その昔、美大の滑り止めに、私立大学の美術科を受けた。
学科と実技と面接と、確か3日間かけて試験が行われた。
その3日の間に仲良くなった人達がいた。
一人は地元東京出身で、あとは私のように地方から受験しに来ていた。
名前は忘れてしまったが、その東京出身の子が
「ママがね」
と、ママを連発する。
当時、私の周囲で母親を「ママ」と呼ぶ人は皆無だった。
家の中ではママと呼んでいる人もいただろうけれど、友人の前では言わない、という感覚があったと思う。
母親が外国人の友人ですら、「おかあさん」と言っていた。
その子と一緒に駅で電車を待っていた。
「ママにお煮しめなんか食べたくないって言ってるのに、ママったら無理に食べさせようとするんだよ」
彼女がママと言うたびに、お尻のあたりがムズムズとする。
「で、パパが酔っ払って遅くに帰ってきたもんだから、ママが怒ってお煮しめの鍋を投げちゃってさー。
食べなくてすんだわけよ」
パパ、が出てきたところで私のムズムズは最高潮に達し、背骨から首の付け根まで痒くなってきた。
私にとって「ママ」とは お人形のリカちゃんのママ である。
本当にいかにもママらしい人や家庭であって初めて「ママ」が板につく。
いかにもなママとは、美しく品があって穏やかで、普段家にいるときでもアクセサリーをつけ、銀座に行くような洋服をきっちりと着ており
夫以外は素顔をみたことがなく、テニスをやったりして優雅に過ごしている。
たぶん、リカちゃんのママはお煮しめを作らないし、パパに鍋を投げたりしない。
そもそも、リカちゃんのパパは酔っ払って帰ってきたりしないだろう。
ママと言って似合うのは、リカちゃんと、漫画「エースを狙え」のお蝶夫人だと思っている。
引用が古くて申し訳ないけれど、
つまり、やたらお金持ち風なのだが、生活感といったものがまったくなく、すべてが謎に包まれている。
(お蝶夫人、という呼び名だって、高校生なのにどうして「夫人」なのかも謎である)
とにかく、試験の3日間、私はお尻をムズムズさせながら、
都会の子は違うなァー、とカルチャーショックを体験したのである。
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学科と実技と面接と、確か3日間かけて試験が行われた。
その3日の間に仲良くなった人達がいた。
一人は地元東京出身で、あとは私のように地方から受験しに来ていた。
名前は忘れてしまったが、その東京出身の子が
「ママがね」
と、ママを連発する。
当時、私の周囲で母親を「ママ」と呼ぶ人は皆無だった。
家の中ではママと呼んでいる人もいただろうけれど、友人の前では言わない、という感覚があったと思う。
母親が外国人の友人ですら、「おかあさん」と言っていた。
その子と一緒に駅で電車を待っていた。
「ママにお煮しめなんか食べたくないって言ってるのに、ママったら無理に食べさせようとするんだよ」
彼女がママと言うたびに、お尻のあたりがムズムズとする。
「で、パパが酔っ払って遅くに帰ってきたもんだから、ママが怒ってお煮しめの鍋を投げちゃってさー。
食べなくてすんだわけよ」
パパ、が出てきたところで私のムズムズは最高潮に達し、背骨から首の付け根まで痒くなってきた。
私にとって「ママ」とは お人形のリカちゃんのママ である。
本当にいかにもママらしい人や家庭であって初めて「ママ」が板につく。
いかにもなママとは、美しく品があって穏やかで、普段家にいるときでもアクセサリーをつけ、銀座に行くような洋服をきっちりと着ており
夫以外は素顔をみたことがなく、テニスをやったりして優雅に過ごしている。
たぶん、リカちゃんのママはお煮しめを作らないし、パパに鍋を投げたりしない。
そもそも、リカちゃんのパパは酔っ払って帰ってきたりしないだろう。
ママと言って似合うのは、リカちゃんと、漫画「エースを狙え」のお蝶夫人だと思っている。
引用が古くて申し訳ないけれど、
つまり、やたらお金持ち風なのだが、生活感といったものがまったくなく、すべてが謎に包まれている。
(お蝶夫人、という呼び名だって、高校生なのにどうして「夫人」なのかも謎である)
とにかく、試験の3日間、私はお尻をムズムズさせながら、
都会の子は違うなァー、とカルチャーショックを体験したのである。
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つーーーーか普通のお母さんもお鍋は投げないと思う(笑)
緊張感のある試験中にそんな出会いもあって面白いね^^
若い方は知らないだろうもんね・・・・
あっっ
べ、べつにひなたんが若くないわけじゃ・・・
いや、若くないっていうか、そうじゃなくて、えーと、人生の年輪?っていうか・・・(以後自粛)