『飢餓海峡(上)(下)(Kindle版)』
水上勉、2008、『飢餓海峡(上)(下)(Kindle版)』、新潮社
この作品を知ったのは、日経新聞4月10日づけの朝刊に連載中の有栖川有栖による連載コラム『ミステリー国の人々』の「 (15)杉戸八重―水上勉 成功者の秘密知った悲劇」を読んだからだ。もともとは、昭和37年に『週刊朝日』に連載されていた小説だそうで、これに加筆された作品であるという。わたしが小学生の頃だったからこの連載を読んでいたとも思えないが、しかし、父親が『週刊朝日』の愛読者で、家には『週刊朝日』が何冊も置いてあった。
詳しいストーリーは省くが、太平洋戦争が終わったあとの混乱期の東京や舞鶴の様子、さらに、洞爺湖丸沈没や岩内大火といった歴史的事件を枕にした作品であるだけでなく、舞台に登場する海浜の街や山村の様子が景観の描写とともに詳しく描かれ、イメージをふくらませることができた。水上勉の作品は何冊かしか読んだことがないが、この作品は代表作であるという。有栖川有栖のコラムはミステリーを紹介しているのだが、この作品はミステリーとしての内容を含みつつ、社会的な背景がずっしりと仕込んである社会小説であった。
関連してではあるがこの作品が舞台のひとつとした「岩幌大火」、実際には岩内だったのだが、ここは、中島みゆきが中学のころ暮らした町で、大家の後だったのだろうか。このことは、昨年8月に読んだ『日本の血脈』で知った。また、作品に登場する岩幌の近くの堀株という地名、この地名は実名で、北海道電力の泊発電所(泊原発)の所在地である。
この作品を知ったのは、日経新聞4月10日づけの朝刊に連載中の有栖川有栖による連載コラム『ミステリー国の人々』の「 (15)杉戸八重―水上勉 成功者の秘密知った悲劇」を読んだからだ。もともとは、昭和37年に『週刊朝日』に連載されていた小説だそうで、これに加筆された作品であるという。わたしが小学生の頃だったからこの連載を読んでいたとも思えないが、しかし、父親が『週刊朝日』の愛読者で、家には『週刊朝日』が何冊も置いてあった。
詳しいストーリーは省くが、太平洋戦争が終わったあとの混乱期の東京や舞鶴の様子、さらに、洞爺湖丸沈没や岩内大火といった歴史的事件を枕にした作品であるだけでなく、舞台に登場する海浜の街や山村の様子が景観の描写とともに詳しく描かれ、イメージをふくらませることができた。水上勉の作品は何冊かしか読んだことがないが、この作品は代表作であるという。有栖川有栖のコラムはミステリーを紹介しているのだが、この作品はミステリーとしての内容を含みつつ、社会的な背景がずっしりと仕込んである社会小説であった。
関連してではあるがこの作品が舞台のひとつとした「岩幌大火」、実際には岩内だったのだが、ここは、中島みゆきが中学のころ暮らした町で、大家の後だったのだろうか。このことは、昨年8月に読んだ『日本の血脈』で知った。また、作品に登場する岩幌の近くの堀株という地名、この地名は実名で、北海道電力の泊発電所(泊原発)の所在地である。
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