ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

肝障害はどこに隠れたのか? (2)

2013年07月20日 |  症例(その他)

 引き続き、さわりを短く。

 前回(ココ)は、チェルノブイリでの肝障害の例としてバンダジェフスキー博士の話を紹介したけど、肝機能について3.11前後でどうなっていたのかをみておこう。

 まずは福島。以前の記事(ココ)でも触れたように、2011年度に実施された避難区域等の住民の健康診査において、肝機能異常の割合が従来より高かったことが判明している。その結論部分を福島県のサイトの資料から(「県民健康管理調査」検討委員会第8回会合(2012年9月11日開催)の当日配布資料
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240911kentouiinkaisiryou.pdf。pdfファイル)、

平成23年度 県民健康管理調査「健康診査」結果解析
(過去の特定健康診査・後期高齢者健康診査との比較)

 [中略]

【まとめ】
 男女両者において、肥満(腹囲、BMI)、糖代謝異常(空腹時血糖、HbA1c、尿糖)、脂質代謝異常(LDL-C、中性脂肪、HDL-C)、肝機能異常(AST、ALT、γ-GT)の割合が、震災前の平成20~22年度と比較して、震災後の平成23年度においては高い数値を示しており、その傾向は特に男性において顕著であった。
 これらの要因を推定すると、余儀なくされた避難生活による運動量の減少やアルコール多飲などを含む食習慣の変化、精神的ストレスや睡眠障害に伴う生活環境全般の変化などの可能性は否定できない。

 しかし、今回比較した平成20~22年度と平成23年度の受診者では、元々の母集団の相違により、対象地域や受診者年齢層が異なっていることから、元々の母集団の疾患頻度の相違の問題が存在する。

 さらに、平成23 年度は震災が起きた直後の年度であり病気が心配な人がより多く受診したと考えられることや避難生活に伴う生活不活発病の影響など、多くの修飾要因が存在するため、現時点では平成20~22年度と厳密な意味での比較はできない。 (以上37頁から。強調は引用者)


 次に全国。いろいろ調べると、日本人間ドック学会というところで毎年「人間ドックの現況」という資料を出していて、この中にも肝機能にかかるデータが入っている(同資料は、http://www.ningen-dock.jp/concerned/press/index.html)。直近だと約3百万人が母集団なので、信頼性は低くはないだろう。幾つか抜き出しておこう。

 図表1 生活習慣病関連6項目の異常頻度の推移 (1984-2011)
出典)2011年「人間ドックの現況」の23頁。
注)作図のデータは、直近以外は約5年間隔。



 肝機能異常の割合については、2000年辺りから25%前後(4人に1人程度)で安定していたが、2011年において異常が急増したことがわかるだろう(33%で3人に1人程度へ)。2000年までについては、何かの影響が15年ほど続いていたというこのなのだろうか。これらのデータについては、

 図表2 生活習慣病関連項目の異常頻度の推移(データ)
出典)2011年「人間ドックの現況」の22頁(一部省略)。
注)「肝機能異常」の数値の推移は、25.2%(2004)、26.6%(2005)、26.2%(2006)、25.7%(2007)、
26.2%(2008)、25.8%(2009)、27.0%(2010)、33.3%(2011年。これらは前掲資料の各年版から)。



 ついでに地域別の詳細(ブレイクダウン)がみられるので貼っておこう(2010年は見にくいか)。

 図表3 生活習慣病関連項目「肝機能異常」の地域差(2010年と2011年の比較)
出典)2010年及び2011年「人間ドックの現況」(一部改編)。



 東北が10%弱の上昇し、関東から近畿にかけても5%以上の上昇がみられる。


 さて、これらは一体なんなのだろう。


(つづく)


コメント    この記事についてブログを書く
« 肝障害はどこに隠れたのか?... | トップ | 肝障害はどこに隠れたのか?... »

 症例(その他)」カテゴリの最新記事