伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

腹を割ったら血が出るだけさ

2022-10-19 23:46:35 | 小説
 愛されたい故に自分を偽り続けていると自己規定し、計算した言動をするたびに密かに舌を噛み死にたくなる高校生糸林茜寧が、小楠なのかという架空の作家が書いた3冊目の小説「少女のマーチ」を読んで、まさに自分のことを書いた小説だと考え、街で出会ったライブハウス勤務の女装男宇川逢に小説中の登場人物「あい」を投影し、小説中の設定・できごとと茜寧が認識することを追体験しようとするという小説。
 小説と作者・読者の関係、小説が何をできるかというようなことを、「少女のマーチ」と茜寧ら登場人物、さらには小楠の関係で、またアイドルグループ「インパチェンス」とファンの関係にもなぞらえながら描いているのかなと思いました。
 「私も文学賞とか、あと本屋さんの賞とか?獲ったからって読まないです」(73ページ)って、デビュー作「君の膵臓をたべたい」が2016年本屋大賞第2位(大賞は宮下奈都「羊と鋼の森」)となって売れっ子作家となった作者が言うのは笑えます。それとも、大賞が取れなかった恨み/僻みでしょうか。


住野よる 双葉社 2022年7月30日発行
コメント
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