する。大人に比べて体温が高く発汗しやすい子供に多く見られ、できやすいのは首や肘の内側、膝の裏側などだ。
一方、「汗による接触性皮膚炎」は、服などで密閉された体の一部分に汗がたまって現れる「かぶれ」のこと。男性の場合はワイシャツの襟元やズボンのベルト部分などに、女性の場合は下着のゴムなど締め付けられている部分にそれぞれできやすい。
症状は、皮膚の赤み、ざらつき、ポツポツとした湿疹など。激しいかゆみのため、仕事などに集中できない人もいる。女性の場合、蒸れやすいデリケートエリア(陰部)に接触性皮膚炎を起こしているケースもあるという。
吉木院長は「特に40代以降になると、皮膚が薄く弱くなり、汗に含まれる塩分などの成分が刺激となり、『かゆみ』や『かぶれ』の症状が出やすくなる傾向があるようです」と指摘する。
仮にアレルギーの悪化傾向が生じ難い体質の人がいたとしても、●の影響は早期老化を招くため「皮膚が薄く弱くなり」易いだろうし、「汗に含まれる塩分」には3.11前とは違った成分が含まれている可能性があるだろう。
おまけで噂話だと、この辺りが汗による接触性皮膚炎の悪化が疑われる例だろうか。某掲示板の緊急自然災害板から、
442 名前:地震雷火事名無し(大阪府) 投稿日:2013/09/02(月) 16:09:18.83 ID:rMxYPsey0
胸の谷間や下乳のあせもなのか湿疹なのか
痒くて仕方ない
掻きこわして傷だらけ
もっと汗をかいていたはずの学生時代でも、
ていうか去年まで、こんなこと一切無かったのになあ
汗から悪いもんが出てるんだろうか
頭皮も湿疹酷くて定期的に皮膚科にかかってるんだが、
一緒に診てもらうのも場所が場所だけに渋ってしまうわ
同じ薬でいいかな…
443 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区) 投稿日:2013/09/02(月) 16:20:50.65 ID:euI1tRML0
汗かいたら早めに洗い流すかふき取るかして
保湿ローションでも塗って対策するしかないね
ステロイドはあんまおすすめしないよ
免疫力低下して
汗アレルギーになったのかもね
455 名前:地震雷火事名無し(茸) 投稿日:2013/09/02(月) 17:47:17.64 ID:Yj4SU3hk0
>>443
汗アレルギーとかなんじゃそら!
汗かくことが悪みたいな表現は逝く無いと思うお
456 名前:地震雷火事名無し(新疆ウイグル自治区) 投稿日:2013/09/02(月) 18:09:38.01 ID:euI1tRML0
>>455
いや、そういう診断をくだされたんですよ皮膚科でね
汗と紫外線アレルギーだって
毎年夏でも外でサッカーやりまくってたのに
昨年の夏一気に全身に湿疹出たからね
今年は注意してたから、なりそうな気配はあったが出ていない
まぁきっかけは間違いなく内部被曝の免疫低下だと思うがね
458 名前:地震雷火事名無し(dion軍) 投稿日:2013/09/03(火) 02:06:07.30 ID:LH5LtmOS0
>>455
被曝でアレルギーが悪化したりするらしいし、
アトピー系の人は、自分の汗にアレルギーを起こすこともありえるらしく、また、
汗に溶け出た金属にアレルギーを起こしているのかもしれない。
>>442の人は、ブラにワイヤーでも入っているなら考えた方がいいだろうし、
アトピー系なら、脂質とり過ぎだろうからその取り方を考えた方がよいのかもしれない。
>>456
「紫外線アレルギー」があるなら「ガンマ線アレルギー」もありそうだが、どう区別しているのだろう。
459 名前:地震雷火事名無し(東日本) 投稿日:2013/09/03(火) 03:27:54.30 ID:QrO6dOsR0
>>455
汗は、身体のいらない物質を出すおしっこのような作用がある。
そういうものが肌に残れば、痒くもなる。
逆に、そこで洗い流してしまえば、毒物がぬけてすっきり。
ところが最近は、水道水が慢性的に汚染されている。
水道水で洗うと、悪くなる。
できれば、ペットボトルの天然水を。