ヒト遺伝子想定的生活様式実践法

2023年8月にテーマ・タイトルを変更(旧は外国語関連)
2015年4月にテーマ・タイトルを変更(旧は健康関連)

「コルチゾール過剰症候群」 (7-U) 水痘・帯状疱疹ウイルス感染症 (7)

2012年12月04日 |  症例(その他)

 短く繋いでいこう。

(7) 易感染性

(U) 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症(ヒト・ヘルペスウイルス3型(HHV-3)感染症) (つづき)

 特殊な帯状疱疹を眺めている途中の筈なので、その続き。

(f) 汎発性帯状疱疹

 少しおさらいをしておこう。帯状疱疹と水痘とは、それぞれ同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス。Varicella-Zoster virus、VZV)によるウイルス性の疱疹(VZ疱疹)が出現した状態をとらえた病名となっている。VZ疱疹は、通常次のような経過をたどる。

虫刺されのような浮腫性紅斑 →水疱 →破れてびらんや潰瘍 →かさぶた


 VZVの初感染時は(水痘の場合)、同ウイルスは血液を介して体内に広がり、皮膚に病変(VZ疱疹)を形成することとなる(平均で200~300個程)。国立感染症研究所のサイトから、

水痘とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/varicella/392-encyclopedia/418-varicella-intro.html

病原体
・・・ウイルスは通常気道粘膜から侵入し、鼻咽頭の侵入部位と所属リンパ節にて増殖した後、感染後4~6日で一次ウイルス血症を起こす。これによりウイルスは他の器官、肝、脾などに散布され、そこで増殖した後二次ウイルス血症を起こし、皮膚に水疱を形成する。・・・

 なお、ついでにウイルス血症については、ウィキペディア日本語版から、

ウイルス血症
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E8%A1%80%E7%97%87


 VZVの回帰発症(再発)時は(帯状疱疹の場合)、同ウイルスは知覚神経の走行に沿って広がり、皮膚に病変(VZ疱疹)を形成することとなる。つまり、知覚神経節に潜伏感染していたVZVが、宿主の免疫力が低下したときに活性化し知覚神経に炎症を起こしつつ、ある特定の知覚神経の走行に沿って広がり皮膚に到達し、その神経支配領域に(通常は片側のみで帯状に)病変を形成するものであった。

 帯状疱疹に罹患すると、VZ疱疹が出た特定の神経支配領域以外の部分に、血行性で広がったVZ疱疹が幾つかが出現することがみられる。これらのVZ疱疹は「散布疹」と呼ばれ(数が多くなれば「汎発疹」とも呼ばれる。24個以上の場合)、帯状疱疹の重症度を評価する目安となっているようである。

 汎発性帯状疱疹とは、いわば帯状疱疹と水痘が一緒になったような状態をとらえたものである。慶應義塾大学病院のサイトから、

帯状疱疹 たいじょうほうしん
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000331.html

(4)汎発性帯状疱疹
 通常の帯状疱疹とともに、全身に水疱がでます。免疫不全状態にある高齢者の方や、免疫抑制剤を使用している場合、悪性腫瘍を持つ症例などに起こります。皮膚のウィルスが血管内皮細胞内で増殖し、ウィルス血症を起こしたものです。汎発疹の見られる方の約10%は肺や肝臓、脳にも波及するといわれています。水ぼうそうと同じぐらい感染力があるため、入院の時は個室となります。


(g) 「孤発性VZ疱疹」

 前の項で長々と汎発性帯状疱疹を説明したのは、●の影響下においては、どうも別のタイプのVZ疱疹(「孤発性VZ疱疹」)がみられると考えられるからだ。とりあえず、そのような事例に該当すると思われる疑わしい例は、みんなのカルテ保管庫から、

525 赤いルビー色の発疹★横浜
http://sos311karte.blogspot.jp/2012/08/525.html

 この場合、蚊に刺された様な発疹から「赤いルビー色の発疹」と変化したようだが、これは、どうも●の影響による免疫力の低下ために出現するのではないかと推測される(仮説の一種)。


 通常、水痘に罹患すると、特異的免疫ができるので再度感染することは余りないとされている。これは、免疫系が正常であれば、VZVの野生株にさらされ、あるいはVZVが潜伏部位から増殖してきた場合でも、皮膚に病変を形成する前にVZVに特異的な免疫系が立ち上がって血液中のVZVが排除されるということであろう。国立感染症研究所のサイトの前出の記事から、

水痘とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/sa/varicella/392-encyclopedia/418-varicella-intro.html

臨床症状
・・・初感染からの回復後は終生免疫を得て、その後に野生株に暴露された場合には、臨床症状を起こすことなく抗体価の上昇をみる。


 しかしながら、●の影響による免疫力の低下の場合は、VZVに特異的な免疫系が立ち上がるのが遅れるようで、一旦、虫刺され様の浮腫性の紅斑(VZ疱疹の初期段階)が出現することがあるようだ。紅班の数は、一個あるいは多くても数個とみられる。その後、虫刺され様の紅斑が水疱に変化する前にVZVに特異的な免疫系が立ち上がり抗原抗体反応が起こるため、特有の発疹(赤いルビー色の発疹。個人的には「イチゴ状」の発疹にみえる)に変化するものと考えられる。

 この場合、神経の炎症までには至らない状況のようで、発疹の前後で神経痛は伴わないものとみられる。

 「孤発性VZ疱疹」は、更に免疫力が低下した場合には、水痘(あるいは帯状疱疹)となるであろうから、これらの前駆症状と言えるのかもしれない。


 ちなみに、米国の調査によれば、1割前後の人が水痘に再感染するらしい。横浜市のサイト「横浜市感染症情報センター」から、

水痘(水疱瘡)・帯状疱疹について
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/chicken1.html

どんな病気?
 ・・・
 水痘を二度、発病することは少ないですが、ありえます。1995-1999年のアメリカ合衆国カリフォルニア州のAntelope Valley(1995年の人口は303624人)における水痘の発生動向調査では、年間に発生した水痘患者の内、以前に水痘にかかったらしき者の割合は、4.5%(1995年、132人/2934人)-13.3%(1999年、78人/587人)でした。1回目の水痘の罹患が生後12か月未満などまだ小さい時であったり、1回目の水痘の症状が軽かったり、家族に水痘を二度発病した者がいるような場合には、水痘を二度発病することがより起こりやすいようです(参考文献19)。


コメント    この記事についてブログを書く
« 〔メモ〕 福島の甲状腺検査へ... | トップ | NHK番組「ためしてガッテン」... »

 症例(その他)」カテゴリの最新記事