「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展の2回目。本日は前日までの混雑が信じられないほどゆったり見ることができた。
今回は前回駆け足でまわっときに特に印象に残った3作品をじっくりと見てきた。
まずは「布を纏う裸婦」(パブロ・ピカソ、1921-23)。解説では彫刻的な作品としるしている。私は今まで図録や本などで見たと記憶しており、実際に見るのは初めてだと思う。私はこの作品が昔からとても気に入っている。今回実際に作品とめぐりあってあらためて腕と足の太さとたくましさに驚いた。画面いっぱいではみ出しそうな体である。しかし首から下の逞しさとボリュームに比べて、顔と頭のこじんまりとした造形を意外と違和感なく見ることができる。
さらに肌を描く筆致が大きい割に繊細な効果をもたらしていた。また髪の毛の黒っぽい色が、布・肌の色との3色のバランスが良く計算されていると感じた。髪の毛が面積的には小さいが、全体のボリュームとしては釣り合いが取れている。多分曲げた腕の影、向かって左の足の膝から下の影の部分と合わせて釣り合いが取れるのであろう。
ピカソが1918年にオルガと結婚し息子パウロが生まれた年、1921年の作である。1917年から1925年、新古典主義の時代と呼ばれる時期である。この時期、妻オルガや息子をモデルにした作品が多いというが、このモデルはオルガなのだろうか。オルガの面影があるのだろうか。
このどっしりとした存在感でピカソは人体の何にこだわったのだろうか。私は両手の手首から先と、向かって右の二の腕にこだわりを感じている。筆致も丹念である。だが、それが意味するところは残念ながら私にはわからない。女性のたおやかな顔つきと体躯の豊かさのアンバランスが、ピカソの女性に対する畏怖を表しているとも思える。
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