太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

魔除け

2024-06-05 15:13:24 | 日記
コロナウィルスに罹った夫が、ようやく仕事に復帰した。
症状が出てからちょうど10日。夫いわく、症状が出る前から、味覚が変化したり、疲れやすく感じたりしていたそうで、思えばその頃には既に感染していたのかもしれない。

「もう、こりごりだ」

それはこっちのセリフだ。
調子の悪い夫が、イライラして猫たちに当たる。
普段は猫かわいがりしているのに、なんで罪のない猫にそんな口がきけるのか、度量の狭さにうんざりする。
猫たちは、怒るでもなく、怖がるでもなく近寄って行く。
一過性のものだとわかっているかのようで、彼らのほうが1枚上手。
ある夜、一緒に寝ている猫がもそもそ動いたといっていきなり怒り、怒鳴って枕をつかんで、誰もいない義両親側の家にドスドスと行ってしまった。

あー、もうどこにでも行ってくれ。
朝まで戻ってくんなよー。

具合が悪いとはいえ、そういう態度についてひとこと言いたいところだが、そのタイミングで何かを言えば、まさに火に油を注ぐことになり、よけいにめんどくさいことになる。
それで私は、何も聞かなかったふり、見なかったふりをしている。
狸寝入りをしながら、思う。

これは前の結婚時代と同じなんじゃないか?
私は臭い物に蓋をして、怒っていないし傷ついていないふりをして、あの時のように気配を消すようにして背中を向けている。

夜は、ネガティブな妄想をするにはもってこいで、
日本に帰って、両親がいなくなった実家に住もう、仕事はあるだろうか、などと考えたりする。


仕事復帰する朝、再び猫に八つ当たりをしていたので、思わず言った。

「猫はただそこにいるだけでしょ。そういう自分をみて情けないと思わないの?ばっかみたい」

しばらくして、謝ってきた。

「ごめんなさい。あなたがしてくれた、すべてのことに本当に感謝しているよ」

返事をする気分じゃなかったので黙っていたが、これでとりあえず日本に帰って仕事を探さなくてもよくなった。
あんなに感情にまかせて振る舞えるなんて、感情が高ぶるほど引いていく私には羨ましいぐらいだ。
それは夫の脳が、普通の人は分泌できる成分を分泌しにくいからなのだとわかっているけれど、「ほんとにそうなの?ただのそういう性格なんじゃないの?」と思いたくなることもある。

私は過去の失敗を踏まえて、できるだけ夫と向き合ってきたつもり。
夫は短所もたくさんあるけれど、私にはてんでかなわない長所が、それ以上にある。私の欠点も、私のあずかり知らぬところで我慢してもらっているのだろうし、喧嘩しながら仲良くやっていくか。



夫が、ティーツリーを買ってきた。

ti tree

ハワイでは、ティーツリーは魔除けの樹として知られている。
霊の通り道になってしまった家の四隅にティーツリーを置いたら、その家を避けるようになったという話もあり、案外真面目に信じている人が多い。
よく見ると、たいていの家にはティーツリーが植わっている。

これだけ広い庭があって、我が家にはティーツリーが1本もない。

「これで魔除けになるよ」

夫は色の違うティーツリーを4鉢買ってきて、敷地の四隅に置いた。
魔除け、ねえ。
まあ、気持ちはわかる。
なんなら1ダースぐらい買ってきて、ずらーっと並べたらいいかもしれない。





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