伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか 自然災害が突き付けるニッポンの超難問

2022-04-27 22:08:31 | ノンフィクション
 近年増加・激化している大雨が排水能力を超えて生じる内水氾濫や河川の堤防が決壊するなどの外水氾濫、高潮・高波などによる水害、土砂災害の災害リスクに対し、防災・減災のための試みや技術を紹介し、災害危険地域からの撤退・移住を勧める本。
 水害・土砂災害の危険を広め、災害危険地域からの移住を勧めるという問題意識は理解できますが、まず日本では人口の約50%が洪水氾濫区域に居住している(241ページ)、日本の人口は2008年をピークに減少しているにもかかわらず浸水想定区域内の人口は年々増加している(242ページ、243ページグラフ)という現実に絶望的な思いを持ちます。そのような状況の下で、危険地域の情報を広めれば危険な場所から移住を進めることができるという発想はとてもナイーブなもので、裕福な人々は危険を回避できるでしょうけれども、危険を知らされても経済的事情から移住できない人が多いだろうと思います。そこでは、「自己責任」よりも行政の出番でしょう。
 災害の防止、減災のための様々な試みを紹介することは、展望を得るためにも有意義だと思いますが、どうも企業の宣伝臭を強く感じてしまうのは、私の「日経」ブランドへの偏見故でしょうか。


木村駿、真鍋政彦、荒川尚美 日経BP 2021年10月25日発行
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