今年初めての満月がうれしくてカメラを持ち出した。
でも、どう構えても、ビルとクレーンの間に入る。
そうなんだ。やっぱりこうなるな。やっぱりね。
いいか。どこに見えようと、どこから見ようと、奇麗なんだから。
月は、高くなるとただの月になる。周囲にあるもので、特別なものになる。
だから、低い月の方が物語になる。
クレーンの横から上っていくのも、風情になるに違いない。
理想は、針葉樹の中から見える月。そんな絵は何枚も描いた。
今、なぜクレーンに風情を感じないのか、不思議に思えた。
クレーンには人々のいろんな暮らしや思いがあるはず。
これからは、そんな世界ももっと気にしていかなくちゃ。
だって、そんな世界に自分も生きているのだから。