手抜きで短く、気になっていることをメモしておこう。先ずは、今週みかけた内部被曝に関連する報道をみておこう。読売新聞(関西発)から、
広島被爆者がん死要因「初期放射線30%以下」
2012年10月18日
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121018-OYO1T00394.htm
広島原爆の爆心地から近距離で被爆した人ががんで死亡する確率(死亡リスク)を高める要因のうち、爆発直後に放出された初期放射線の占める割合は30%以下にとどまることが、広島大原爆放射線医科学研究所の大瀧慈(めぐ)教授(応用統計学)らの解析でわかった。従来は初期放射線の影響が大きいとされ、原爆症認定の基準となる被曝(ひばく)線量の計算式でも重視されている。大瀧教授は「計算式の見直しが必要だ」としている。・・・
内部被曝に関連する報道は、以前にも幾つかみかけていた。例えば、今年5月の毎日新聞の記事を、これを引用したブログ「放射能に汚染されたがれきの拡散には断固反対です」の記事から(「毎日新聞 広島原爆 黒い雨の下、がん死リスク1.8倍」 2012/6/8(金) http://blogs.yahoo.co.jp/nogareki/5693800.html。リンクはココ)、
広島原爆:黒い雨の下、がん死リスク1.8倍 放射性降下物の影響か--爆心地北西・広島大解析
毎日新聞 2012年05月29日 大阪朝刊
広島原爆で被爆した人が、がんで死亡するリスクは爆心地から北西方向で高くなることが、大瀧慈(めぐ)・広島大原爆放射線医科学研究所教授らの研究で分かった。これまでは爆発時に放出された放射線の線量を基にしており、爆心地からの距離が遠くなるとリスクが下がるとされてきた。北西方向は、放射性物質を含んだ「黒い雨」が降った地域と重なる。研究グループは「放射性降下物などの影響が示唆された」と分析している。6月3日に長崎市である原子爆弾後障害研究会で発表する。・・・
別の9月の読売新聞の記事だと、これを引用した「ピースメディア」の記事から(「[BM] 原爆 入市被爆者のがん死亡…広島大が統計解析 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)」 2012.09.26 http://peacemedia.jp/hatena-bm/bm-370.html。リンクはココ)、
原爆 入市被爆者のがん死亡…広島大が統計解析
2012年9月12日 読売新聞
原爆投下後の広島市に入り放射線を浴びた入市被爆者のうち、投下3日目までに入市した人は、それ以降に入った人に比べ、がんで死亡する確率(死亡リスク)が、被爆時20歳の人が75歳時点で男性は13%、女性は8%、それぞれ高いことが、広島大原爆放射線医科学研究所などの統計解析でわかった。残留放射線によるがんの死亡リスクが数値で示されるのは初めて。・・・
グループは、同研究所が追跡調査している約24万人の被爆者のうち、1970年時点で生存した入市被爆者4万7144人について、2010年末までの固形がん(白血病を除く)による死亡者数を調べた。その結果、6139人のがん死亡者のうち、投下3日目までが4830人を占めるなど、この日を境に大きく異なっていた。・・・
多分いずれも同じ研究グループの成果物のようで、学会・研究会などの際に少しづつ公表されているのだろう。
さて、内部被曝に関しこのような報告が公表されだしたのは、何故だろうか。個人的には、次の着地点の地盤整備だろう、ととらえている。
現状、広島・長崎被爆者調査に基づく「100mSv以下では影響は確認されていない」というのが国内専門家の間では多数説になっていて、この多数説を基礎にして政府の方針が策定されていると理解している。
しかし、ウェッブ上でいろいろな健康報告を眺めていると、チェルノブイリの被害とほぼ同じような経過をたどっているように見受けられる(もしかするとチェルノブイリより進展が早いのかもしれない)。仮にそうだとすると、少なくとも福島周辺では3~5年後にかなり危機的な状況がおこることとなり、現在の政府の方針は放棄せざるを得なくなるだろう。その際には、新たな政府の方針を支えるために、新たな学説が必要となるのではないだろうか。
このような事情から、現在の多数説を突き崩すための材料をコツコツと蓄積しているのかもしれない。新たな学説のキャッチフレーズが「3.11後に判明した研究成果を盛り込んだ」とでもなれば、誰も責任を問われない可能性があるのだから・・・