つまらんことで時間をとられてしまったので、今回は短く。
(7) 易感染性 (つづき)
(P) 食中毒(死者)
食中毒の取締りは、食品衛生法の所管となっている。「食中毒」とは、同法によれば、食品などに起因して起こった中毒とされているようである。参考までに、同法の目的と食中毒の定義部分の条文をみておくと、
食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html (リンクはココ)
第一条 この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。
[中略]
第五十八条 食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。
○2 保健所長は、前項の届出を受けたときその他食中毒患者等が発生していると認めるときは、速やかに都道府県知事等に報告するとともに、政令で定めるところにより、調査しなければならない。
[以下略]
この「中毒」の趣旨は、胃腸炎を主体とする人の健康被害であると考えられるので、食中毒も感染症の一種であると分類することができるだろう。
死者数のグラフでも書こうかと思っていたら、よい拾い物をしたので、他力本願でいこう。サイト「社会実情データ図録」の次の記事には、1885年から昨年までのデータ(戦時中の一時期を除く)がグラフ化されている。
食中毒による死者数の推移
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1964.html (リンクはココ)
食中毒による死者数の推移をグラフ[リンク先を参照]にした。
厚生労働省は各地の保健所からの食中毒報告を都道府県を通じて毎年食中毒統計として集計している。
[中略]
2009~10年には食中毒による死者がゼロ人と統計開始以来の快挙となった。
2011年には、焼肉酒家えびすが起こした牛肉刺身ユッケ食中毒事件による死者が5名、その他、団子・かしわ餅、及び高齢者施設の食事が原因の食中毒で 2名の高齢者が亡くなったが、この3件、7人の食中毒死亡者の原因は腸管出血性大腸菌O111、O157によるものだった。その他の原因による4名を加えて食中毒の死者数は11名だった。・・・
ゼロ、ゼロと2年連続できて、昨年は11人の死者数であった。顕著な増加とみてよいだろう。
なお、2012年は、少なくとも既に9人に達しているとみられる(うち8名が北海道の白菜浅漬けO157事件)。
この点に関連した報道については、西日本新聞(九州の地方紙)の社説から、
食中毒 死者が増えた理由は何か
2012年8月22日 10:46
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/319896 (リンクはココ)
食中毒の一番の原因は油断だろう。丁寧に水洗いする。火を入れる。すぐ食べる-などすれば問題ない。だが、「これぐらい大丈夫」と高をくくっていると、取り返しのつかない事態も起き得る。
[中略]
実際、食中毒の死亡者は2005年から10年まで6年間ゼロだった。腸管出血性大腸菌の死者は04年からゼロだった。
ところが、11年は計7人、12年も既に7人の死亡者が出た。過去に複数の死者が出たのは1996年8人、98年3人、2002年の9人だった。増えているのはなぜか。ちゃんと調べる必要がある。
細かな数字には少し事実誤認があるようだけど、調査の必要性を訴える最後の結論は支持できると思う。ただし、火を入れても問題がなくならないものが影響している可能性を排除しないという前提の下でだが・・・
ついでに、食中毒について調べるなら、wikiと国立国会図書館のサイト「リサーチナビ」の記事が役に立つかもしれないので、リンクを置いておこう。
食中毒 wiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%9F%E4%B8%AD%E6%AF%92 (リンクはココ)
食中毒について調べる
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400238.php (リンクはココ)