のろのろ書いている罰なのか、今日は気温が上がって調子が狂い、ヘルペス関係(T~X)は飛ばして、ちょっと短い記事を。
(7) 易感染性 (つづき)
せっかくまとめてきたので、定量把握の感染症で昨年増えたものに一つ追加しておこう。
(Y) 日本紅斑熱
全くレーダーに引っかかっていなかったけど、今日の山陽新聞(岡山県の地方紙)の報道から、
日本紅斑熱 感染に注意 昨年全国患者過去最多の178人
2012/10/16
http://iryo.sanyo.oni.co.jp/news_s/d/c2012101610443971 (リンクはココ)
農繁期や秋の行楽シーズンを迎え、野山に生息するマダニが媒介する日本紅斑熱の感染が懸念されている。昨年は全国の患者が岡山県の3人を含む178人で過去最多。今年の県内発生はまだないものの、隣の[広島県]福山市では今月に入って患者2人が確認された。多くは軽症だが、治療が遅れると重症化し、死亡するケースもあるため県が注意を呼び掛けている。
「日本紅斑熱リケッチア」と呼ばれる病原体を持つマダニを介して感染する。刺されると2~8日後に発症。40度近い高熱と頭痛が続き、全身に赤い発疹が出るのが特徴。全国でこれまで7人が亡くなっている。・・・
リケッチアとは、細菌の一種に分類される微生物で、大きさとしては細菌とウイルスとの中間位で、ウイルスと同様、宿主の細胞内でしか増殖できないものの一つである。更に詳しくは、wikiから、
リケッチア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%81%E3%82%A2 (リンクはココ)
日本紅斑熱の報告件数の推移は、国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報 (IDWR)から(http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.html。リンクはココ)、
表 日本紅斑熱の報告件数の推移(2003-2012)
暦 年 | 件 数 |
2003 |
52 |
2004 |
66 |
2005 |
62 |
2006 |
49 |
2007 |
98 |
2008 |
135 |
2009 |
132 |
2010 |
132 |
2011 |
178 |
2012 |
104 |
注) 2012年は、39週、9/30までのデータ(現在139件/52週のペース)。 出典) 国立感染症研究所統計(感染症発生動向調査週報 (IDWR))。 |
上昇傾向を経て、年間130件前後で3年ほど推移していたものの昨年は突出して多かったが、今年はまた例年並みに戻った模様、と理解できるだろう。
一応、日本紅斑熱の解説については、同研究所のサイトから、
日本紅斑熱とは
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/na/jsf/392-encyclopedia/448-jsf-intro.html (リンクはココ)
紅斑熱群リケッチア症は広く世界に分布し、北米大陸にみられるロッキー山紅斑熱、地中海沿岸にみられる地中海紅斑熱、オーストラリアにみられるクインズランドダニチフスなどが代表的なものである。わが国でも1984 年に患者が初めて報告され、日本紅斑熱とよばれるようになった。本症は紅斑熱群リケッチアの一種 Rickettsia japonica を起因病原体とし、野山に入りマダニに刺咬されることにより感染する。
[中略]
臨床症状
頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症する。潜伏期は2~8日と、ツツガムシ病の10~14日に 比べやや短い。また、ツツガムシ病と同様に発熱、発疹(写真2)、および刺し口(写真3)が主要三徴候であり、ほとんどの症例にみられる。
ツツガムシ病との臨床的な鑑別は困難である。・・・
この時期に報道が出たということは、岡山周辺では山菜取りのシーズンで、その注意喚起ということであろうか。刺し口(ダニに噛まれた跡)があって調子が悪いなら、気を付けた方がよいということだろう。