石巻白梅ししの会便り

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2021 新年 「 東日本大震災復興祈念   奈良・中宮寺国宝展 」   

2021年01月25日 | 活動

 

  2021年年始め、奈良中宮寺の「菩薩半跏思唯像」が宮城県美術館にお出ましになっていました。

 「人々の悩み苦しみを癒し、少しでも明るい平和な世の中を願われ、皆さまが、笑顔でお幸せな生活を送られることを心から念じられ、微笑んでいらっしゃいます。」

と、中宮寺門跡 日野西 光尊様は、ご挨拶でおっしゃっております。

 「菩薩半跏思唯像(上写真の像)」は飛鳥時代の最高傑作であり、わが国を代表する仏像として最も名高いものです。

 その微笑みは「古典的微笑(アルカイクスマイル)」の典型として高く評価され、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」、エジプトの「スフィンクス」とともに「世界の三大スマイル」と称されています。

 私たちも、中学校の美術の教科書の写真にありおなじみですよね。

 今回、本尊様をお納めしている本堂が改修が必要になったことを機に、東日本大震災から10年を迎えようとする東北の地の復興を祈念して開催される運びととなったものです。(宮城県の他には九州での開催が予定されていました。)

 普段は真近に拝観できる機会が大変限られている菩薩像が1ヶ月にわたり展示される貴重な機会となりました。

 半跏思唯像の他に「天寿国繡帳」の複製や珍しい紙製の仏像「文殊菩薩像」など日本の国宝が36点展示されました。

 この展示の最中、開館前に毎朝読経が行われていたそうです。

 一つひとつの仏像やふすま絵など、当時の時代の心が感じられしばしその場に引き込まれるような重厚さや気品が漂うものばかりで、さすが日本の国宝と見入ってしまいました。

 「半跏思唯像」は広い空間に納まり像をどの方向からも眺められるように配置されていました。

 聞くところによると、この菩薩像にお願いをしたところ、願いがかなったという人が身近に二人ほどいました。

 紛失物の発見などのようでしたが、私もお願い事をしてきました。

 話はもとに戻りますが、「半跏思唯像」の菩薩様が人々をどのようにして救おうかと思案している慈愛あふれる微笑みや、繊細で美しい曲線の姿は心を癒してくれます。(いくつもの木で身体の部分を作り寄せ合わせる方法によって、腕などの微妙な角度の調節ができ、それのよって最高の位置に決めることが可能になったのだそうです。)

 今なら「半跏思唯像」の菩薩様はコロナ感染から人々をどのようにして救おうかと考えを巡らせておいでなのではないかと思ってしまいます。

 

 昨年の9月には、「東日本大震災復興祈念   東山魁夷(ひがしやまかいい)展  唐招提寺御影堂障壁画展」も開催されました。

 これも普段ならめったに見られない襖絵などを、展示室に現場さながらに広く展示され、その荘厳な雰囲気に圧倒されました。

 やはり、唐招提寺の補修により実現した展覧会でした。

 

 東日本大震災後、様々な災害等に見舞われている昨今ですが、震災10年後の今も復興支援は続いています。感謝です。

 

 これらの芸術作品は一言も語らなくても私たちの心に安堵感やすがすがしさを与えてくれます。すごい力です。

 

 余談になりますが、これらの展覧会の会場である宮城県美術館について一昨年の11月に宮城野区への移転計画が発表されました。しかし、その後、市民団体等の猛反対を受け再検討の結果、昨年11月に村井知事による計画断念表明という急展開になりました。現地の建物を増築せず改修するとということになりました。

 理由としては、美術館の建物が現代建築の巨匠前川國男による設計で建築そのものに芸術的価値が高いことや近隣地域が青葉城跡をはじめ博物館、東北大、国際センター等文化的な環境や緑豊かな自然の中にあること等々...。

 これで仙台の観光バス「ループル仙台」も観光地巡りがスムースにいくというものですね。私も良かったと思っています。

 はじめの計画は予算が優先されたものであり、今回の決定は美術館の芸術的価値がそれに勝ると考えられた結果でした。

 

 

 景観を考えて柱の大きさなど微妙な違いをつけてたてられたとのこと。門から正面入り口に続く美術館のピロティ。

 柱の下を流れる小川のような流れ(冬場は流れていないのかもしれません。夏場は涼しげなせせらぎです。)

 

佐藤忠良作の彫刻とオブジェ  ピロティにあります。