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『デジタルネイティブ:次代を変える若者たちの肖像』

三村 忠史,倉又 俊夫,NHK「デジタルネイティブ」取材班、2009、『デジタルネイティブ:次代を変える若者たちの肖像』、日本放送出版協会 (生活人新書)

昨年NHKで放送されたNHKスペシャル『デジタルネイティブ』(http://www.nhk.or.jp/digitalnative/)の書籍バージョンである。放送は再放送のときに見たのだが、結構衝撃的だったのを思い出す。とりわけ、14歳の少年が元素の周期律を学習できる元素をキャラクターに仕立てたカードゲームを企画し、インターネットを通じて制作販売している様子を伝えた部分であった。キャラクターの絵を描いたデザイナーがメールで依頼されて、子どもが制作依頼してきたとは思わず、引き受け、何度もメールでやり取りして内容を修正して納品したあと、「CEO」が14歳の少年だったと知った時の驚きを語った部分だ。プロジェクトを動かすには、年齢は関係なく企画内容と資金力と十考慮がものをいうはずだが、実際には年齢で判断しがちだ。もし直接面会して私語とを持ちかけられたら、このデザイナーは、はたして引き受けただろうか。
インターネットの匿名性の一部ともいうことができるが、しかし、考えてみると、常識は可能性を摘み取っているという意味で匿名性の意義は大変大きいのかもしれない。年齢や性別、学歴、キャリア、出身地などの属性は関係なくグローバルな関係を築くことのできるインターネットの可能性は大きいとおもわれる。
本書は、テレビ番組の保守性を超える位置づけと見ることができる。先に番組へのリンクを貼っておいたが、実は、このサイトでは、番組の予告ですらおそらく著作権の問題であろうが、リンクを消されていて、番組のプロモーションのために企画製作されたインターネットから寄せられた動画メッセージが残されているだけである。これはこれで面白いのだが、せめて、本書に掲載されているリンク情報だけでもこのサイトに記録されていたら、さらには、本書の情報が掲載されれば、どれほど、テレビと出版とインターネットがむすびつき、インパクトのあるものになったであろうかと惜しまれる。

さて、本書の意義は、番組を作る企画や取材の段階と制作過程とその結果がまとめられていて、大変面白いものになっている。たとえば、取材の段階でかかわったという東京大学の「本間拓也」さんは、ディレクターに「グループウェア」を通じて様々なアドバイスをし、彼のネット人脈を紹介したらしい。本書に載せられているリンクをたどってみると、彼は、どうやら、「東京大学という肩書きはグローバルな社会ではほとんど意味を持たないですよね」という言葉通り、東京大学を離れてイギリスの大学に留学してしまったらしく、昨年の夏頃からかれのブログは動いていない。また、企画用の「グループウェア」のメンバーでもあった高校生の「安達」君は、今年のセンター入試の自己採点を自身のブログで公開していて、なかなかの成績である。
こうしたことは、本書に書かれていることを手がかりにググってみるとたちどころに拾い集めることができる。こうしたことは、テレビ番組の放送時に本書でも大きく取り上げられている「はてなの近藤さん」が、番組放送中に「はてなハイク」にコメントを書いていたなどという「リアルタイムのリアクション」ではないにしても、活字になっている情報を使って二次的に追体験できることも面白い。

紹介すべきエピソードはたくさんあるけれど、まずは、お読みあれ!

デジタルネイティブ―次代を変える若者たちの肖像 (生活人新書)
三村 忠史,倉又 俊夫,NHK「デジタルネイティブ」取材班
日本放送出版協会

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2009-02-13 17:32:49 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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